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令和 3年 2月定例会本会議-02月25日-02号

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  1. 長野県議会 2021-02-25
    令和 3年 2月定例会本会議-02月25日-02号


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    令和 3年 2月定例会本会議-02月25日-02号令和 3年 2月定例会本会議 令和3年2月25日(木曜日)  出席議員(56名)   1 番 熊谷元尋    28 番 中川宏昌   2 番 望月義寿    29 番 清水純子   3 番 小林君男    30 番 小池久長   4 番 清水正康    31 番 酒井 茂   5 番 加藤康治    32 番 堀内孝人   6 番 川上信彦    33 番 石和 大   7 番 山田英喜    34 番 依田明善   8 番 大井岳夫    35 番 山岸喜昭   9 番 丸茂岳人    36 番 小島康晴   10 番 寺沢功希    37 番 小林東一郎   11 番 花岡賢一    38 番 毛利栄子   12 番 池田 清    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司   18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男
      19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   27 番 両角友成    53 番 平野成基   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      伊藤洋人   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      田下昌志   危機管理部長    竹内善彦     公営企業管理者   小林 透   企画振興部長    伊藤一紀     企業局長事務取扱   総務部長      関 昇一郎    財政課長      矢後雅司   女性活躍推進監   高田真由美    教育長       原山隆一   兼男女共同参画            警察本部長     安田浩己   センター所長             監査委員      田口敏子   県民文化部長    増田隆志   健康福祉部長    土屋智則   環境部長      猿田吉秀   産業労働部長    林 宏行   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      百瀬秀樹    議事課主事     松橋高志   議事課企画幹兼   丸山俊樹    総務課課長補佐   川村亜由美   課長補佐              兼庶務係長                     総務課担当係長   青木武文         ───────────────────  令和3年2月25日(木曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(小池清 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(小池清 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案の報告 ○議長(小池清 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和3年2月25日   長野県議会議長 小 池   清 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和3年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 54 号 令和2年度長野県一般会計補正予算(第14号)案 第 55 号 令和2年度長野県公債費特別会計補正予算(第1号)案 第 56 号 令和2年度長野県国民健康保険特別会計補正予算(第2号)案 第 57 号 令和2年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第1号)案 第 58 号 令和2年度長野県県営林経営費特別会計補正予算(第1号)案 第 59 号 令和2年度長野県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)案 第 60 号 令和2年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 61 号 令和2年度長野県流域下水道事業会計補正予算(第3号)案 第 62 号 令和2年度長野県電気事業会計補正予算(第1号)案 第 63 号 令和2年度長野県水道事業会計補正予算(第1号)案 第 64 号 教育委員会教育長の選任について       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(小池清 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案 ○議長(小池清 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして、御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、令和2年度一般会計補正予算案など予算案10件、事件案1件です。  一般会計の補正予算案は、456億6,917万3千円の減額であります。  増額する主なものは、降雪状況に対応した道路除雪費、地域全体で医療を支える体制を構築するための病床機能分化促進事業補助金、銀座NAGANOの移住相談等のスペースを拡充するための改修工事に要する経費などであります。  減額となりますのは、国庫支出金の決定及び事業の確定などに伴うものであります。  歳入につきましては、県債29億1,600万円、地方交付税24億3,639万6千円を増額する一方、国庫支出金139億9,322万7千円、諸収入130億433万2千円、地方譲与税72億4,500万円、県税68億4,644万2千円を減額するなどしております。  本年度の一般会計予算は、今回の補正により、1兆1,606億390万6千円となります。  特別会計補正予算案は公債費特別会計など6会計、企業特別会計補正予算案は流域下水道事業会計など3会計であり、事業計画の変更などに伴う補正であります。  事件案は、教育委員会教育長の選任についてであります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。 ○議長(小池清 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(小池清 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。
     自由民主党県議団代表宮本衡司議員。       〔43番宮本衡司君登壇〕 ◆43番(宮本衡司 君)おはようございます。自由民主党県議団、宮本衡司であります。会派を代表して、質問をいたします。  初めに、コロナ禍の中、最前線で御奮闘いただいている医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーや関係されている全ての皆様に心から感謝を申し上げるとともに、感染された方やお亡くなりになった方にお見舞とお悔やみを申し上げる次第であります。  また、この1年、知事をはじめ県職員の皆様方には、昼夜を分かたず県民の命と暮らしを守るべく全力でコロナ対応に当たっていただき、感謝に堪えません。  そして、折に触れ自民党県議団が県民の皆様からの御意見を集約し、提案した緊急要望を速やかに実施していただいたことについて評価するものであります。これにより、多くの県民の皆様から感謝の意を頂戴したことを、この場をお借りしてお伝えしたいと思います。一日も早く事態が収束し、県民に笑顔が戻ってくることが何よりの願いであります。  さて、知事におかれましては、2010年8月に初当選され、これまで10年強に及ぶ県政運営において、自らが理想とする長野県を目指し、日々取り組んでこられたことと存じます。  振り返りますと、この10年間は、我が国においては激動の時代でありました。知事就任直後には東日本大震災が起こり、日本全体が非常に暗い雰囲気に包まれ、経済環境も先を見通せず、希望を見いだすことが困難な世の中であったように思います。  その後、政権交代とともに日本の景気は徐々に回復し、コロナ禍に見舞われるまでは戦後最長の好景気下にあったわけですが、地方においてこれを肌で感じられるほどではありませんでした。国が唱える地方分権は、現実にはなかなか進まず、若者の人口流出に歯止めがかかることなく、少子高齢化とともに社会保障費の増大は進み、厳しい県政運営を余儀なくされてきたと思います。  また、同時に、テクノロジーの進展により、世の中の生活環境、ビジネス環境、教育環境など様々な分野において大きな変革が起きつつあり、県としてもこの環境変化に対応していくことが求められています。  そうした様々な課題の中で、現代人が初めて経験するパンデミックという未曽有の危機にあらゆる力を総動員して対応していくとともに、この危機を乗り越えた先のポストコロナ時代を見据えた環境整備も必要になってくると思います。  今回の代表質問における大きな趣旨といたしましては、阿部県政10年を振り返り、総括させていただきつつ、新型コロナウイルス感染症により、生活環境のみならず社会構造も変わろうとしていくこれからの変革の時代にどのように対応していくかを軸として、今後の長野県の可能性を幾つかの項目にわたりお伺いしていきたいと存じます。  まずは、10年間の知事の県政運営の総括であります。順次お聞きいたします。  初めに、災害対応と公共工事について伺います。  この10年の間、全国的に、とりわけこの長野県は、本当に多くの災害に見舞われました。2011年3月の東日本大震災では、巨大津波、原発事故というこれまでの価値観を大きく変える大惨事が起こり、翌日未明には長野県北部地震が発生し、栄村を中心に甚大な被害をもたらしました。その3年後の2014年2月には、10年に一度という強い寒波が日本列島に流れ込み、関東、甲信越、東北の広範囲にわたり記録的な大雪となり、県内でも、死傷者が出るとともに、家屋の損壊などが発生いたしました。  また、同年7月には南木曽町梨子沢で大規模な土石流が発生し、家屋が流され、12歳の男児の尊い命が失われました。そして、9月には御嶽山が噴火。登山者など死者58名、行方不明者5名を出す戦後最悪の火山災害が発生し、11月には白馬村を中心に長野県神城断層地震により40棟以上の住宅が全壊するなど、大きな被害を受けました。  記憶に新しいところでは、一昨年10月の令和元年東日本台風によって千曲川の流域各地で被害が発生し、長野市穂保では堤防が決壊、広範囲にわたりかつてない被害をもたらしました。いまだにその傷は癒えておらず、加えて、昨年7月には豪雨が中南信地域を襲いました。  これらの災害は、様々な地球環境の変化や温暖化などがもたらしたものとも言われており、今後もこうした大災害がいつ起こってもおかしくない状況だと思います。  昨今の大規模水害を見る中で、図らずも公共工事を十分に進められなかった時代に建設を凍結された八ッ場ダムが復活し、今回治水効果を発揮したこと、また、川辺川ダムがあれば熊本豪雨災害は防げた可能性があることなどの意見があり、公共工事への評価が今や大きく変わったのではないでしょうか。  さらに言えば、公共工事が経済を後支えするものであることは昔も今も変わりなく、こうした機能を踏まえながら十分な事業量を確保していくことが安定した経済の循環のためには不可欠であります。長野県は、他県と比較しても、インフラの整備、道路整備が十分とは言えず、地域の発展と利便性の向上や災害時を想定した不断の公共工事が求められています。  まずは、知事就任以降の災害対応を振り返っての所感を伺います。また、その経験を今後どう生かしていかれるのでしょうか。過去の「コンクリートから人へ」のスローガンの下に行われていた政策を、現在多発する災害を見る中でどのように評価されているのか。長野県における防災・減災の考え方とともに伺います。  また、公共事業は、国土強靱化はもとより、安定した経済循環のために不可欠であると考えますが、公共事業の重要性をどのようにお考えか。公共事業をいかに県内経済の安定と発展のために生かしていくべきかについて知事に伺います。  次に、人口減少と地方創生について伺います。  長野県の人口は、2000年の221万5,000人余をピークとして、少子化と人口流出によって現在の203万人余まで減少が続いております。少子化については、知事も、しあわせ信州創造プラン、信州創生戦略、しあわせ信州創造プラン2.0、それぞれにおいて人口問題を最重要課題の一つに設定され、問題意識を持って取り組んでこられましたが、長野県の合計特殊出生率は、2009年の1.43という最低の状況は脱したものの、ここ数年は横ばい状態であり、県民希望出生率1.84の達成は大変厳しい状況にあります。  全国の合計特殊出生率を見ても同様の傾向にあり、各自治体で様々な取組が行われているものの改善の兆しは見えず、十分な成果を出せていない状況にあることから、今後の少子化対策については発想の転換が求められていると考えます。  また、人口流出について、かつて地方は都会への人口の供給地でよかったのですが、少子化による人口減少時代に入ると、地方の存続自体が危ぶまれる、いわゆる地方消滅論が展開されるようになりました。これに対して、2014年9月に発足した第2次改造安倍内閣は、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的として、地方創生を掲げました。  風光明媚な景色やおいしい空気、新鮮な野菜などはまさに信州の魅力そのものですが、このような地方の資源を磨き、特性を魅力として生かし、人材の活躍を促して底上げを果たせば、それに引かれる人たちが移り住み、自然に囲まれた穏やかな環境の中でゆったりと子育てをすることで、少子化対策にも東京一極集中の解消にもつながるという構想は、まさに理想的であります。  しかしながら、これを戦略として立案し、実現することが容易でないことを多くの自治体が実感してきていることと思います。地方創生に当たっては、安心して働き、稼げる職場が不可欠ですが、地方においては、従来型の産業構造や雇用環境等から脱却できず、経済の新陳代謝が行われていない現状もあります。時代の変化についていけない企業が多くなることも懸念されます。  そこで、3点、知事に伺います。  知事がお考えになる理想とする地方創生とはいかなるものか。その理想と現状とのギャップはどのくらいあり、そのギャップが生じている原因をどのように分析しておられるのか。また、理想に近づけるために今後何が必要とお考えでしょうか。  今後の少子化対策については発想の転換が求められていると考えますが、少子化の状況についての現状認識と、コロナ禍を踏まえた今後の少子化対策の取組について伺います。  地方創生を進めるためには、経済や技術の変化に対応し、新たな時代に稼げる企業や安心して働ける職場を十分に確保していくことが必要と考えますが、そのために今後どのような取組が必要と考えておられるのでしょうか。  続いて、農林業について伺います。  本県の農業は、変化に富んだ気象や地形を生かし、農畜産物の総合的な供給産地としての役割を果たすとともに、農業者の先進性と勤勉性による高い技術力により、地域の基幹産業として発展してまいりました。  しかし、少子化、人口減少がますます進む中で、農業の現場は、後継者不在による高齢化と人手不足の状況が厳しさを増すばかりであると思います。国内の市場規模が今後ますます縮小することに伴う消費の減少や価格への影響などが危惧されている一方で、国際的には、経済連携協定や自由貿易協定を締結する動きが活発化し、日本国内だけの事情で我が国農業の在り方を決めることができないことも理解できます。  これに加えて、ライフスタイルの変化などにより、農畜産物に求められる価値は年々多様化、複雑化しており、ニーズの変化にも柔軟に対応していくことが求められています。さらに、頻発する豪雨災害など自然災害が農業従事者に与える影響は、我々が想像する以上に大きなものがあると推測されます。  コロナ禍においては、外国人技能実習生等の受入れ停滞をはじめ、深刻な課題に直面したところです。日本全体で今後の農業の在り方、方向性を考え直す必要があるとともに、長野県の農業を成長産業化していくためにあらゆる手段を用いて事に当たる必要があると考えます。  そこで、本県農業を地域の基幹産業として持続的に発展させていくために、農業生産の中核となる人材の育成や確保、また、国内外において競争力のある品種の開発、導入が一層必要であると考えますが、これまでの取組を踏まえ、今後の農業振興の方針について知事に伺います。  長野県の面積の8割を占める森林は、清らかな水や空気を育み、土砂災害や地球温暖化を防止し、木材などの林産物を供給するなど、私たちの暮らしに欠くことのできない存在です。自然災害が多発する現代において、高い保水能力や、土砂の流出、崩壊を防ぐなど、森林はこれまで以上に重要な社会資本となるわけであります。  この10年、「森林県から林業県へ」を目標に、県独自の森林づくり県民税を軸に、県民の命、財産を守るため、間伐を中心とした森林・里山整備が積極的に進められるとともに、新たな森林経営管理制度を円滑に進めるための森林経営管理センターを設置するなど、市町村の支援をするための取組もなされてきており、今後の森林・林業の活性化に明るい兆しも徐々に見えてきています。  そこで、このような施策により本県の森林・林業にどのような変化があったとお考えか。また、今後どのような取組が必要と考えているのでしょうか。知事に伺います。  次に、高齢化、人生100年時代に関連して伺います。  人口減少が進み、産業や地域の担い手不足が指摘される中で、人生100年というこれまで経験したことがない時代が来ております。長野県の平均寿命はトップレベルにありますが、それは、社会参加や、地域において医療保健活動が活発に行われたこと、健康ボランティアの活動が活発であることなどが要因と考えられ、県民や各種団体が一体となって進めた取組によるところが大きいと思います。  現在の高齢者は、いずれの世代も、従来とは比べものにならないほど肉体的、精神的に若返っており、高齢者を年齢によって固定的に判断することは実態に合わなくなってきています。人生100年時代と言われる中、単に長く生きることだけでなく、生涯にわたり地域活動や経済活動に参加して人生の喜びと働く生きがいを持ち、多くの知見豊かな能力を発揮し、健康で生き生きと活躍することの重要性はますます高まっています。  また、平均寿命と健康寿命の差、10年の間に社会保障費の大部分を使うことを考えると、高齢者率が高く、長寿県である長野県が行う施策として一番大切なのは、健康寿命を延ばし、平均寿命との差を縮めることです。若い頃から、生涯健康で趣味や生きがいを持ち、暮らすための準備をすることが自分らしい豊かさの実現につながり、また、将来負担を軽減することにもなるのではないでしょうか。健康寿命と平均寿命の乖離について県としてどのような問題意識を持ち、これを少しでも縮めるためにどのような取組が必要と考えているか。知事に伺います。  続いて、教育について伺います。  阿部県政10年間において、AIなどの技術革新、人口減少と少子高齢化のさらなる進展などによる社会経済構造の変化によって、学びの環境も変化し、知識や技能を教え込む教育から子供たちが主体的に学ぶ教育へと転換するとしたこと、そのほかにも、2016年の18歳選挙権導入を受けた主権者教育の在り方、全ての子供が平等に教育を受けるための合理的配慮の在り方などの課題に取り組んでこられました。  教育こそ、時代と環境の変化に柔軟に対応し、全ての子供が未来を自らの手で切り開き、夢を実現する力を身につけ、これからの社会で活躍できるための基礎であります。社会における働く場のニーズは多様化し、子供たちが持つ多種多様な能力を発揮できる時代となりつつありますが、他方、時代の変化に合わせ、子供たちに求められる資質や能力も変化しているということになります。  こうしたニーズに対応しながら、信州の自然豊かな環境の下、独自のカリキュラムで学べる信州教育を確立し、県内だけでなく全国からも選ばれる教育になっていくことを期待します。長野県のために将来もこの地に残り、リードしていく人材育成とともに、世界に羽ばたいていけるような人間を輩出していくことも必要であります。日本の国益のためにも、教育県の長野だからこそ、この役割をしっかり果たしていく必要があると考えます。  ただし、その際には、グローバルで通じる能力とともに、外国に出ても、母国のことはもちろん、生まれ育った地域の歴史や伝統文化を語れるような地域愛を育むことも重要であると思います。  そこで、知事に3点伺います。  これからの時代に対応するための教育の重要性と教育が持つ力をどのように考えておられるでしょうか。また、豊かな自然環境の中で、子供たちが持つ多種多様な能力を育み、信州で学びたいという教育をいかに確立していくべきと考えておられるでしょうか。  さらに、グローバル人材の育成という点において、教育県長野の役割をどのように感じ、どう果たしていくべきと考えているか。また、生まれ育った地域の歴史や伝統文化を学び、地域を愛するための教育の必要性をどう考えておられるでしょうか。  次に、今年度の総括について質問をいたします。  今年度は、阿部知事が県政運営を進める中で非常に特殊な年であったと思います。世界保健機関は、新型コロナウイルスの世界的大流行は100年に一度の公衆衛生上の危機であり、今後何十年にもわたり影響を及ぼすであろうという考えを示しました。コロナ禍にあって、今まで積み上げてきた地方創生そのものが壊れ、今後にも大きく影響してしまう可能性がある。それほどの事態に見舞われています。  こうしたコロナ禍で見えてきた課題として、今回のような非常事態に対しての医療体制とサプライチェーンの寸断による生産システムの脆弱さ、デジタル化の遅れ、東京一極集中の限界、緊急事態宣言下の私権の制限など、これまでも感じてはいたもののはっきりと見えてこなかった課題が浮き彫りになりました。  初めに、感染症対策と医療体制について伺います。  新型コロナウイルス感染症対策は、感染しない・させない取組、早期発見、医療提供体制整備と大きく三つであろうと思いますが、県がその中心的役割を果たしつつも、国と市町村との関わりも大きく、そのかじ取りは極めて難しいものであったろうと思います。  長野県は、首都圏に近く、観光やビジネスなど往来も多く、その意味で感染リスクは高い県にもかかわらず、これを最小限に抑え、医療体制についてもコントロールできてきたことは、評価すべきことです。  欧米などの世界各国に比べれば、重症者数、死者数はもとより、新規感染者数でさえ我が国は桁違いに少ない状況でした。しかも、我が国の医療機関は、世界各国に比べて人口当たりの病床数が特に多いことで知られています。これに対して、人口当たりの医師数と看護師数が比較的少ないことが課題となっています。県内でも、病床数が多いにもかかわらず、北信圏域では医療体制が顕著に逼迫しましたし、一時は全県での病床使用率が50%を上回り、医療非常事態宣言を出す事態となりました。  そこで、医療人材の確保、病院間の協力体制など、今後に向けた課題も見えてきたのではないかと考えます。今回のパンデミックのような事態を教訓に、将来に備えた医療体制の整備向上に向けて支援することは、県としても大いに必要です。コロナ収束のために国民が期待している大きな切り札がワクチンであることは言うまでもなく、できるだけ早く多くの県民に公平に接種してもらうための体制づくりと適切な情報提供、これをどうやって成し遂げていけるかが大きな課題と言えます。今後は、引き続き感染爆発とならないよう、拡大を抑え込みつつ、次の大きな課題であるワクチン接種に臨んでいかなければなりません。  以下3点を知事に伺います。  ここまでの新型コロナウイルス感染症対策を振り返り、特にどんな点に苦慮されたのか。今後さらに力を入れていくべき点はどんな点だとお考えでしょうか。  コロナ禍において、医療体制について様々な課題が見えてきたと思います。医療崩壊から県民を守るためには、今回の経験を踏まえ、地域医療、危機管理の観点から医療体制を考えていく必要がありますが、現在の課題と今後の医療体制についてどのように考えておられるのでしょうか。  新型コロナウイルスワクチンの接種について、県はどのような役割を果たし、市町村に対して支援を行っていくのでしょうか。また、ワクチンの安全性や供給体制などに係る情報提供にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。  次に、コロナ禍での経済対策について伺います。  新型コロナウイルス感染症の拡大は、長野県内の産業界にも大きな影響を与えています。今回は、企業努力の欠如による経営悪化ではなく、未曽有のウイルスの感染拡大という極めて特殊な状況での経営悪化であり、普段とは全く次元の異なる経済支援が必要となりました。  中小企業への支援策として、国や県などでは、給付金、助成金、補助金、実質無利子無担保の融資、既存借入金の返済猶予などを通じて中小企業の事業継続を支えてきました。また、直接的に影響の大きかった飲食業、サービス業や観光業、それに関連する産業への支援は迅速に行われたと評価できますが、公平感については議論の余地があるようにも思います。  今後、コロナの収束とともに、悪化した産業も徐々に回復させていかなければなりません。各産業には、それぞれの技術と労働力があり、回復に向けて県内の生産力を維持していくという視点からも、雇用を守っていくことは将来的な産業の発展にも必要不可欠です。  一方で、経済成長のためには、個々の企業が生産性を高めることに加え、企業の新陳代謝が図られることも重要となってきております。ポストコロナも見据えた経済の構造変化への対応や、生産性の向上に前向きに取り組む企業支援にシフトしていくことも重要な施策の在り方と考えるところであります。  コロナ禍において、中小企業へ行った融資や返済猶予、給付金、補助金等の経済支援策は質と量が十分であったと考えておられるか。また、今後の県内経済の再生と成長に向けてどのような考えで取り組んでいかれるのでしょうか。知事に伺います。  観光について伺います。  新型コロナウイルスの影響で観光産業が大きな打撃を受けていることは言うまでもありません。政府によると、2020年の1年間に日本を訪れた外国人旅行者は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で411万人余にとどまりました。これは、2019年の3,188万2,000人余りに比べ87%の減少であり、県内の観光に衝撃的なダメージをもたらし、当面は外国人旅行者の回復を見込むことはできません。インバウンドに依存し過ぎていた課題も浮き彫りになりました。  また、国内旅行者においても、県独自の宿泊キャンペーンやGo To トラベルなどによって先が見通せる状況にまで回復した時期もありましたが、感染の再拡大に伴うGo To トラベルの停止による影響などから県外からの観光客は激減したわけであり、こうした浮き沈みは、観光産業に関連する周辺の事業者に対しても広く影響を及ぼしています。  県下各地域の観光地は、その観光資源を活用し、地域を支える産業として広域的な滞在型観光地づくりを進めているところであり、観光機構がその推進役となり、各地に観光DMOを組織し、観光地の魅力を磨き上げていく流れにあります。  その中で、白馬地域の広域型観光を重点地域として指定し、グローバルな観光地を目指し、地域産業の確立のために支援していく戦略は、県の観光の成功事例をつくり、今後広げていくためのものと評価するところであります。  しかしながら、長野県全体の底上げにはまだまだ観光DMOの位置づけは不明確であり、地域になじむまで時間のかかる作業と感じられ、観光施設と関連事業者の熱意と行動力にも期待するところであります。  また、各地域の観光促進については、まちづくりとの関係性も考慮していく必要があり、予算も十分でないことから、独自に観光の底上げをしていくことは難しい状況にあるのではないかと思います。このコロナ禍において、観光内需拡大の好機と捉え、県が各地域の観光促進の推進役となり、地域のアドバイザーとしての機能を高め、観光県としての役割を明確にしてほしいところであります。  さらに、長野県は、これまでは、県がそれほど大きなサポートをしなくても、恵まれた地形、環境を武器に、観光に携わる方々の不断の努力をもって国内でも有数な観光地として生き残ってまいりました。しかし、今、最もコロナの影響を受ける業種となり、最も苦しい業種の一つであります。新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら段階的に観光誘客を図る取組をどのように進めるべきとお考えでしょうか。  今般の感染状況が収束したときに再び観光業が立ち上がっていく際には、起爆剤としてさらなる支援が必要かと思いますが、知事の所見を伺います。あわせて、新型コロナウイルスによる危機的状況をチャンスと捉えてどのように観光再生を図っていくのでしょうか。知事に伺います。  緊急時における対応について伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大により、国は、昨年4月7日に7都道府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大しました。対象地域の都道府県知事は、明確な法的根拠をもって住民への様々な要請が可能になり、本県においても、知事は、不要不急の外出自粛や飲食店の休業要請のほか、学校や福祉施設といった建物の使用制限を指示しました。その後も、感染拡大地域において飲食店などへの県独自の休業要請を行いましたが、知事は、要請を出される際には大変苦悩されたことと思います。  自粛要請や休業要請など私権の制限については、憲法が絡む問題もあると言われております。現行憲法が今回の感染症のパンデミックのような緊急事態を想定しておらず、ロックダウンをはじめ厳しい私権の制限には憲法改正が必要という意見もあり、議論のきっかけとなりました。また、国と都道府県との責任の押しつけ合いのような場面も見え、感染症予防法、特別措置法が改正、施行されましたが、今回の新型コロナへの対応については国と都道府県との関係についても様々な議論があります。  未曽有の事態に対処するため、国と都道府県が最善を尽くすべく取り組んできたことはよく分かりますが、今後も変異ウイルスや別のウイルスの流行も懸念される中で、緊急事態においてどのように人々の行動を抑制し、感染を予防していくのか。制度的な見直しの議論をしていく必要があると考えます。  知事は、緊急事態下における私権制限や国と地方の関係について、現在の感染予防対策や今回の法改正を踏まえ、今後どのような方向性で見直していくべきか。憲法改正の必要性も含めてどのようにお考えでしょうか。御所見を伺います。  県は、長野県の児童生徒が目指す学びの姿として、ビフォーコロナでは習得する力、ウィズコロナでは自律して学ぶ力、アフターコロナでは探究する力を重視するとしています。現在はウィズコロナの局面でありますが、自律して学ぶ力を伸ばす過程の中で、ICTの活用による学びの継続を図っていかなければならないわけです。  一方で、学校の臨時休校や災害時などにおいても児童生徒の学びを保障するため、ICTを活用した遠隔授業などの取組への支援や校内無線LAN環境及び端末の整備などの教育の情報化も進めてきましたが、現実には公立高校でも整備と未整備に大きな差があり、私立高校との差など教育環境の違いが大きな課題と言えます。  今後、デジタル機器の活用は、昔の読み書きそろばんと同じレベルで必要なスキルと言えますが、この習得のためには、デジタル機器を整備するだけでなく、教師の指導技術も必要と言えます。  コロナ禍ではICT教育を推進していますが、十分に対応できたとは言えない部分もあります。ICT教育は、特に非接触型の学習の確立に有効であり、分かりやすく楽しく学べるなどのメリットが強調される一方、対面での教育と比較して意思疎通が難しい、距離を感じるなど課題もあります。  ICT教育によりスキルや知識を学ぶだけでなく、人と人のつながりや絆を大切にする教育、人間性を高める教育が必要です。「故きを温ねて新しきを知る」という言葉がありますが、本県には、教育を大切にする風土と県民性により培われてきた誇るべき歴史があります。県歌「信濃の国」にも歌われている近代日本の礎を築いた松代の佐久間象山はもちろんのこと、幕末における議会政治の提唱者、上田藩士赤松小三郎、青木村出身の大実業家五島慶太等々、枚挙にいとまがないほど信州長野県は様々な分野で多くの逸材を輩出しております。  そこで、2点、教育長にお伺いします。  ICT教育環境の格差をどのように捉え、今後どのように対応していくのか。また、ICT教育の可能性をどのように考えておられるのでしょうか。  そして、ICT教育とともに、人間性を高める教育が必要と考えます。教師と対面しながら、ふるさとが生んだ先人たちを教材として、郷土を愛する心を育む教育を今こそ強力に推し進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  警察本部長に伺います。  昨年の県内の刑法犯認知件数は、平成14年以降19年連続で減少し、戦後最少を更新するとともに、刑法犯の検挙率も平成元年以降で最高となったとの報告がありました。これは、本部長以下警察職員が一丸となって県内の治安維持に当たっていただいたたまものであり、県民の一人として、日頃からの任務遂行に対し、心から感謝を申し上げます。  報道によりますと、昨年は、全国的にも、新型コロナウイルスの影響で街頭犯罪や刑法犯認知件数が減少しているようですが、その一方で、新型コロナウイルスに関連した手口の犯罪が発生しております。国内全体が暗い雰囲気に覆われ、思うように外出ができないストレスもあり、さらには生活様式が急激に変化することによって、意識が伴わず、無防備になってしまうような状況があります。  そこで、長野県内において新型コロナウイルスの影響による犯罪の増加が懸念されていますが、どのように認識しておられるのか。さらに、それら犯罪の未然防止にどのように取り組んでいかれるのか。警察本部長に伺います。  県民が希望を持てる新しい時代のビジョンについて伺います。  今回の新型コロナウイルス感染症の大流行は、社会全体に大きな変革をもたらしました。当然、これは世界の経済社会にとって大きなマイナスであったわけでありますが、我々は、この変化の中から、既成の概念を変えていく大きなプラスの可能性を見いだしていくこともできます。それは、デジタル化に消極的だった人も、企業も、必要性を感じ、DX社会の推進が加速され、Society5.0が早期に実現される可能性、東京一極集中の是正、サプライチェーンの強靱化、テレワークなどの普及により人や企業の信州回帰が起きる可能性。戸外での安全性がアウトドア志向の高まりに拍車をかけ、長野県の自然がより認知され、インバウンドに頼らない内需拡大型の観光面での可能性。県のゼロカーボンへの取組は世界のトップランナーであり、今回の国の進めるグリーン社会の実現が大きな追い風となり、長野県がリーダー県としてブランド力を高める可能性。県民が一丸となってゼロカーボン社会やDX社会の実現など、新たなビジョンに向けて協力できるきっかけになる可能性と、実現可能な大きな希望であります。  まずは、デジタルトランスフォーメーション、DX社会実現の加速化についてであります。
     現代社会は、デジタル化の必要性が叫ばれ、まさにデジタル社会を大きく進めるチャンスであります。自動運転による地方の公共交通の充実化や、医療や介護分野のロボットによる支援や遠隔医療の実現など、今までおぼろげに見えていたものが、近い将来、私たちの暮らしを大きく変え、豊かな自然環境に囲まれた利便性の高い地方都市の実現を県民が感じるようにならなければなりません。  誰一人取り残されない持続可能な社会とは、高齢者や情報弱者と呼ばれる人でも自然とテクノロジーが生活の中に溶け込むような社会であります。しかし、努力し、学ばなければ、デジタル格差が生まれるおそれがあります。  また、本県の農業や林業、製造業、建設業などは、IT化、ロボット化などで生産性を高め、発展できる可能性を事業者が具体的にイメージできるようになる必要があります。そして、今後の時代の変革に合わせて速やかに導入を図り、生産性を高め、産業を活性化させなければなりません。  また、テクノロジーを支える産業にも、支えられる産業にも、人材と技術が必要であり、この人材育成が急務です。そして、ITバレー構想とスマートハイランドの推進を加速させるには、必要な人材、求められる産業、業界に与える影響を想定し、県民や業界、企業に具体的に示す必要があると考えるところであります。  国においてはデジタル庁が設置されますが、これに期待するものは何でしょうか。また、こうした動きに合わせて県がやるべきことは何だとお考えでしょうか。産業だけでなく、教育、県民生活、行政の各分野へDXをどのように落とし込んでいくのでしょうか。DX戦略を加速し、進めるために必要なものは何か。今後の施策の方向性と人材確保策についてどのように考えているでしょうか。以上を知事に伺います。  一方、懸念することもございます。確かに、デジタル化、AI化というものは、人間社会において大変な利便性をもたらしてくれるものであり、これからの社会で必要不可欠なものであることは理解できます。しかし、それにつれ、本来人間として生きる力、いわゆる人間力を失っていくのではないかといささか危惧しており、このことを決して忘れてはいけないと思うわけであります。デジタル化が進展する中で誰一人取り残さない社会を実現するためにも、人と人との絆や人間力といったものが大切になってくると考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。  人と企業の信州回帰について伺います。  新型コロナウイルス感染症により、地方での就職や移住を検討する人が増えています。感染症対策の基本は、3つの密の回避を徹底することであり、そのための働き方としてテレワークが推進されています。自宅でのテレワークが主流ではありますが、人と接触しない自宅でのテレワークには孤独感や閉塞感があるため、リゾートテレワークや移住を希望する人が増えています。  そのような中、移住したい都道府県ランキングで15年連続1位となった長野県は、県が、信州回帰や信州リゾートテレワークなど、自然豊かな環境を生かし、積極的に推進してきた施策が追い風となる好機と捉えることができるわけであります。  しかし、一方で、現実的に若者流出は止まっていません。移住したい長野県でも若者の流出対策は強化しなければならないと思います。活力ある長野県を築いていくために、地方回帰の機運の高まりをどのように捉え、対応していかれるのか。知事に伺います。  新型コロナウイルス感染症は、生産体制、物流、人の移動によって構成されるサプライチェーンの寸断を引き起こし、日本を含め世界的に生産活動の停滞が見られました。中国からの輸入が多いマスク、防護服、消毒液などは、世界各地で需要が爆発的に増加したことにより医療物資の不足を引き起こし、このように生産拠点が海外に集中することは大きなリスクだと認識させられました。  サプライチェーンの強靱化と産業の国内回帰の重要性が認識された今、経済だけでなく、医療や暮らしを守るためにも、新たな強靱なサプライチェーンを構築しなければならないと考えます。  世界各地で生産拠点の国内回帰の動きが強まったのは大きな好機です。日本企業のその流れを酌み取り、産業の信州回帰を実現しなければなりません。次世代の産業を創造し、力強い県内経済をつくり上げていくために、地域産業の新陳代謝を高めながら、時代に合った産業の発展を目指していく必要があります。  産業の国内回帰、県内回帰の流れがある中で、DXとゼロカーボンの推進などにより新たな産業の創出へつなげ、県内経済の活性化と強靱なサプライチェーンを実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事に伺います。  グリーン社会の実現について伺います。  長野県は、これまでも全国トップレベルのごみの減量など先駆的な取組を行ってきました。県民総ぐるみの運動により持続可能な脱炭素社会を実現し、国際社会の先導役として将来へ良好な環境を引き継いでいくことが今を生きる我々の責務であります。  昨年の9月定例会において、議員提案により長野県脱炭素社会づくり条例が可決、成立し、10月19日に施行されましたが、長野県がゼロカーボン社会を実現することは、長野県ブランドを世界ブランドへと発展させ、さらなるグリーン投資や産業創出の機運の向上につながっていきます。  政府も、2050年カーボンニュートラルを打ち出し、脱炭素社会、循環経済、分散型社会への三つの移行により経済社会を再設計し、グリーン社会を実現していくため、新しい需要を創出し、経済社会の変革を図るとしており、これは、長野県にとって追い風であります。  こうしたことの実現のためには、技術やそれを支える産業、そして、県民の意識が変わり、エシカル消費の考え方などが定着することも必要となってくるわけです。そのためには、県民生活や企業活動のゼロカーボン化に対するインセンティブを与えることやゼロカーボン関連企業の県内誘致などが考えられます。  そこで、知事に伺います。  都道府県として初めて気候非常事態宣言を行い、昨年10月に長野県脱炭素社会づくり条例を成立、施行されている本県は、ゼロカーボンの実現に大きな責任があると考えますが、国とどのような連携を図っていかれるのでしょうか。グリーン社会の実現に向けて、県民生活や企業活動において必要なもの、足りないものは何か。また、足りないものをどのように補っていくのでしょうか。  政府機能の移転について伺います。  東京一極集中是正のために、首都機能、政府機能移転の議論は大いに必要だと考えます。適切な都道府県に省庁が移転することは機能面でも大いに効果があり、グリーン社会の実現に先駆的に取り組み、自然豊かな長野県は、環境省の誘致なども考えられます。首都機能、政府機能の地方移転に対する知事の考え方について伺います。  新たな長野県のビジョンについて伺います。  国では、新たなる日常を推進していますが、長野県らしいポストコロナのビジョンを描くことが重要です。これから期待が持てる社会であるDX社会の実現、ゼロカーボンの社会の実現、人と企業の信州回帰、持続可能な社会などなど、これらは、県民だけでなく、各市町村、企業、各種団体などの理解と協力が必要不可欠です。  長野県は、東日本台風被害の後、「ONE NAGANO」を合い言葉に、県民が協力して復旧・復興を目指し、多くの協力を得ています。コロナの終息後に、しあわせ信州創造プラン2.0に掲げる確かな暮らしが営まれる美しい信州に長野県民が一丸となって進める好機でもあります。県民が不安を感じている今だからこそ、ポストコロナの時代に希望の持てるビジョンを示していただきたいと思いますが、知事の御所見を伺います。  令和3年度当初、令和2年度補正予算について伺います。  知事より上程された予算案は、まさに長野県開闢以来の非常事態に対応すべく、過去最大規模の予算編成となっております。これは、コロナ禍という我々が初めて体験した事態を県民一丸となって乗り越え、さらにこの危機をチャンスと捉えた新たな社会づくりも視野に入れたものであることはよく理解できます。県民の確かな暮らしを守り、より豊かで安全な信州の実現を目指す知事の熱い思いが伝わる予算編成であり、積極的に取り組む姿勢は評価できるものであります。  令和2年度補正予算と併せまして、予算編成の思いや今後の執行に当たっての考え方について何点かお聞きします。  県土の強靱化について伺います。  平成30年度に始まった防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が今年度終了するところでありましたが、我々が継続を強く要望した成果があり、国において防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策として閣議決定されました。  相次ぐ災害に見舞われている本県として、災害に強い県土づくりを進めるため、これをしっかりと活用していかなければなりません。今回の2月補正予算案において、この加速化対策487億円を活用した流域治水や道路、河川施設などの老朽化対策をはじめとする防災・減災対策を計上されていますが、この予算をどういう考え方で執行していかれるのでしょうか。また、国からの加速化対策の財源を活用して、今後5年間でどのように長野県らしい県土づくりを進めていくのか。知事に伺います。  行財政改革について伺います。  県債残高の増加や基金残高の減少など財政状況が厳しさを増す中で、新型コロナの影響による社会情勢やDXの加速化など県の行財政を取り巻く環境の変化に対応するため、現行の行政経営方針を見直すことを表明されましたが、新たな行政・財政改革方針の策定に当たり、今後どのような考え方で改革を進めていくのか。目指す方向性について現時点での知事の考えをお聞かせください。  最後に、未来に向けた知事の決意について伺います。  令和3年度当初予算編成方針において、財源と人的資源を重点的に投下する重点テーマの一つに、アフターコロナも見据えた未来への投資を掲げています。人や企業の信州回帰の促進や成長期待産業への支援など、中長期的視点に立った未来志向の取組を推進するとのことですが、コロナ後の未来をどのように見据え、どのような施策でそれを切り開こうとしているのか。来年度予算案に込めた知事の決意を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)それでは、宮本議員の代表質問に順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、私の10年間の県政運営について御質問を頂戴いたしました。  10年以上にわたって県知事の仕事を務めさせていただきました。この間、様々な取組を行わせていただきましたけれども、県議会の皆様方をはじめ、市町村、そして全ての県民の皆様方の御理解と御支援の中で仕事を進めることができました。改めて全ての皆様方の御協力、御支援に心から感謝申し上げたいと思います。  まず、災害に関連して御質問を頂戴いたしました。これまでの災害を振り返っての所感、そして災害対応の経験をどう生かすかという御質問であります。  知事就任の翌年に東日本大震災があり、そして、その翌日早朝に栄村を中心とする長野県北部地震がありました。その後も、地震、豪雪、噴火、洪水、様々な災害に本県は襲われ、そのたび、県民の皆様方の思いをできるだけ酌み取りながら早急な復旧・復興に努めてまいったところであります。  災害対応は、通常の行政の仕事の枠内では収まらない、県民の皆様方の日常の暮らしや日頃のなりわいが全く基盤から覆されてしまうという事態でありますので、通常の業務の発想を飛び越えて取り組んでいくことを強く意識して進めてまいりました。そのためには、選挙で選ばれている立場であります私が、できるだけ現場の声をしっかり伺い、そしてリーダーシップを発揮していくということを心がけてまいりました。  今後にどう生かすかという御質問でありますけれども、一つは、やはり事前の備えということが重要だというふうに思っております。市町村の皆様方はもとより、自衛隊、警察、消防、本当に多くの関係機関の皆様方が力を合わせて取り組まなければいけないのがこの災害対応であります。そういう意味で、関係機関の皆様方と日頃から顔の見える信頼関係をしっかり築くということが重要だと思っています。  また、事前の備えは、我々行政としては、もちろん訓練等を通じて行ってまいりますけれども、やはり県民の皆様方にも日頃から備えていただく。今、逃げ遅れゼロということを呼びかけさせていただいておりますけれども、こうした事前の対応は、災害を軽減していく上でも重要だというふうに思っております。これからも、長野県に暮らす皆様方の安心、安全を確保していく上で、ソフト面、ハード面、両面から全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから、コンクリートから人への評価、それから防災・減災への考え方についてという御質問であります。  公共事業そのものが是か非かという議論は必ずしも適切ではないというふうに思っております。長野県にとりましては、近年、特に激甚化、頻発化する自然災害に対応していく上で、公共事業を進めていくということも非常に重要な役割でありますし、また、地域の皆様方においても強く願っていらっしゃるところでもあるというふうに思っております。公共事業も重要、また、その一方で教育や福祉等の社会保障も重要ということで、両面をしっかり見ながら県政運営を行っていきたいというふうに思っております。  大事なことは、やはり限られた財源をどう優先順位をつけて有効に活用していくのか。そうした目的に照らして、最善の方策は何なのかということを常に考え続けていくということだというふうに考えております。  国と地方の関係ではまだまだ特定財源が多いわけでありますけれども、特定財源が多いと、ややもすると県としての政策選択がどうしても片方に偏りがち、ゆがみがちな部分があります。そういう意味で、財政、財源の分権化ということも引き続き国に強く求めていく必要があるというふうに思っております。  防災・減災についての県のスタンスでありますけれども、県民の皆様方の思いをしっかり受け止めて着実に推進していきたいと思います。特に、5か年加速化対策が国として打ち出されておりますので、この有利な財源措置をできるだけ活用して、地域の実態を踏まえながら、そして、費用対効果も十分に見極めながら事業を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、公共事業の重要性、それから県内経済の安定と発展にどうつなげるかという御質問であります。  公共事業によって、安全、安心な県土づくりということが実現できます。また、移動時間の短縮等によりまして、産業の生産性を上げる効果、あるいは生活の質を向上させるといった効果もあります。また、生産、雇用、消費といった経済活動が公共事業の投資によって創出される側面もあります。  公共事業の実施に当たりましては、人口減少、少子高齢化が進んでいくという社会現象をしっかり踏まえながら真に必要なものを厳選していくということが重要だと思いますし、また一方で、将来の維持管理費の負担ということも念頭に置いた上で対策、対応を進めていくということが重要だと考えています。こうしたことを全般的に見据えながら適切な事業の実施、執行を図ってまいります。  続きまして、理想とする地方創生についての御質問でございます。  大きく二つあると思っております。一つは、地方それぞれが、その強みを生かしながら持続的に地域が発展していくことを目指していくこと。それから、特に行政の立場で感じておりますのは、県民の皆さん、住民の皆様方の思いや願いを実現していく上では、より自立度の高い分権型社会をつくっていくと。この二つが極めて重要だというふうに考えております。  強みを生かしながら持続的に発展させるという観点では、本県は、県議会の皆様方の御理解もいただきながら、例えば高等教育の振興ややまほいくの普及をはじめとする子育て環境づくり、さらには、医療機器、航空機、ITバレー構想の推進といった産業の創出、活性化、さらには、UDC信州、信州地域デザインセンターの開設によるまちづくりの推進と、長野県の強みや特色を生かした取組をこれまで着実に進めてくることができたというふうに考えております。  しかしながら、一方で、自立した分権型の社会の実現はまだまだ道半ばというふうに感じております。私は、かつて竹下内閣でふるさと創生1億円事業が行われた際に担当の係長をしておりました。当時は、地方の財源はほとんどが補助金で、国が決めたことを粛々と実行するという発想が強い時代でありました。その頃に比べると、大分自立度、分権度は上がってきているというふうに思いますが、まだ真に分権型の社会が実現したとは言い切れないというふうに思います。  全国知事会でも分権の研究会を行って、私も参加させていただいておりますけれども、こうした議論を深める中で、国と地方の関係性の在り方を継続的に考え、そして具体的な提言も行っていきたいというふうに考えております。そうしたことの先に、真に地方が自立し、そして、それらの地域が強みや個性を発揮して発展していく、本当の地方創生を実現していきたいというふうに考えております。  続きまして、少子化対策でございます。少子化の状況についての現状認識と今後の対策の取組についてという御質問であります。  令和2年の婚姻件数は、速報値によりますと前年比で約13%減少という状況であります。また、令和2年1月から10月までの妊娠届出件数は前年同期比6%の減少ということで、県民アンケートの結果を見ても、約3割の方がコロナ禍で結婚、出産に後ろ向きになったという御回答でございます。そういう意味で、少子化に一層の拍車がかかってしまうのではないかということを懸念しているところでございます。  コロナ禍で、若い人たちはさらに出会いの機会が減少している状況であります。また、家事、育児への女性への偏り、あるいは若者の経済的不安定さといったようなこともかねてから指摘されております。加えて、不妊に悩まれていらっしゃる方も近年増加しております。  こうしたことから、県としては、次の3点に当面重点を置いて取り組んでまいります。  一つは、若者への結婚支援、二つ目が、働く環境の改善と安定した雇用の実現、そして、3点目が、不妊・不育治療にかかる負担の軽減でございます。こうした問題意識をしっかり持ちながら、危機感を持ってこの少子化対策に臨んでまいります。  続きまして、産業の関係で、稼げる企業、安心して働ける職場を十分に確保するためどのような取組を行っていくのかという御質問であります。  今後、地域経済、産業を発展させていく上では、成長力の源泉であります人づくりや技術革新を積極的に進めることにより、産業のイノベーションを加速化させていくことが極めて重要だというふうに考えております。また、こうしたことと併せて、働く方たちが自分らしく安心して働くことができる職場環境づくりを行っていくということも極めて重要な状況だと思っております。  こうした中、産官学で産業イノベーション推進本部を設置して、様々な課題について検討してきております。方向性としては、一つは成長分野への集中的な支援を行うこと、そして、ITバレー構想や産業DXの促進、さらには、グリーン分野の技術革新といった今後重要度が増してくるような分野における産業の振興を行っていくことが方向として示されております。既に具体的な施策にも着手させていただき、来年度当初予算にも必要な予算を盛り込ませていただいたところでございます。引き続きDXやグリーン化、ゼロカーボン、こうしたことをキーワードにしながら、アフターコロナを見据えた攻めの取組を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、農業でございます。これまでの取組を踏まえて、今後の農業振興の方針についてどうするのかという御質問であります。  本県農業の持続的な発展を目指す上では、担い手の育成、生産性の向上、そして高付加価値化、この3点が肝要だというふうに考えております。  担い手の育成確保については、市町村やJAなどとも連携した就農相談、情報発信、さらには農業大学校の改革、里親研修制度等によりまして、就農から経営確立まで一貫した支援に努めてきております。近年、農家以外から新規参入される方が増えてきている状況でありますので、昨今の地方回帰の動きも踏まえて本県農業の魅力発信を図り、そして、相談機能も強化しながら全国から新規就農者を呼び込んでいきたいというふうに考えております。  また、生産性の向上につきましては、農地の集積、集約化等による生産性の効率化、向上を図ってきております。この10年間で10ヘクタール以上の大規模農家の割合は農家全体の19%から34%まで拡大してきているところでございます。  また、高付加価値化につきましては、競争力が高いオリジナル品種の開発を進めますとともに、営業本部を中心として、国内外の販路開拓やブランド力の向上にも努めているところでございます。  今後、さらなる規模拡大や経営の多角化に不可欠な雇用人材の確保を進めますとともに、先端機器を活用したスマート農業の導入や魅力ある新品種の開発を加速化してまいりたいと考えております。いずれにしても、農業を取り巻く状況は厳しい状況ではありますが、農業に携わる方たちが夢と希望を持って取り組んでいくことができるように引き続き全力を傾注してまいります。  続きまして、森林・林業の変化と今後の必要な取組についてという御質問でございます。  本県の素材生産量は、平成22年に30万立方メートルでございました。それが、令和元年におきましては56万立方メートルということで1.9倍にまで増加いたしました。この伸び率は全国トップクラスの伸びでございます。また、平成22年に461万円でありました林業就業者1人当たりの木材生産額は、平成30年には約2割増の553万円にまで伸びております。林業の生産性も着実に向上しているというふうに考えております。  また、防災・減災のための森林整備に加えまして、平成30年度以降、里山整備利用地域として87の地域を認定し、また、森林づくり県民税を活用しながら、地域の皆様方が自立的に行う里山の整備、利活用の取組が県内各地で進められているという状況であります。  今後とも、豊かな本県の森林資源を有効に活用していかなければいけないというふうに考えております。  まず、主伐、再造林を促進してまいります。加えて、製材用等の良質材からチップ用等の低質材まで幅広くバランスの取れた県産材の需要拡大を行ってまいります。また、意欲と能力のある林業経営者を中心として、スマート林業の定着等林業の低コスト化も進めてまいります。加えて、治山事業等防災・減災対策や、市町村と連携した森林経営管理制度による森林整備などの取組も必要だというふうに考えております。引き続き、本県の森林が持つ機能や価値を最大限発揮することができるように取り組んでまいります。  また、2050ゼロカーボンの実現に向けては、森林吸収源対策も重要でございますので、そうしたことも念頭に置きながら健全な森林づくりと木材の利用拡大を進めてまいります。  続きまして、健康寿命と平均寿命の乖離に対する問題意識と取組についてでございます。  長野県は長寿県でございますが、お亡くなりになられるときまで健康で居続けていただけるようにしていくということも併せて重要だというふうに考えております。そうした観点で、健康づくり県民運動、信州ACEプロジェクトにさらに力を入れて取り組んでいきたいというふうに考えております。  最近、国立がん研究センター等の機関から健康寿命延伸のための提言が出されております。そこでは、食事や身体活動の重要性がエビデンスに基づいて示されております。信州ACEプロジェクトの取組の有効性が裏打ちされているものというふうに考えております。引き続き、市町村や企業、医療関係者、保険者、健康ボランティアなど多くの皆様方と連携を図りながら信州ACEプロジェクトのさらなる推進を図ってまいりたいというふうに考えております。また、こうした健康づくりの取組と併せて医療や介護の体制強化も図って、安心して暮らせる長野県づくりに努めてまいります。  それから、教育について御質問をいただきました。これからの時代に対応するための教育の重要性と教育が持つ力をどう考えているかという御質問でございます。  日本の発展には、大きな節目が幾つかあったと思います。明治維新や太平洋戦争後、日本が近代化に向けて歩みを始め、そして、戦後の復興から経済発展を大きく遂げていく、そうしたことの一つの大きな原動力は、教育の仕組みづくり、教育の充実にあったものというふうに考えております。今、まさに社会が大きく変化しようとする中で、いま一度教育の重要性ということを考えていかなければいけないというふうに思っております。  教育システムは、非常に精緻に組み立てられております。そして、いわゆる日本の高度経済成長には重要な役割を果たして、言わば成功モデルでもありましたので、変革していくことがかえって難しい側面があるわけであります。  しかしながら、これから予測不可能な将来を子供たちが生き抜いていく上では、やはり教育システムの在り方、教育の在り方ということもいま一度大きく見直していく必要があるのではないかというふうに考えております。  子供たちにとっては、やはり自立した人間として社会生活を営んでいくことができるようにしていくこと、また、社会の変化に対応して自らの能力を最大限発揮できる、どのようなハンディキャップがある子供たちにとってもそうした能力が発揮できるようにしていくということが大変重要だというふうに思っております。  そうしたことを考えると、これまでのように中央集権的、画一的な教育ではなく、やはり教育現場が主体的になって方向を考えられる、そして、子供たち一人一人に最適な学びを実現できるような教育を進めていくということが重要だと考えております。また、行政の役割としては、子供たちの教育機会が所得格差等によって不公平が生じることがないようにしていくことも併せて重要だというふうに考えております。こうした教育の重要性をしっかり認識し、教育委員会とも連携しながら、さらなる長野県の教育の発展のために取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、信州で学びたいという教育をいかに確立していくべきかという御質問でございます。  先ほど申し上げたように、子供たちの能力、個性は様々であります。そういう意味では、学校に子供たちが合わせるのではなく、子供たちに学校が適合していく、合わせていくことが重要だと思います。そのためには、多様な学びの場が極めて重要だと思っております。  長野県は、例えば信州やまほいくということで、自然を生かした教育に多くの保育園、幼稚園の皆さんに御賛同いただき、現在では県内226園に広がりを見せています。これは、長野県の特色を生かした学びの一つの形だというふうに考えております。  また、私立学校の動きも活発でございます。風越学園や大日向小学校のような特色ある教育を行う学校が本県に立地していただいております。そのおかげで、こうしたところで学ばせたいということで全国からも注目され、移住される方も増えてきております。県としても、こうした私立学校の皆さんともしっかり連携を行うことが重要だというふうに考えております。  加えて、校長がリーダーシップを発揮して、効果的で特色あるカリキュラムを、個々の高校、学校が実現していけるようにしていくということも重要だというふうに考えております。  先日まで知事会で文教環境常任委員長を務めておりましたので、高等学校教育のあり方研究会を知事会で設置して、今、長野県が中心になってその取りまとめを行っているところでありますけれども、その中で、より分権型の教育制度にしていくこと、そして、高等学校の魅力化、特色化を進めていく上では、やはり校長等がリーダーシップを発揮できる、そして社会に開かれた学校にしていくことが重要だということを今後の提言に盛り込もうということで議論をしているところでございます。  こうしたことを進める中で、保護者の皆さんにとっては、ぜひ長野県で子供たちを学ばせたいと。そして、子供たちが様々な能力を発揮できるような学校になるように市町村、教育委員会とも連携して取組を進めていきたいと考えております。  続きまして、グローバル人材の育成、それから地域の歴史や伝統文化を学ぶための教育の必要性についての御質問であります。  グローバル教育については、まずは小中高通じて基礎的な英語力の向上を図っていきたいと思っております。加えて、スーパーグローバルハイスクール、あるいはワールドワイドラーニングの指定を受けている学校を中心として、より先進的な取組を長野県から行っていきたいというふうに考えております。  加えて、コロナ禍で今は活動が十分に行えませんけれども、信州つばさプロジェクトということで、高校生の海外留学をどんどん増やしていく取組も今後力を入れて着実に拡大していきたいというふうに考えております。  また、県立大学においては、英語集中プログラムや海外短期研修を全員参加にさせていただいておりますけれども、こうしたことを通じてこのグローバル人材の育成に力を入れてまいりたいというふうに考えております。  また、地域を愛するために歴史や伝統文化を学ぶ教育はグローバル化にとっては不可欠だというふうに考えており、本県は信州学に取り組んできております。平成28年度からは全ての県立高校で実践して、地域の皆さんと一緒になって様々な活動、学びを行っております。  今後とも、信州学などを通じて、郷土を愛する、そして郷土のことをよく知っている若者たちがグローバル社会の中で活躍できるように取り組んでいきたいと考えております。
     続きまして、コロナ対応についてでございます。  まず、感染症対策の苦慮した点と力を入れていくべき点についてという御質問でございます。  苦慮した点は様々ございますけれども、新型コロナウイルスについてはどんどん状況が変わってくる。約1年前までは、感染症としてのコロナウイルスの特性がなかなか把握できていない部分もございました。また、最近では、変異株の発生もあり、コロナウイルス自体の特徴も変化しつつあるということで、そうしたいろんな状況の変化に常に対応していかなければいけないという難しさがございます。  また、県民の皆様方の命と健康を守る上では感染拡大防止にしっかり取り組むことが重要でありますが、この感染症予防を進める上では、社会経済活動も場合によっては抑制をかけなければいけないということで、この感染防止と社会経済活動をできるだけ両立させていくにはどうするべきかということについてかなり難しい判断が求められるというふうに思っております。そういう意味で、この1年間、非常に悩みながらコロナ対応に取り組み、決断を重ねてきたところでございます。  今後力を入れるべき点という御質問でありますが、1年間様々な対応を行ってきましたので、いろいろなデータの蓄積、あるいは知見の蓄積というものも行われてきております。長野県としては、対策の基本的な原則として、早く、狭く、強く、短くと、早く対策を講じて、できるだけ狭い範囲で強い措置を講じることによって、短く抑えていくという考え方で取り組んできておりますが、こうしたことも含めて、知見を踏まえた的確な対応を今後ともさらに行っていく必要があるというふうに考えております。  また、多くの県民の皆様方が期待されておりますワクチン接種については、多くの関係機関としっかり連携を図りながら円滑に行うことができるよう県としての役割を果たしていきたいと考えております。  加えて、産業や暮らしに大きな影響が出ています。そういう意味で、暮らしや産業に対する支援については引き続き積極的に行っていくということが重要だと考えております。まだまだ完全な終息を迎えているわけではありませんので、引き続き感染拡大に留意しながらコロナ対応を行ってまいります。  続きまして、医療体制の課題と今後の対応についてという御質問でございます。  今回のコロナ対応から見えてきた医療提供体制の課題としては、大きく二つあるというふうに思っております。  一つは、感染症の患者を重点的に受け入れていただく医療機関とその他の一般診療を担う医療機関等との役割分担が必ずしも明確ではなく、また、相互の連携体制も十分ではないということで、限られた医療資源が十分効率的に活用されていなかったのではないかという点。それから、2点目としては、病床確保計画で見込んでおります病床数に見合った医療従事者が各医療機関で十分確保されていないということで、実際の患者の受入れに困難を来す場合もあるということが考えられます。  県としては、今後、医療関係者の皆様方を中心に議論を行ってまいります。2次医療圏ごとに地域の医療資源の全体像を踏まえまして、医療機関の役割分担の一層の明確化、相互の連携強化を進めていきたいというふうに考えております。加えて、医療従事者の確保については、これは抜本的な取組を国に要望していきたいというふうに考えております。  また、次期医療計画には、新興感染症等の感染拡大時における医療の提供体制について追加していくことになります。感染拡大時の短期的な医療需要に機動的に対応することができますよう、今後、地域の行政、医療関係者の間で、議論、準備を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、ワクチン接種に係る県の役割、そして市町村支援の体制についてでございます。  ワクチン接種については、まずは安全を第一にしなければいけないというふうに考えております。加えて、無駄なく円滑に行っていくことが必要です。そのためには、関係機関の連携協力が不可欠であり、県としてもその中心となって役割を果たしてまいります。  具体的には、大きく県の役割は三つあると思っております。一つは、優先的な接種の対象となります医療従事者等への接種体制の調整、二つ目が、高齢者や一般県民に接種を行います市町村に対する支援、そして、三つ目が、県民の皆様方に対する情報提供や専門的な相談への対応、この三つであると考えております。  今後、3月上旬には医療従事者向けワクチンの第一弾が県内に入ってくる予定でございます。現在、各圏域ごとに保健所、郡市医師会に調整に当たっていただき、接種場所、人員体制の確保、必要な資機材の手配等の準備を行っているところでございます。今後の市町村によります接種を円滑に行う上でも、まずはこうした取組をしっかり進めていきたいと考えております。  また、県としては、このワクチン接種を進める上で、まず小岩副知事が統括するワクチンチームを新型コロナ対策本部に設置いたしました。加えて、今月10日には、市町村や関係団体と一緒に新型コロナウイルスワクチン接種体制整備連絡会議を設置いたしました。こうした場も活用してワクチン接種の円滑化を図ってまいります。  続きまして、ワクチンの安全性や供給体制に係る情報提供についてという御質問でございます。  まず、ワクチンの安全性については、本県としては、国からの情報はもとより、本県でワクチン接種を進める中で副反応等の情報についても可能な限り幅広く発信していきたいというふうに考えております。  また、ワクチン接種に係る留意事項や接種後の副反応等に関しては、医学的見地からアドバイスをいただくことが必要だと思っております。そのため、医療の専門家から構成されるアドバイザリーボードをできるだけ早く設置したいと考えております。こうした皆さんの御協力もいただきながら、ワクチンの安全性や有効性に関する情報を分かりやすく発信していきたいと考えております。また、ワクチンの配送等に係る情報についても、その都度できるだけ速やかに情報発信をしていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、ワクチンについては多くの皆様方が関心をお持ちでありますので、県民の皆様方や市町村、医療機関とも十分情報共有を図りながら進めていきたいと考えております。  続きまして、これまでの経済支援策と今後の県内経済の再生に向けた取組についての御質問でございます。  昨年の春以降、断続的に経営支援等を行ってまいりました。持続化給付金や持続化補助金による経営支援、雇用調整助成金による雇用の確保などの国の取組に併せて、実質無利子無担保の資金メニューの創設や持続化補助金に対する上乗せ補助、さらには、県独自の雇用の維持確保のための支援等を県としても行ってきたところでございます。  こうした支援策とそれぞれの経営者の皆様方の大変な御努力により、昨年度の県内の倒産件数はリーマンショック後の平成20年度の半分以下にとどまっております。また、県内の有効求人倍率も、昨年12月には1.18倍にまで回復してきております。  こうした意味では、一定の下支え効果もあったというふうには考えております。しかしながら、依然として飲食業、宿泊業等を中心として厳しい経営環境に置かれている事業者の方たちが多くいらっしゃるという状況でありますので、こうした支援策を今後とも継続的に行っていかなければいけないというふうに考えております。  まず、国に対しては、持続化給付金の再支給など必要な取組を引き続き求めていきたいと考えております。加えて、新しい生活様式の徹底を図った上で、飲食業等のサービス業、観光業の需要喚起にも取り組んでまいります。「新たな会食のすゝめ」というものを打ち出して、安全対策を行っていただきながら、多くの県民の皆様方に積極的に飲食店を御利用いただきたいと思っています。  また、今後の経済再生に向けましては、これまで新型コロナ対策産業支援・再生本部で様々な検討を行ってまいりました。その方向を踏まえて取組を進めてまいりますが、経済団体や国、金融機関と連携しながら、DXの加速化等信州ITバレー構想を進めてまいります。また、SDGs、グリーンリカバリー等に重点を置いた産業の再生支援を行ってまいります。  加えて、企業の国内回帰やサプライチェーンの強靱化、こうしたことにも取り組んでまいります。まだまだ厳しい経済状況であるということを十分認識しながらも、その先の本県経済の再生、発展を見据えながら具体的な取組を行ってまいります。  続きまして、観光についてでございます。  観光誘客の段階的な進め方とさらなる支援についてという御質問でございます。  このコロナウイルスは、感染の拡大と収束が繰り返されるわけであります。その波の状況に応じて臨機応変に感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていくということが重要だというふうに考えております。自動車に例えれば、アクセルとブレーキを適切に使い分けることが重要だというふうに考えております。特に、人の移動が伴う観光におきましては、需要の喚起と誘客の一時停止を機動的に行っていくことがとりわけ重要だというふうに考えております。  現在の感染状況は、本県内では比較的落ち着いている状況にございますので、県民に対象を限定して家族宿泊割やスキーリフト半額キャンペーンから再開しているところでございます。今後、宿泊割の対象の拡大、そして、スキー場以外の冬のアクティビティーにも支援対象を拡大する等段階的な誘客施策の充実に努めてまいります。  また、今後も切れ目のない観光産業への支援が必要だというふうに考えております。2月補正におきまして20億円の予算案を計上させていただいているところでございます。引き続き、観光県として裾野の広い観光産業をしっかりと支援していきたいと考えております。  続きまして、観光再生の取組でございます。  まだまだコロナウイルスの収束が見通せない状況ではありますが、一方で、収束後は確実に観光需要は増加するというふうに考えております。そういう観点での備えを今から行っていくということが重要だと考えております。  昨年9月には、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針を取りまとめさせていただいております。ここでは、長期滞在型観光の推進、それから信州リピーターの獲得を柱に掲げさせていただき、今から先を見据えた取組を進めようとしているところでございます。  具体的には、例えば、長期滞在に欠かせない泊食分離に向けて、宿泊先と別の旅館、飲食店、双方で食事を取ることが可能となるような連携体制の構築や、スキー等を満喫しながら快適に仕事ができるワーケーション対応の宿泊プランの提供など、こうした取組を県としても支援しているところでございます。  また、各地のDMOに様々な取組を効率的に進めてもらうということが重要だと考えております。HAKUBAVALLEY TOURISMをはじめとして、県観光機構から専門人材を派遣して広域エリア内での観光施策の充実にも取り組んでいるところでございます。アフターコロナにおいて信州観光の底力が十分発揮できるように観光関係者の皆様方と協力をしながら取組を進めていきたいと考えております。  続きまして、緊急事態下における対策の方向性についての御質問でございます。私権制限や国と地方の関係について今後どのような方向性で見直していくべきか、憲法改正の必要性も含めて伺うという御質問であります。  今回、感染症法や特措法の改正が行われました。一定の私権制限が法律上追加されたわけでありますけれども、感染症対策は、私の思いとしては、やはり県民の皆様方の主体的な協力参加の下で一体となって行っていくことが重要だというふうに考えております。そういう意味で、私権制限にわたるような対策、対応はできるだけ行わないことが基本だというふうに考えております。  また、そうした中で、国と地方の関係についてでありますけれども、これは、緊急事態宣言下、あるいはパンデミック下のみならず、やはり平常時から少し課題があるというふうに思っております。我々は、法令に基づく対応のみならず、国からの通知、もっと言うと事務連絡、誰の責任で出しているか必ずしも明確ではないような文書に基づいて仕事をせざるを得ない局面がどうしても多いわけであります。国と地方の関係性の明確化は、こうした危機管理事象のときはとりわけ重要だと思いますが、一般的な施策を進めるに当たっても、我々はもっと意識しなければいけませんし、国においても意識をしてもらう必要があるのではないかというふうに考えております。  また、今回の一連の対応の中で、私としては、特に憲法改正等にわたる必要性はあまり感じておりませんが、しかしながら、私権制限の在り方や、今申し上げた国と地方の関係性というのは、やはり不断の検討が求められてくるものというふうに思います。  また、憲法改正、憲法の在り方についてでありますけれども、やはり憲法制定主体は我々国民一人一人でありますので、国民主権を実質化していくという観点からは、やはり国民の多くの皆様方が常に憲法に関心を持ち、また幅広い議論が行われていく、あるいは行っていく、こうしたことが必要だというふうに考えております。  続きまして、新しい時代のビジョンについて何点か御質問をいただきました。  まず、DX社会の実現に向けてデジタル庁への期待と県のやるべきことという御質問でございます。  国民があまねくデジタル化の恩恵を享受して、安全、安心で豊かに暮らすことができる社会を築いていくことが重要です。そのため、デジタル庁には、司令塔となって、超高速の情報通信インフラの整備やデジタルディバイドの解消、こうしたことをナショナルミニマムとして位置づけていただき、国の責任と負担の下で強力に推進していただきたいというふうに期待をしております。  また、我々県も、市町村も、様々な取組を進めていかなければいけません。システムの導入や維持管理、人材の育成確保、こうした取組を行うに当たっては、かなり多額の財政負担も必要になってまいります。こうしたものに対する財政支援も含めて、地方と十分連携してDXを進めていただきたいというふうに考えております。  また、県としては、これまで、国の動きに先駆けて長野県DX戦略を策定し、取組を始めております。教育環境のデジタル化、自治体のスマート化、全ての産業分野におけるDXの推進、IT企業や人材の育成誘致、こうしたことを市町村、企業、大学との連携の下で進めていきたいというふうに考えております。加えて、全ての県民がデジタル化の恩恵を実感できるよう、誰一人取り残されないというSDGsの理念も踏まえて、多くの皆さん、全ての皆様方が利便性を享受できるように取組を進めていきたいというふうに考えております。  それから、教育、県民生活、行政の各分野における取組という御質問でございます。  まず、教育については、ICT教育推進センター(仮称)を設置いたしまして、各教育現場がICT機器を有効に活用することができるように、また、デジタル教材の効果的活用や教員のICTスキルが向上するように取組を進めてまいります。  また、県民生活の分野では、県立病院において遠隔診療を行うための機器整備を進めていきたいと考えておりますし、また、公共交通機関、あるいは観光地の店舗におけるキャッシュレス決済の導入も支援してまいります。  行政事務におきましては、施設のセキュリティーを高めて、非常時にあっても安定した行政サービスを提供できるようにしてまいります。また、そのことと併せて、より創造的な働きを職員が行えるようにしていきたいと思っております。具体的には、次期情報システムの導入であったり、あるいはAIやRPAの利用拡大に合わせて業務の効率化を図っていくことであったり、また、ペーパーレス化をさらに徹底していく、こうしたことをしごと改革とも一体的に進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、DX戦略の加速に必要なもの、そして、今後の施策の方向性、人材確保についてどう考えるかという御質問でございます。  まず、昨年7月のDX戦略の中で目指すべき姿を示させていただきました。DX戦略を進めていく上では、将来ビジョンを多くの皆さんと共有することが必要であるというふうに考えたからでございます。  また、限りがある人材、財源を有効に活用していくということもこのDX戦略を進める上では重要であります。そういう意味では、令和3年度において、DX推進課、それからデジタルインフラ整備室を県として設置してまいります。ICTを活用した業務改善等に関する事務、あるいは大規模な情報システムの調達事務、こうしたものを集約化して一体的に行っていくための体制を整えようというものでございます。  また、人材確保という観点では、長野県DX戦略推進パートナー連携協定という協定を企業と締結しております。この締結先の企業は、様々な先進的な取組を行っている企業でありますが、そうしたところからデジタル人材を派遣していただく。そして、一緒になってデジタル化を進めていきたいというふうに考えております。  加えて、企業内IT人材の育成や働く社会人の皆様方にもITスキル等を学んでいただくリカレント教育講座の開設、こうしたことにも力を入れて取り組んでまいります。  続きまして、デジタル社会における人と人との絆や人間力の大切さについてという御質問でございます。  デジタル技術は、コミュニケーションの円滑化をはじめとして、私たちの暮らしを便利にしていく、私たちの取組をサポートしてもらう、あくまでもそうした道具であり、ツールであるというふうに考えております。そういう意味では、道具に引っ張られるということではなくて、私たち人間が創造力をもってこの道具を使いこなしていくということが重要だというふうに考えております。  DXを進めていく上では、御高齢の方、障害者の方等も含めて、多くの皆様方が日常生活の中でICTを活用できるように支援していく。そして、多くの皆様方が恩恵を受けられるようにしていくことが重要だというふうに思っております。その上で、こうしたデジタル化で生み出された時間については、人にしかできない活動に充てていくということが重要だと思っています。ぬくもりが必要な接客業務や人と人との対人サービスのようなものに充てていく。さらには、我々行政にあっても、創造的な業務にできるだけ職員を振り向けていく。こうしたことが重要だというふうに考えております。  そういう意味では、デジタル化が進む中でも人と人との温かな交流が失われることがないように、そして、デジタル化、あるいはICTという道具に逆に人間が使われることがないように意識をしなければいけないというふうに考えております。デジタルと人間が共存して、人間がしっかりと使いこなし、人間性をより豊かなものにしていく。そうした方向性を目指しながらこのデジタル社会の構築を進めていきたいと考えております。  続きまして、地方回帰の気運の高まりをどう捉え対応していくかという御質問でございます。  コロナ禍において、やはり東京一極集中、過密な暮らし方に対する疑問が多くの皆様方の中に芽生えてきつつあるのではないかというふうに思っております。また、新しい働き方や暮らし方、リモートワークをはじめとして、そうしたことも徐々に定着しつつあります。移住したい県ナンバーワンということで多くのところで評価されている本県としては、非常に追い風であり、チャンスであるというふうに考えております。  来年度は、信州回帰プロジェクトというふうに銘打って、部局間の連携によりまして、長野県に対する人や企業の動きを活発化して、そうした動きを県内定着へと結びつけていきたいというふうに考えております。  まず、本県の魅力を総合的にしっかり発信していきたいというふうに考えておりますし、また、銀座NAGANOの機能についても拡充してまいります。仕事と暮らしがある信州ということをしっかり発信してまいります。また、都会では体験できないような生活、暮らしも長野県の魅力だと考えております。農ある暮らしの提案や農地つき住宅物件の提供も進めてまいります。また、本県は大都市圏から近いということが優位性の一つでもありますので、そういう意味では、移住ということだけではなく、つながり人口の拡大ということにも力を入れていきたいと考えております。  信州リゾートテレワークに力を入れておりますけれども、こうしたPRも大都市圏の企業向けにしっかり行っていきたいというふうに考えておりますし、また、副業を解禁している企業も大分増えてきておりますので、県としての取組を進めるに当たっても、様々な副業人材、大都市に居住されているけれども地方の取組にも関心がある。そうした人材を積極的に活用していきたいと考えております。  また、2地域居住についても、新しい働き方、暮らし方の中でさらに進めていきたいと考えております。来月、全国二地域居住等促進協議会が設立されます。全国の自治体と連携して、国ともしっかり協力をし合いながら、新しい暮らし方の選択肢を多くの国民の皆様方に提供できるようにこの協議会を活用して取組を加速化していきたいと考えております。  続きまして、サプライチェーンについてでございます。県内経済の活性化、強靱なサプライチェーンの実現を、県内回帰の動きを生かして進めるべきという御質問でございます。  今回の新型コロナの感染拡大で、産業にも大きな影響が出ました。その一つがサプライチェーンの断絶であります。安定的に企業経営を行っていく上では、サプライチェーンをしっかり再構築していくことが大変重要だというふうに思っております。県としては、まず、県内企業のBCPの策定支援を行ってまいります。加えて、サプライチェーン強靱化のための受発注開拓や企業誘致の支援、こうしたことにも取り組んでまいります。  信州ものづくり産業応援助成金におきましては、サプライチェーンを強靱化する企業の助成率に1%加算して支援するという形にいたしております。個々の企業の取組だけではなく、こうした産業構造全体を見据えながら、必要な支援に引き続き取り組んでまいります。  続きまして、ゼロカーボンについてでございます。  まず、国との連携についての御質問でございます。  ゼロカーボン社会の実現には、国と地方が連携協力して取り組むことが不可欠であります。法律に基づく様々な規制等については、国に行っていただかなければ取り組めないこともたくさんあります。その一方で、まちづくりなど地方の現場で取り組まなければいけないこともたくさんあるわけでありますので、そういう意味で、国と地方の連携協力は不可欠な分野であります。本県としては、気候非常事態宣言を都道府県で最初に行った県として、日本の気候変動対策をしっかりリードしていく、そうした強い決意で取り組んでいきたいと考えております。  全国知事会のゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチームにおいては、私がリーダーを務めさせていただき、環境大臣等に対してこれまでいろいろな提言を行ってきております。2050実質CO2ゼロを表明してほしいということを環境大臣に提言したところ、総理からカーボンニュートラル宣言を行っていただきました。大変ありがたいことだというふうに思っております。  また、現在、内閣官房長官をトップといたします国・地方脱炭素実現会議が設置されておりますけれども、私も構成員の一員として参画させていただいております。6月頃に地域脱炭素ロードマップが取りまとめられる予定となっておりますので、地方の立場から積極的な提言を行い、国の施策に反映させていきたいと考えております。  また、様々な法規制等について、これからも引き続き地方から具体的な提言、要望を行っていきたいと思っておりますし、また、エネルギー自立地域づくり、ライフスタイルの転換、こうしたものは、どちらかというと地方が主導しなければいけない分野だというふうに思っておりますので、環境省をはじめ、経済産業省等も含めた国の各省庁とも問題意識を共有しながら、しっかりパートナーシップを組んで取組を行っていきたいと考えております。  続きまして、グリーン社会の実現に向けて必要なもの、そして、足りないものをどう補うかという御質問であります。  必要なものは、大きなものが二つあると考えております。  一つ目は、危機意識の共有だというふうに考えております。多くの皆さんが気候変動、気候非常事態ということについて関心を持ち始めておりますが、身近な課題として実感をお持ちでない方もまだまだいらっしゃいます。そういう意味では、気候変動がもたらす影響というものは、遠い世界の話ではなく、今回の東日本台風災害をはじめとして、まさに身近に迫っている危機であるということ、そして、まさに今行動を起こさなければ手遅れになってしまう可能性があるということを多くの皆さんと共有していくことが重要だと考えております。  それから、二つ目は、ビジョンの共有だというふうに考えております。ゼロカーボン社会とは一体どんな社会になるのかということを具体的なイメージとして共有していかなければいけないというふうに考えております。  切り詰め、節約することによってゼロカーボンを目指すということではなくて、我々長野県が目指す社会は、経済成長も伴い、そしてより豊かな生活が実現する、そうしたゼロカーボン社会にしていく必要があるというふうに考えております。こうしたビジョンを県民の皆様方としっかり共有していくということが重要だと考えております。  これまで、意識共有ということでは、信州環境カレッジの充実を行ってきましたけれども、今後、ゼロカーボン実現県民会議を立ち上げて、県民運動の形で多くの県民の皆様方と問題意識を共有できるように取り組んでいきたいと考えております。  また、県としては、今後、脱炭素社会づくり条例を踏まえてゼロカーボン戦略を策定してまいりますけれども、今の危機意識とビジョンを多くの県民の皆様方と共有することができるような戦略の策定、取りまとめを行っていきたいというふうに考えております。  続きまして、首都機能、政府機能の地方移転に対する考え方についてという御質問でございます。  政府関係機関の地方移転につきましては、地方創生の初期の段階で、平成28年に政府関係機関移転基本方針に基づき、取組が行われてきました。ただ、残念ながら全体的に踏み込んだ内容にはなっていないというのが現状だというふうに考えております。  今般の大都市を中心とした新型コロナウイルス感染拡大や大規模災害の多発化、こうしたことを考えると、やはり東京一極集中についてはかなりリスク、課題があるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、政府機関につきましては、いま一度地方分散も含めてしっかり検討していただくことが重要だというふうに考えております。  あわせて、先ほども地方分権の話を申し上げましたけれども、単に場所を分散するということだけではなく、中央集権型の行政の仕組みですと、どうしてもそこに情報が集まり、みんながそこに情報を取りに集まるという、分散してもまた分散したところに集中するという形にならざるを得ませんので、やはり、本来の意味での分権化を進めていくことが必要だというふうに考えております。こうした課題は、日本の危機管理という観点からも、国土の持続可能な発展という観点からも、引き続き国全体の課題として幅広い議論が行われるべきものというふうに考えております。  続きまして、ポストコロナ時代に希望を持てるビジョンについてという御質問であります。  今回の予算の中でも、ゼロカーボンやDX、信州回帰といったような形で、未来に向けた投資をしっかり行っていこうということで予算編成をさせていただきました。その一方で、今はコロナ禍で、多くの県民の皆様方がどうしても元気が出ない、場合によっては後ろ向きになりがちな環境だというふうに私も思います。そういう意味で、明るい未来を共有して県民の皆様方と一緒になって今の危機を乗り越えていく、そうした未来に向けてのメッセージの発出も必要ではないかというふうに私も思います。  東日本台風災害の際には、「ONE NAGANO」ということで、みんなで協力してこの危機を乗り越えようと、市町村、関係団体の皆様方とも一緒になって取組を行ったわけでありますけれども、今、コロナ禍で非常につらい思いをされたり、厳しい環境に置かれている方たちが大勢いるということを一人一人の県民の皆様方と共有して、未来に向けて乗り越えていける、そうしたメッセージの在り方について考えていきたいと思っております。  続きまして、令和3年度当初予算、それから令和2年度補正予算についての御質問でございます。  まず、2月補正予算の執行と今後の県土づくり、防災・減災対策に関連してでございますが、国土強靱化の予算確保に当たりましては、9月県議会におきまして、3か年緊急対策終了後も引き続き国土強靱化に係る予算を確保することについての意見書を御議決いただきました。関係省庁に要望いただいたことについて、議員各位にはこの場をお借りして改めて感謝申し上げたいと思います。  まず、県内においては、防災・減災対策に取り組むべき箇所は非常に多くございます。そういう意味で、早期に効果を発現させていく上では、この補正予算をぜひ早期議決をしていただき、速やかに発注等の作業を進めていきたいというふうに考えております。  また、この国土強靱化の予算を十分に活用させていただき、流域治水対策、道路や河川砂防施設等の老朽化対策、そして、災害に強い道路ネットワークの構築などを計画的に進めてまいります。本県の地理的な優位性を発揮した本州中央部の広域交流の促進、本県の強みとしての観光振興や産業振興、こうしたことにもこの県土の強靱化予算がつながるように具体的な執行を行っていきたいというふうに考えております。  続きまして、新たな行政・財政改革方針策定に当たっての考え方についての御質問でございます。  現在の方針を継承、発展させて、新時代の行政経営の質的転換と財政構造の改革を目指すための方針を策定していきたいというふうに考えております。  策定のポイントは、大きく2点でございます。  一つは、複雑多様化する県民ニーズにしっかり対応していく上で、職員の能力を最大限に生かすことができる機能的組織に転換を図ってまいりたいと思います。そのことによって、県民の皆様も、そして職員にとっても満足度が向上するように取り組んでいきたいと考えております。  それから、2点目は、持続可能な財政を構築するということであります。必要がなくなった施策については思い切って見直しを行う一方で、県民の皆様方の命と暮らしを守る施策、未来への投資等、伸ばすべきものについては重点的に財源を配分していきたいと考えております。  こうした考えを実現するために、行政サービスの質の向上と効率的な行政経営のための方策、持続可能な財政構造の構築に向けた取組について様々な観点から検討を行い、具体的な方針を策定していきたいと考えております。
     それから、最後の御質問でございます。コロナ後の未来をどう見据え、どう未来を切り開いていこうとしているのか。来年度予算案に込めた決意についてという御質問であります。  新型コロナウイルスや東日本台風災害など、この近年、長野県は大変大きな災害等に見舞われてきました。そして、そうした災害やコロナの影響を受けている多くの皆様方がいらっしゃいます。県としては、そうした困難に向き合っている皆様方の思いをしっかりと受け止めて、県として最大限の支援を行っていくということをまず心がけていかなければいけないというふうに考えております。  その上で、今、確かな暮らしの基礎が揺らいでいます。明るい未来を構築するために県が先頭に立って県民の皆様方とビジョンを共有して、取り組むべき課題について責任を持って推進していかなければいけないというふうに考えております。  今回の予算案の中に盛り込ませていただきましたのは、人や企業を引きつけ、県内定着を促していく信州回帰の取組、それから、デジタル社会の構築を進めることによって産業の生産性を高め、県民の暮らしの利便性を上げていくDX戦略の推進、さらには、ゼロカーボンの実現、これは、単に脱炭素社会を実現するということだけではなく、先ほど申し上げたように、地域経済の発展と生活の質の向上へとつなげていくものにしなければいけないというふうに考えております。また、こうしたことと併せて、安全な県土づくりと。  今回、当初予算に込めさせていただいた施策は、いずれもこれからの未来の長野県にとって極めて重要なものだというふうに考えております。こうしたことを着実に具現化することによって、より県民の皆様方が安心して暮らせる、そして、希望を実現できる、そうした社会に近づいていくものというふうに確信しているところでございます。  議員各位におかれましては、今回の当初予算、補正予算案に御理解をいただき、御議決いただきたいというふうに考えております。引き続き、県民の皆様方が希望を持って安心して暮らすことができる確かな暮らしの実現に向けて、県職員一丸となって取り組んでいきたいというふうに考えております。  私への質問は以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、ICT教育環境の捉え方と今後の対応についてのお尋ねでございます。  今年度当初の臨時休業の期間中の対応につきましては、学校間でWi-Fi環境や端末整備状況等に差がありまして、その結果、オンラインによる教育の取組にも格差が生じていたものでございます。その後、国の緊急経済対策などを活用し、整備を進めてきた結果、ほぼ全ての公立小中学校における1人1台端末の導入やWi-Fi環境等の整備が今年度末に完了する見込みとなったところであります。  また、県立高校では、段階的に電子黒板やタブレット端末の環境整備を進め、3人に1台端末、Wi-Fi環境、高速大容量光回線のICT環境整備が完了するところでございます。  一方、教師のICTを活用した指導力につきましては、オンライン学習やクラウドサービスの活用について学ぶ教員研修を実施してきているものの、まだまだ個人差があるというのが現状だというふうに捉えています。今後、来年度設置いたします長野県ICT教育推進センター(仮称)を中心に、有識者の助言を受けながらICTを活用した授業力の向上を強力に進めるなど、本県のICT教育を充実させてまいりたいというふうに考えております。  次に、ICT教育の可能性についてのお尋ねであります。  例えば、個別学習にAIドリルを活用することによりまして、一人一人の習熟の程度に応じて最適化した学習が可能になります。また、ICTを共同学習に活用することによりまして、複数の意見を議論して整理したり遠隔地や海外の学校と交流して意見交換をしたりするなど、お互いを高め合う学びが可能であるというふうにも考えております。さらに、様々な感染症や自然災害等の緊急時におきましても、学校と生徒との関係が途切れることなく教育活動を継続し、子供たちの学びを保障していくこともできるというふうに思っています。  しかし、例えば、ある学校でトンボの体のつくりを調べる際に、外にトンボが飛んでいるにもかかわらずタブレット端末に映る映像で体のつくりを調べていると、そんな授業が実際にありました。これは、本末転倒でありまして、やはり実物に直接触れ、感じるリアルな学びが大切であるというふうに考えたところでございます。生徒がICTを日常的にツールとして活用できる環境を整え、対面指導の重要性を踏まえつつ教師がICTを有効的に活用することで、さらに豊かな学びを展開していくことができるというふうに考えているところでございます。  次に、郷土を愛する心を育む教育の推進についてであります。  議員御指摘のとおり、地域に根差した教材を活用しながら長野県の先人の生き方に学ぶことは、大切な教育であるというふうに思っております。例えば、社会や道徳の授業で、近代日本の夜明けに活躍した佐久間象山や、世界のがん研究の扉を開いた山極勝三郎、拾ヶ堰を造りました郷土に尽くした等々力孫一郎等、ふるさとが生んだ先人たちを学ぶ授業が展開されているところでございます。  新しい学習指導要領におきましても、様々な苦心や努力により生活の向上に貢献した先人の働きを理解し、地域に対する誇りと愛情、地域の一員としての自覚を養うこととされております。  さらに、こうした学びによりまして、郷土や地域を愛し、郷土のために自分ができることは何かということを考え、郷土の発展のために自分が寄与しようと、そういう意識もまた醸成されるところであります。  そのためには、教員が、ふるさとが生んだ先人たちに学ぶ意義を深く認識するとともに、子供たちに対面しながら情熱を持って伝えるということが重要でありますので、教員を対象とした研修講座やフォーラムにおいて研究を深め、郷土を愛する心を育む授業がより一層展開されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)新型コロナウイルス感染症が犯罪情勢に与える影響について御質問をいただきました。  議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症は、国民の生活様式の変化やサイバー空間の利用拡大、経済状況の悪化など、社会に大きな変化をもたらしており、こうした社会の変化が犯罪情勢にも大きな影響を与える可能性があるものと認識しております。  現に、テレワークの推進などサイバー空間や先端技術の利用拡大に伴い、サイバー犯罪の増加が懸念されているところでありますが、県内においても検挙件数が前年比で増加している状況にあります。また、学校の休校や在宅勤務といった生活様式の変化により、近年高水準で推移しているDVや児童虐待などが増加することも懸念されます。さらには、当県での発生はありませんが、全国的には、休業中の店舗等への侵入窃盗のほか、給付金等をだまし取る詐欺や医療品等の悪質商法など、新型コロナウイルス感染症に便乗した犯罪が発生しております。  今後も、新型コロナウイルス感染症が収束しない場合、本県においても、ただいま申し上げた各種犯罪の増加が懸念されるとともに、経済状況の悪化等により、暴力団をはじめとした犯罪組織等の資金獲得を目的とした悪質な犯罪の発生や、社会の混乱等に乗じたテロなど重大事案の発生も懸念されるところであります。  県警察といたしましては、引き続き新型コロナウイルス感染症がもたらす犯罪情勢の変化を的確に把握するとともに、治安上の脅威となり得る犯罪組織の動向等について情報収集活動を強化し、犯罪の取締りはもとより、関係機関との情報共有や県民への広報啓発を適時適切に行うなど必要な対策を講じることによって、県民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。       〔43番宮本衡司君登壇〕 ◆43番(宮本衡司 君)阿部知事、原山教育長、安田警察本部長にはそれぞれ真摯に御答弁をいただきました。詳細につきましては後ほど同僚議員からも質問がありますので、その際はよろしくお願いいたします。  今さらでありますが、私は、世の中が大変便利になっていたことを、このコロナ禍の中で改めて気づいた次第であります。アクセルを踏まずとも一定の速度を保ち走行する自動車、瞬時に文章や写真を遠隔地に送ることができ、お互い画像を見ながら会話するなど、一昔前にはおよそ考えもつかないことが今や当たり前となりました。  もとより、時代が進化し、様々な分野で自動化、効率化が図られ、世の中全体が便利になることに異を唱える気は毛頭ございません。しかし、便利は、人間に本来備わっている能力や機能を低下させてしまう一面もあると思います。また、利便性を追求するあまり、ややもすれば人間の本質や威厳が損なわれ、加えて、現下のコロナ禍と相まって、人と人との絆が次第に失われつつあるのではないか。この修復を図ることも大きな政治課題であると思うところであります。  一日も早くコロナが収束し、人々が自由に交流でき、かつての日常を取り戻し、希望に満ちた令和3年度となりますよう、信州長野県の未来に大いなる可能性といやさかのあらんことを心より願い、代表質問を終わります。 ○議長(小池清 君)この際、午後1時10分まで休憩いたします。         午後0時9分休憩          ──────────────────         午後1時10分開議 ○副議長(小池久長 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  改革・創造みらい代表荒井武志議員。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君)皆様、こんにちは。改革・創造みらい、千曲市・埴科郡区選出の荒井武志でございます。会派を代表いたしまして、質問いたします。  冒頭、この間の新型コロナウイルス感染症に関わりまして、いつ感染してしまうのだろうか、このコロナはいつまで続いていってしまうのだろうかといった健康への心配や先行き不安、時には恐怖さえ感じながらも、日々の暮らしや様々な事業、経済活動を一歩一歩乗り越えてこられました県民の皆様方にねぎらいを申し上げます。  そのような中、やむなく感染を余儀なくされ、治療を受けられました2,359名の皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、渾身の医療、介護の御努力にもかかわらず尊い命を落とさざるを得なかった41名の方々に衷心よりお悔やみ申し上げる次第であります。  そして、医療従事者やその関係者、ライフラインや物流に携わる皆様、保育や障害者、高齢者福祉などに携わる皆様方、知事をはじめ県関係部局の皆様方など、それぞれのお立場で、まさに県民の命と暮らしを守り支えるために御奮闘いただいておりまして、改めて敬意と感謝を申し上げます。  さて、昨年2月25日に新型コロナウイルス感染症の初めての感染例が確認されて以降、4月に第1波の山が、7月から9月にかけて第2波が、11月からこの1月にかけて病床使用率が逼迫してしまう第3波の大波に見舞われました。  これら感染症の感染状況に応じて、県は、3月31日に新型コロナウイルス感染症対策・長野県の基本的対処方針を策定、発生段階の区分を決定。国の緊急事態宣言を受け、4月17日、外出の自粛や圏域をまたいだ移動自粛。21日には食事提供施設の営業時間の短縮等を要請する県の緊急事態措置を発令。7月9日には長野県新型コロナウイルス感染症等対策条例を公布、施行。第3波に入り、1月14日には全県に医療非常事態宣言が発出され、医療が非常に逼迫している状況が訴えられる中、感染者が大きく減少し、2月3日にはこの宣言が解除になりました。  我が会派では、これらの新型コロナウイルス感染症の感染状況に即応しつつ、12名の所属議員が地域でいただいた生の声を含め、この間、延べ4回にわたる知事提言を行ってきました。提言内容につきまして、以後御質問する事項の説明も兼ねまして、その一部を披瀝させていただきます。  1回目は、第1波さなかの4月16日に、医療・介護関係者の医療用マスクや手袋、防護服、消毒薬等の資材の確保を、自主的、実質的に休業状態に追い込まれた事業者や従業員に対する休業扶助を、母子父子寡婦福祉資金や社会福祉協議会窓口における生活福祉資金の運用拡大を、多忙となった県職員の健康に配慮をなどについて提言いたしました。  5月22日の2回目は、経済・雇用関係で、内需拡大のために地消地産の推進を、運転代行業など休業要請から外れた業種の把握と支援を、観光・宿泊部門における利用客の減少に対する支援を、緊急事態宣言下でも営業を続けてきた公共交通事業者等の実態調査を行い、支援を、来年度新卒予定者やUIJターン希望者への支援強化をなどを提言しました。  医療・感染症対策関係として、第2波に備え、PCR検査や抗原検査、抗体検査を駆使し、検査体制の拡充を、感染症患者を受け入れた特定病院の収入減への補填や手当の支給を、厳しい勤務実態にある保健所職員の人員不足解消をなどを提言。  生活支援、子育て・教育関係では、困難を抱える世帯の実情に応じた支援を、ネット環境が整っていない家庭への支援を、子供の心のケアや家庭への虐待防止支援を。加えて、医療従事者や感染者に対する人権や権利を侵害する動きに明確なメッセージの発出などを要請したところです。  3回目は、11月26日に要望した令和3年度予算編成と当面の課題に関する提言書の中で、新型コロナウイルス感染症に係る対策として織り込ませていただきました。具体的には、歓楽街における感染拡大に備え、上田市での経験を生かし、当該市町村と連携、支援を、生産拠点の県内誘致を、各種産業への調査を行い、的確な支援体制を。そして、生活福祉資金の貸付拡大や民間生活資金貸付への利子補給制度の創設を、女性、障害者など就職困難者の就業支援強化をなどを提案いたしました。  12月23日には4回目の提言を行い、積極的疫学調査体制の拡充で感染者を増加させない取組を、看護師や保健師など有資格者の掘り起こしを、医療機関の各種交付金の申請支援や交付事務の円滑化をなどを提言してまいりました。  最近の感染状況は、2月に入り急激に減少傾向局面となり、ここ数日を見れば、感染が皆無となったわけではありませんが、第3波の大きな感染の山は、長野県的に見れば収束傾向と言えるのではないでしょうか。  県は、去る2月22日、新型コロナウイルス感染症に関わり、第3波の特徴とこれまでの対策について、昨年11月から今年2月までの対応を振り返ってと題し、公表しました。殊に、第3波では高齢者の陽性者数が非常に多くなったとし、医療機関、社会福祉施設等での集団感染の多発を挙げ、これらの集団発生に対し、早期の収束を図るためには、クラスター対策チームによる支援が感染発生後迅速に行われる必要があり、県のクラスターチーム体制をより充実させていかなければならないと指摘されました。  一方で、10歳未満及び10代の児童生徒の感染も増加し、世代的にも広がったとされました。また、第3波の発生拡大の要因として、県外の陽性者が多い地域との往来によって感染が生まれ、それが会食等を通じて特定の地域に広がったとしています。  それでは、ここまで申し上げてきた提言や要望、第3波が急速に収まりつつある県内状況、第3波の県の振り返り、全国ではいまだ10都府県において緊急事態宣言が発令中であることなどを踏まえ、新型コロナ感染症対策について順次質問してまいります。  初めに、先ほど来申し上げてきたとおり、第3波が減少傾向にあると思うところですが、どのような取組が功を奏したと考えておられるのか。知事の御所見をお伺いします。  次に、昨年2月、くしくも1年前の今日、25日に県内で初めて新型コロナウイルス感染症患者が1名発生以降、2,300名を超える感染者が公表されてきましたが、感染者の行動歴や濃厚接触者などが当初特定できなかった事例について、後の追跡調査で確認できたものも相当数あったものと思います。感染源と感染ルートの傾向はどのような状況なのか。健康福祉部長に伺います。  次に、家庭内感染や病院、介護施設におけるクラスターなど高齢者の感染が増えましたが、その要因をどのように捉えておられるのでしょうか。改めて高齢者の感染を防ぐにはどうすればよいか。健康福祉部長に伺います。  次に、感染して亡くなられた方の死亡原因が明らかにされていない状況にあると認識していますが、どのような基礎疾患を持っていたかなどの情報をしっかり公表していくことが今後の感染症対策に大きく寄与すると考えます。見解を知事にお伺いします。  次に、ワクチン接種に向けた体制整備等についてであります。  予防接種法の一部を改正する法律が令和2年12月2日に第203回臨時国会において可決、成立し、12月9日に公布、施行。臨時接種の特例として、住民の身近な市町村が接種事務を実施し、県は広域的な観点から必要な調整を担うことになったと承知しているところですが、ワクチンがいつ、どのくらい届くか分からない、集団接種場所をどこにどのように設置するか全く決まっていないなど、市町村の困惑状況が聞こえています。  先日の知事議案説明で、ワクチン接種を進めていく上では、接種を行っていただく医療機関の確保、ワクチンの円滑な流通、接種対象者への説明など、取り組むべき課題が多くありますと表明されましたが、それらへの的確な対応、措置を図り、より多くの県民のワクチン接種が安全に実施され、一刻も早く集団免疫が獲得できますように大いに期待するところです。  そこで、伺います。77市町村のワクチン接種体制の整備状況はどのような状況でしょうか。また、接種対象者、接種時期、接種場所、接種の順位づけはいかがか。併せてワクチンチーム総括リーダーの小岩副知事にお伺いします。  次に、イギリス、南アフリカ、ブラジル由来に加え、最近、新たな変異株も出てきたやにお聞きしています。これら変異株への対策を徹底していく必要があると思いますが、検査体制、情報提供の方法、今後の取組を健康福祉部長に伺います。  次に、積極的疫学調査や幅広い行政検査を実施することにより検査体制の確保を図るとしていますが、広島県のように無症状感染者を捕捉するための検査が必要ではないですか。また、エッセンシャルワーカーなど公共性の高い人たちへのPCR検査を拡大すべきと思いますが、具体的にどう対処していくお考えか。健康福祉部長に伺います。  次に、コロナ禍による産業への影響は多種多様です。前段で申し上げた知事への提言のとおりしっかり調査を行い、支援体制を構築するよう求めてきましたが、取組状況と課題、支援方策について産業労働部長に伺います。  次に、各団体等からの支援要望に対する対応についてです。  一例を申し上げますと、去る2月12日、長野県運転代行環境改善協議会の北信・東信ブロック長連名で、長野県下で休業している業者が出ており、このままの状態が続けば経営が成り立たなくなる運転代行業者が続出することが考えられる。運転代行業は飲食店と一体のもので、飲酒をした方の利用で成り立っており、飲酒運転根絶のための重要な役割を果たしている。県に支援を働きかけてほしいとする要請をいただきました。  この間も、会派として知事要望してまいりましたが、2月4日付で、運転代行事業者への支援に関する依頼文が警察庁、国土交通省から県知事宛てに発出されたとのことでした。  ちなみに、山形県では、酒類を提供する夜間営業の飲食店同様、運転代行業の皆様へも給付金を支給していると伺いました。  そこで、伺います。国の緊急事態宣言や県の医療非常事態宣言の発令を受け、御案内のとおり、旅館、ホテル、飲食店等が大きな影響を受けています。各地域、各団体等から支援の要望があると思いますが、対応策を知事にお伺いします。  次に、長野県新型コロナウイルス感染症等対策条例が昨年7月に施行となりましたが、これまでの対応の中でこの条例がどのように生かされてきたのか。成果と課題をお伺いします。  また、改正特措法を受け、当該条例の一部改正案が提出されていますが、今後、条例の運用で留意すべきことをお伺いします。以上2点について知事に伺います。  次に、生活困窮者対策についてです。  パート従業員だったのですけれども、コロナで仕事が休業になってしまって、来なくていいと言われました。今、明日のお金に困っていますとのとても切迫した相談でした。私は、すぐに社会福祉協議会の生活福祉資金を紹介し、結果として活用いただけたことを今思い出しています。  今議会には、一般会計補正予算第13号案に、暮らしの資金として、生活福祉資金特例貸付事業費が8億7,000万円余り盛られ、償還免除制度も設定されており、よかったなと少し安堵させていただいたところです。  そこで、知事に伺います。このように生活困窮者対策を確実に行っていくことはとても重要だと思っていますが、どのようなお考えで取り組んでいきますか。  次に、保健所体制の強化等についてです。  昨年3月6日には、「県民の皆様へ」として、新型コロナウイルス感染症ではないかとの不安をお持ちの方は、まずは有症状者相談窓口(保健所)に御相談くださいとの県民周知がされたことから、保健所における対応が繁忙極まりなく、計り知れない職場状況になっていたのではないかと察するところです。  ここで、現場実態について幾つか触れさせていただきます。長野県職員労働組合衛生医療評議会では、新型コロナウイルス感染症の第3波が昨年末から全国的に急拡大し、県内でも陽性判明者が連日多数発生する状況の中、緊急保健所アンケートを行い、全ての保健所から回答を得たと伺いました。  その内容ですが、年末年始からの1か月間で土日祝日の半分程度しか休めていない。超過勤務は100時間超えが延べ42人で、臨時任用の方もいた。業務的にはほとんどのところで既に限界。ほとんど余裕がないと訴えています。  改善要望では、閉庁日や夜間に暖房を入れてほしい。屋外での検体採取では防寒対策をしてほしい。休日でも待機なので心身ともに負担だなどなど、保健所の過酷な勤務実態が浮き彫りにされたものと承知しています。  そこで、伺います。令和3年度地方財政対策では、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所の感染症対応業務に従事する保健師を2年間で現行の1.5倍にするために必要な財政措置を講じ、保健所の恒常的な人員体制を強化するとしています。定年退職者の登用など、保健師、臨床検査技師を増員し、保健所体制の強化を図るとともに、市町村保健師と一体となって、相談、疫学調査に早急に取り組んでいくべきと考えますが、見解を知事にお伺いします。  次に、患者の重症度などに応じて各医療機関が受入れを分担、連携し、地域で医療崩壊を防ぐ松本モデルを参考に、広域医療圏ごとに協力体制の枠組みを構築すべきと考えますが、見解を健康福祉部長に伺います。  次に、感染者が減少傾向となり、商店街への人出の増加や近接度合いの高まり、歩きながらの飲食、マスクの不着用などが全国の都市部を中心に指摘され始めています。感染の第4波を引き起こさないためにも、新しい生活様式について引き続き県民の理解を得られるよう知事の強いメッセージが必要と思いますが、御所見を伺います。  大項目の二つ目、令和元年東日本台風災害や昨年7月豪雨の経験を踏まえた取組について順次伺ってまいります。  一昨年の東日本台風災害、10月12日から13日にかけて襲来した台風19号は、誰もが思いもよらぬ甚大な被害を県内各地にもたらしました。改めてお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りし、被災され、様々な苦難と向き合ってこられました多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。  この台風は、比較的降水量が少ない千曲川の中上流域に400ミリから500ミリの大雨をもたらし、千曲川流域での堤防の越水や破壊、内水氾濫などの発生が余儀なくされました。また、昨年7月には、木曽や下伊那地域に豪雨をもたらし、知事も議案説明でこの二つの大災害に触れ、「被災箇所数は膨大で、復興は未だ道半ばです。被災された方々の思いに寄り添い、一日も早く日常の暮らしと生業を取り戻していただけるよう復旧・復興に全力で取り組みます。」と決意を表明されました。  そこで、お伺いします。初めに、振り返りや検証から得られた教訓について御所見を伺うとともに、広域受援計画や地域防災計画への反映状況について伺います。また、公共施設中心の避難所指定から、旅館、ホテルや企業などの活用も積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、県民のマイ・タイムライン作成への支援状況はいかがか。以上、知事にお伺いします。  次に、千曲川、犀川、天竜川の中抜け区間を解消し、国による流域一貫管理を引き続き強く要請していかなければならないと考えます。過去の政府副大臣答弁では、どのような課題があるかを総合的に踏まえて検討するとあったように認識していますが、中抜け区間にはどのような課題があるのでしょうか。また、これらを踏まえ、今後どのように国に要請していくのか。以上、建設部長に伺います。  次に、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトについて、新潟県と連携調整の上、どこをどのように改良していくのか。本県の具体的な取組をタイムスケジュールも含めて建設部長に伺います。  次に、千曲川立ヶ花狭窄部の整備計画に関わり、「遊水地、なぜここに」など関係地権者の動揺や不安を取り上げた報道がありました。これらの遊水地について、国が実施するものも含め、今後どのように進めていくのでしょうか。特に、佐久市の遊水地については県が施工するとお聞きしていますが、県はどのように取り組んでいきますか。以上、建設部長に伺います。  次に、一般会計補正予算第13号案の補助公共事業費438億円余りや直轄事業負担金90億円余に関連すると思いますが、土石流発生に備えた土砂災害警戒区域の住民への周知や理解の向上並びに砂防堰堤整備等の考え方、今後の取組の方向性について建設部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)御質問に順次お答えしてまいりたいと思います。  まず、新型コロナ感染症対策に関連してでございます。いわゆる第3波が減少傾向になったがどういう取組が功を奏したかという御質問であります。  まず挙げなければいけないのは、県民の皆様方、事業者の皆様方の大変な御協力のたまものだということだと思います。多くの皆様方に感染防止のためのお取り組みをいただいたことにつきまして、改めてこの場をお借りして感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。  こうしたことに加えて、県としても様々な対策を行ってまいりました。
     まず一つは、医療アラート、医療非常事態宣言の発出、あるいは感染警戒レベルに伴う対応であります。医療非常事態宣言につきましては、1月14日に発出させていただきました。県民の皆様方の行動変容をお願いしたわけでありますけれども、特に、宣言発出時には医師会長に御同席いただき、松本市立病院の院長にもオンラインで参加いただき、医療現場の状況を直接発信いただいたということが県民の皆様方にしっかり伝わった要因の一つではないかというふうに思っております。  こうしたことに加えて、感染警戒レベルごとに応じた様々なお願い、要請をさせていただきました。早く、狭く、強く、短くということを基本的な考え方としながら、経済活動等への影響を最小限にするための要請を行いました。酒類の提供を行う飲食店等に対する営業時間の短縮要請等を行いましたし、また、検査に関しても、検査前確率が高い飲食店や施設の従事者を対象として、特に感染警戒レベルが5のような地域については集中的な検査を行わせていただいたところであります。加えて、クラスター対策チームが介護施設や医療施設等に入り込んで具体的な指導助言を行わせていただきましたし、保健所においても、積極的な疫学調査ということで、陽性になられた方の行動を把握し、対策を講じてまいりました。  また、本県には出されませんでしたけれども、緊急事態宣言が他の都道府県に出されたことによって感染が急拡大している地域との往来が減少したといったようなこと。今申し上げたようなことが様々相乗効果を発揮して陽性者数の減少につながったものというふうに考えております。引き続き感染再拡大が起きないように警戒していかなければいけないと考えております。  続きまして、死亡者に係る情報について御質問をいただきました。  お亡くなりになられた方の情報につきましては、私どもとしては、大変慎重に取り扱うべき個人情報だというふうに考えております。そういう観点で、御遺族の方々の御意向を最大限配慮して対応してきているところでございます。  一方で、どういう方がお亡くなりになられているかということについては、多くの県民の皆様方の関心事でもあるというふうに思いますので、そういう意味では、亡くなられた方の男女比や年代別の死亡率、さらには、基礎疾患の有無、主にどういう基礎疾患があったのかといったようなことについては、亡くなられた方の個人が特定されない段階で整理、分析を行い、公表させていただいたところでございます。今後とも、プライバシーの保護について十分に配慮をしながら、他方で、県民の皆様方とともに感染対策を進めていく上で必要な情報については広く共有できるよう取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、国の緊急事態宣言や医療非常事態宣言の発令に大変影響を受けている事業者の皆様方からの要望と対応という御質問でございます。  私も、飲食業の皆さんや観光関係の皆様方と直接お話しさせていただき、また、県議会の皆様方、あるいは市町村の皆様方をはじめ、間接的にも様々な御要請をお伺いしているところでございます。  対応でございますけれども、やはり感染を拡大させてはいけない時期には活動を抑えていただき、そうした際の経営支援をしっかり行っていくということが重要だと考えております。  例えば、融資制度について、借換え条件等について緩和させていただきました。また、持続化補助金についても、県としての上乗せ補助を行わせていただいております。国に対しても、持続化給付金の再支給等について要請させていただいておりますので、今一番厳しい状況の人に何とかしのいでいただけるような支援が必要だというふうに思っております。  また一方で、一定程度感染状況が落ち着いている段階では、やはり経済活動を回していくということが重要だと考えておりまして、今回、家族宿泊割ということで、観光についても少しずつ動かす支援策を講じております。観光関係者も、飲食店の皆様方も、大変熱心に感染防止対策に取り組まれていただいていますので、我々としても、そうした取組について発信し、そして、「新たな会食のすゝめ」、「新たな旅のすゝめ」ということで、感染防止に気をつけていただきながら観光、飲食をしていただきたいというメッセージを発信させていただいています。今後、新型コロナ対策推進宣言のアップグレードも図っていきますし、信州の安心なお店として発信等も行っていきます。こうしたことを通じて、県民の皆様方の利用促進も図っていきたいというふうに考えております。  こうしたことに加えて、さらに、プレミアムつきクーポン券の発行や、家族宿泊割を家族以外にも広げていくといったようなことで、段階的に需要喚起策に取り組んでいきたいというふうに思います。  我々も、引き続き、様々な事業者の皆様方の状況を把握し、また、県議会の皆様方をはじめ、直接、間接に様々な御要望をしっかりとお伺いしながら適切な対応を行っていくよう努力していきたいと考えています。  それから、新型コロナウイルス感染症等対策条例の成果と課題、今後の運用についてという御質問であります。  長野県として独自にこうした条例を制定したところでありますけれども、まず一つは、生かされたという点では、適正な手続を踏みながら対策を進めてくることができたというふうに思っております。  条例第8条によりまして、社会経済活動の要請につながるような取組を行う際には、学識経験者、市町村長の代表者からの意見聴取ということが定められておりますので、休日等も含めて、その都度、こうした方々の御意見を伺いながら様々な対策を講じてきました。また、県議会に対しても条例第9条に基づいての報告を行ってきているところであります。加えて、条例第5条に基づいて、医療提供体制、検査体制の拡充や、県民の皆様方への情報提供を行わせていただいています。  さらに、今回、特措法の改正で新しく法律に盛り込まれた部分については、長野県条例は言わば先取りをしているわけでありまして、事業者等への幅広い支援や不当な差別的取扱いの禁止について、長野県としては既に条例の規定を踏まえて対応してきているわけであります。そういう意味で、今回の特措法の改正を待たずに取り組むことができたことがたくさんあるというふうに考えております。  今回、条例の一部改正案を提出させていただいているところでありますけれども、まん延防止等重点措置の新設等が特措法の改正で盛り込まれました。これについても、適正な手続を取ることが必要とされておりますので、条例に基づいた手続をしっかり講じ、学識経験者や専門家の皆様方の意見を聞きながら対応することとしていきたいと考えております。今後とも、こうした適正な手続の下でコロナ対策を進めていくことと併せて、社会経済活動に対する制約については慎重に行っていくことが必要であるというふうに考えております。  続きまして、生活困窮者にどういう考え方で取り組むのかということであります。  大きく3点あると思っております。  まずは、大前提として、生活困窮者の皆さんの状況を把握して必要な施策を講じるということであります。これは、国の総合支援資金の再貸付けや住居確保給付金の再支給といったような取組をしていただいておりますが、こういったことと相まって、県独自にもいろいろな施策を講じてまいります。特例貸付けの償還金の一部補助やフードバンク等を通じた食料支援を県としても行うことによって施策を充実していきたいと思っています。  それから、2点目が、様々な支援策があっても必要な方に届いていない場合がありますので、しっかりお伝えしていく、届けていくということが重要だと思っています。ホームページ、SNSによる発信にとどまらず、チラシの配布やメディアを使っての広報など様々な取組で必要な支援策が必要な方に伝わるようにしていきたいと思っています。  それから、3点目は、コロナに直面されている方は御自分で支援策を見つけづらいというようなこともありますので、こうした皆さんに寄り添って共に考える相談体制をしっかり構築するということが重要だと思っておりまして、まいさぽ等の相談体制の強化をしてまいります。できるだけきめ細かく支援を行わせていただくことによって、困難を抱えている方々が生活をしっかり維持し、また立て直していただけるように引き続き全力で取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、保健所の人員体制についてでございます。  いわゆる第1波からこれまで、各保健所におきましては、臨時的任用等によりまして、保健師20人、臨床検査技師7人、事務職員21人、合計48人増員してきております。また、地域振興局等に勤務する行政職員72人を保健所の兼務とさせていただき、疫学調査等の支援を行ってきております。  また、各保健所におきましては、管内市町村の御協力をいただき、応援をいただいています。いわゆる第3波におきましては、33の市町村から、延べ400人以上の応援をいただいているところでございます。  加えて、相談業務につきましては、民間委託を積極的に活用させていただき、保健所の事務負担の軽減にも努めてきているところでございます。  こうした取組を通じて、非常に多くの陽性者が確認された第3波におきましても迅速な疫学調査を継続することができましたし、また、そのことによって感染拡大の防止を行うこともできたというふうに考えております。保健所をはじめ多くの現場で対応していただいた職員には改めて心から感謝したいと思っています。  来年度、令和3年度におきましては、保健所の感染症対策に従事する保健師の定数を1.5倍に増員していきたいというふうに考えております。加えて、OB職員の活用や看護協会からの派遣など、あらゆる方策を通じて保健所体制の充実強化を図ってまいります。  続きまして、新しい生活様式について強いメッセージが必要ではないかという御質問であります。  昨年からずっと継続して、その時点その時点に応じた様々なメッセージを発出させていただいております。先ほども医療非常事態宣言のところで申し上げたように、県民、事業者の皆様方には、その都度そうした呼びかけに呼応していただき、行動変容や様々な御協力をいただいておりまして、大変ありがたく思っております。  今後でございますけれども、我々が今気をつけなければいけない期間と考えておりますのは、年度末、年度始めの時期でございます。3月20日から4月9日を感染対策強化期間として位置づけて、県民の皆様方に注意を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。  加えて、会食についても、感染防止にしっかり取り組みながらも経済活動を回していただくということが重要でありますので、「新たな会食のすゝめ」というものを作成して、それを踏まえた会食を行っていただきたいというふうに考えております。  こうした取組をこれからも継続して行っていきたいというふうに思いますけれども、長期間にわたってきておりますので、だんだん当たり前、マンネリ化してくる傾向があると思います。その都度その都度必要な呼びかけをしっかり行わせていただく中で、県民一丸となってこの感染防止に取り組めるように引き続き努めてまいります。  それから、私にいただいた御質問の最後でありますけれども、東日本台風災害や昨年7月豪雨の経験を踏まえた取組についてという御質問でございます。  東日本台風災害におきましては、大変多くの方を浸水地域から救助いたしました。また、過密状態の避難所も発生いたしました。こうしたことを踏まえまして、特に、避難対策、それから避難所の環境改善が重要だというふうに考えております。そうした観点で、市町村と協議を重ねた上で、逃げ遅れゼロを目指す避難対策の強化に取り組んでおります。  また、避難所のいわゆるTKB、トイレ、キッチン、ベッドの環境改善についても取り組んでおります。こうしたことについては、地域防災計画の修正にも反映させていただき、加えて、円滑なボランティア活動を受け入れる体制等については県の広域受援計画にも反映させていく予定でございます。  避難対策の一環として、ホテル、旅館等の活用という御提案をいただきました。  平成24年に長野県ホテル旅館生活衛生同業組合の皆さんと協定を結ばせていただいております。改めて、昨年の4月に災害時における被災者への宿泊施設の提供を依頼させていただいているところでございます。特に、御高齢の方等は、体育館等で生活されるのが厳しい状況もありますので、県としてもこうしたホテルや旅館の活用を積極的に促進していきたいというふうに考えております。  加えて、マイ・タイムラインの作成につきましては、県政出前講座に加えまして、来年度にはスマートフォン用のアプリを構築していきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、県民の皆様方にマイ・タイムラインの作成を呼びかけて、多くの皆さんがいざ災害というときにどう行動するかということを日頃から考えていただけるようにしていきたいと考えております。  私に対する御質問は以上でございます。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)新型コロナウイルス感染症対策につきまして5点御質問をいただきました。  最初に、感染源、感染ルートの傾向についてでございます。  第3波、11月1日から2月12日までの2,002例の症例について整理いたしましたところ、感染経路が推定できる事例は1,603例で全体の80.1%、感染経路が不明の事例は399例で19.9%となっております。  感染経路が推定できる事例について見ますと、同居者間での感染が553例と約3分の1を占めております。そのほかは、職場や施設内での感染や知人関係を通じて感染したものなどであり、その中には、県外での感染が推定される事例が138例、飲食に関連した感染が114例あったことが目立ったところであります。  これまでに判明した感染源や感染ルートを踏まえ、県では、先週、主な感染ケースを県内感染事例として取りまとめ、県民に対する啓発の一環として公表いたしました。職場や会食などにおける感染が生じた特徴的な事例や場面を示し、県民の皆様に具体的な感染のリスクを知っていただくことによりまして感染防止につなげてまいりたいと考えております。  次に、高齢者の感染増の要因と感染防止についてでございます。  第3波の感染者2,002例のうち、65歳以上の高齢者は459例と全体の約2割となっております。そのうち、同居者間での感染が144例、医療機関内が76例、高齢者福祉施設内が26例であり、これらを合計すると高齢感染者全体の半数を占めております。家庭内や医療・高齢者施設などでは、マスクなしでの会話や人との接触が多く、一旦感染が起きると広がりやすい状況の中で感染の絶対数が増えたことが高齢感染者の増加につながったものと考えております。  県では、これまで、院内感染や施設内感染を防ぐため、施設設備の整備や感染防護具等の配備について支援いたしますとともに、県内における院内、施設内感染事例の検証を通した具体的な注意喚起や施設職員を対象とした研修会の開催などにより高齢者の感染防止に努めてまいりました。  また、家庭内も含め、何より高齢者の周囲にウイルスを持ち込まないことが重要でありますことから、先般、これまでの事例における年代別の重症化率や死亡者数などのデータを明らかにして、若年層を含む県民お一人お一人に対し、身近な高齢者を感染から守る意識と取組の徹底を呼びかけたところでございます。  今後も、院内、施設内で感染者が発生した場合には速やかにクラスター対策チームを派遣いたしますとともに、接触者に対する検査を迅速かつ幅広く実施するなど感染の拡大防止を図ってまいります。  次に、変異株に対する検査体制、情報提供方法、今後の取組についてというお尋ねでございます。  新型コロナウイルスの変異株につきましては、昨年12月25日、空港検疫において国内で初めて検出され、2月24日現在、空港検疫で43名、国内で145名、計188名が確認されており、県内でも2月9日に1例目が確認されたところでございます。  変異株は、従来株と比較して感染性が高いと言われており、国内で広がった場合には、現状より急速に感染が拡大し、医療体制を圧迫するおそれがございます。  そこで、早期検知がより一層重要となりますことから、先般、県環境保全研究所を中心とした検査体制を整備いたしました。疑いのある検体を広く検査し、変異株の疑いが確認された場合には速やかに国立感染症研究所に検体を送付して、ゲノム解析による確認検査を実施してまいります。  これによりまして、陽性者が判明した場合は、厚生労働省と連携して速やかに情報提供いたしますとともに、徹底した積極的疫学調査を実施し、関係者に対する幅広い検査と陽性者の入院療養によって感染の拡大を防止してまいります。  次に、無症状感染者や公共性の高い人たちへのPCR検査の拡大についてのお尋ねでございます。  特定の地域や集団において検査前確率が高く、かつクラスター連鎖が生じやすいと考えられる場合には、そこに属する方々への積極的な検査を実施していくことが効果的であり、また適切であるというふうに考えております。  こうしたことから、感染が拡大している地域において、接待を伴う飲食店や高齢者施設等の従業者で無症状の方々を対象にいたしまして検査を実施してきたところでございます。また、医療機関や高齢者施設等で陽性者が発生した場合は、必要に応じてその従事者全員を対象に検査を実施しております。  加えて、1月には、新たに高齢者施設等の設置者が従業者等を対象に自主的に行ったPCR検査の費用に対しまして助成することといたしました。今後も、感染状況をしっかりと見極めた上で、感染拡大防止のために必要と認められる場合には迅速かつ積極的に検査を実施してまいります。  最後に、患者受入れに当たっての医療圏ごとの協力体制の構築についてのお尋ねであります。  松本医療圏においては、新型コロナ患者の重症度などに応じて公立病院が中心となって受入れを行い、新型コロナ患者以外の通常診療を主に民間病院が担うなど、分担と連携により効率的な医療の提供を図っているものと承知をしております。コロナ禍において、地域の医療を維持、継続していく上で参考とすべき取組の一つと認識しているところでございます。  一方で、他の医療圏におきましても、圏域ごとの医療資源の状況に応じた取組がなされております。例えば、長野医療圏では、多くの病院が少しずつ新型コロナ患者を受け入れることで、もし一つの病院が受入れを停止した場合でも、他の病院で代替できるようリスクを分散しているといった事例もございます。  県といたしましても、各医療圏における保健所や医師会、病院等による協議の枠組みの中で、こうした様々な取組事例を共有することにより、各地域の実情に合った医療提供体制が構築されるよう支援してまいります。  以上でございます。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)新型コロナウイルスのワクチンにつきまして、市町村の体制整備状況、接種の対象者、時期、場所、順位づけにつきまして御質問をいただきました。  現在、各市町村におきましては、高齢者を対象とした優先接種の開始に向けまして、医療機関や郡市医師会等と連携しながら、接種方法の選択や、接種場所と人員の確保、クーポン券や予診票の発送に向けたシステム改修など必要な準備を鋭意進めていただいているところでございます。  市町村によりましては、医療従事者の確保や会場の選定に御苦労されているという声もお聞きしております。このように、進捗の状況に差はありますが、全体としましては準備が進みつつあるという認識でおります。  これからワクチンの配分スケジュールが見えてまいりますので、そうしますと、より具体的な準備作業に入っていただけるものと、このように捉えているところでございます。  今月17日からは、これは国主導によりますが、健康調査も兼ねた医療従事者への先行接種が始まっております。本県におきましても、信州上田医療センターにおきまして先行接種が開始されました。  これに続きまして、3月に入りますと、その他の医療従事者や救急隊員など新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する可能性のある業務に携わる方を対象とした優先接種が予定されております。この優先接種につきましては、県内約230の医療機関等で実施する予定となっております。  本県では、そのためのワクチンの第一弾、7,800回分が3月の第1週に届く予定となっております。4月以降になりますと、これはワクチンの供給量に応じてという形になりますが、高齢者、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者へと順次接種が進んでいくこととなります。  高齢者以降のワクチン接種は、各市町村が主体となって進んでいくこととなります。現在、それぞれの市町村におきまして、接種の場所や方法を調整中でございます。  2月19日の時点が県として一番最新の情報でございますけれども、これは、今後変わっていく可能性もございますが、四つの町村が医療機関における個別接種を行う、27の市町村が保健センターなどにおける集団接種で行う、46の市町村が集団接種と個別接種の組合せで対応する方針というふうに伺っております。  なお、現時点で国内で承認されておりますファイザー製のワクチンにつきましては、まだ治験のデータが少ないことから、16歳未満は対象外となっております。また、妊婦につきましては、予防接種法上の接種を受けることの努力義務の対象から外れているという状況でございます。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)産業への影響に関する調査及び支援体制構築の取組状況と課題、今後の支援方策についてのお尋ねでございます。  コロナ禍による産業経済への影響につきましては、国、日本銀行、民間のシンクタンク等が行う各種調査のほか、県が四半期ごとに700社に対して行う景気動向調査や県中小企業振興センターが200社を対象とする経営動向調査などにより業況の把握に努めており、さらに、昨年8月からは、10広域、各業種から選んだ100社を対象に毎月ヒアリングによる業況の推移もお聞きしてまいりました。  こうした業況や事業者の皆様の声に迅速に対応すべく、国、市町村、経済団体、金融機関等で構成する新型コロナ対策産業支援・再生本部会議を設け、資金繰り支援などの経済の下支えや雇用の維持確保など、関係機関が連携して支援に努めてきたところです。  こうした中、県内経済は一部に持ち直しの動きが見られるものの、飲食業や宿泊業の方々からは業況の悪化の声もお聞きしているところでございます。今後さらに融資制度資金の拡充や国の中小企業等事業再構築促進事業への上乗せ補助、飲食業等サービス業に対する需要喚起策等、柔軟かつ迅速に支援策を構築し、実行に移してまいります。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)それでは、順次お答えさせていただきます。  まず初めに、河川の中抜け区間の解消に関する取組についてのお尋ねでございます。  中抜け区間の解消につきましては、これまでもあらゆる機会を捉えて要望を行ってきておりまして、昨年10月には、国土交通大臣や財務大臣に対しまして、新潟、長野両県知事による信濃川・千曲川県境部の中抜け区間直轄編入に関する共同要望を行いましたが、国土交通省の予算、人員の問題もあり、解消についてはハードルが高いと感じているところでございます。  同一河川に直轄管理区間、県管理区間が複数存在していることから、おのおのの財政的な措置を含めて、整備目標やスケジュール等を調整しつつ進めていくことが課題でございます。  また、災害時には、住民対応や被害情報の収集に関しても、それぞれの管理区間で別々に行うと、受ける側の混乱を招くおそれがあり、スムーズで効率よく行うには、直轄管理区間と県管理区間を一体として行うことが望ましいと考えております。このため、まずは千曲川の県境部に関しまして、令和2年12月と令和3年1月に北陸地方整備局との連絡調整会議を既に開催しているところでありまして、実質的な課題解決に向けて議論を進めてまいりたいと考えております。  県としましては、千曲川、犀川、天竜川のような大河川については、国土保全の観点から国が一元的な管理を行うのが望ましいと考えますので、今後も、引き続き新潟県や流域の市町村とも連携し、粘り強く要望活動を継続してまいります。  次に、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトについての新潟県との連携も含めた本県の取組とスケジュールに関するお尋ねでございます。  本プロジェクトでは、新潟県との調整の下、令和元年東日本台風洪水における信濃川、千曲川の本川からの越水等による家屋部の浸水を防止することを目標に、災害復旧や遊水地の整備、堤防強化などを進めております。  国では、立ヶ花、戸狩狭窄部や遊水地整備のスケジュールを昨年9月に示しており、新潟、長野両県では、このスケジュールに合わせ、事業進捗の情報を密に共有し、連携を取りながらバランスよく整備を進めてまいります。  このうち、中抜け区間の長野県管理区間では、飯山市桑名川、野沢温泉村東大滝、栄村箕作・月岡の各地区の堤防整備について、現在測量設計に着手し、地域の皆様と協議を順次進めている状況であり、令和3年度は一部工事に着手する予定としております。  また、上流部の田子川、滑津川等の改良復旧事業につきましては、既に工事に着手しているところでございまして、佐久市の遊水地整備については測量設計調査を実施しているところでございます。  このほかにも、岡田川の内水対策や沢山川の堤防強化などについても鋭意進めているところであり、今後も、関係者の御理解と御協力を得ながら、県の事業については令和6年度までの完了を目指して取り組んでまいります。  次に、遊水地整備の進め方に関するお尋ねでございます。  県が設置を計画している2か所の遊水地のうち、安曇野市黒沢川につきましては既に工事に着手しております。また、佐久市桜井地区の遊水地につきましては、測量設計を実施し、昨年末に地域の皆様に対し計画の説明を行っており、現在、水田等に利用されている土地の所有者の意向を確認するために個別にアンケート調査を実施しております。今後、アンケートでいただいた御意見や御意向を踏まえた上で、できる限り早期に説明会を開催し、県としての考えをお伝えして、遊水地設置に対する御理解、御協力を得られるよう努めてまいります。  県の遊水地整備につきましては、プロジェクトに位置づけた他の県事業と同様に、令和6年度の完成を目指して進めてまいります。  また、国が計画している5か所の遊水地についても順次測量設計を進め、令和9年度の完成を目指し、今後、関係する地元の皆さんに具体的な説明を行うこととしておりまして、県としても国との密接な情報共有を図りながら円滑に進むよう努めてまいります。
     次に、今後の土砂災害対策の方向性についてでございます。  まず、土砂災害警戒区域の住民への周知などについてです。  県では、令和元年東日本台風で実際に土砂災害を経験した住民の皆様を対象に、土砂災害警戒区域の理解などの防災意識や災害時の行動等についてお尋ねするアンケートを行い、昨年10月にその結果を公表したところです。その結果、土砂災害警戒区域の認知度は全体の7割以上と高かったものの、被害に遭うとは思わなかった等の理由から避難しなかった方が全体の約4分の3と多かった実態が明らかとなり、住民自らが防災について考え、避難訓練などに取り組む機会を増やすことが重要と認識したところでございます。  このため、地域の危険箇所や避難方法について住民同士で話合い、訓練まで行う地区防災マップづくりを進めるとともに、地域の過去の災害や危険から身を守る方法などを学ぶ赤牛先生による防災教育を拡充するなど、危機管理部等とも連携して、災害時の逃げ遅れゼロを目指し、取り組んでまいります。  次に、砂防堰堤等の施設の整備についてでございます。  令和元年東日本台風では、23渓流で土石流が発生し、そのうち、佐久穂町の抜井川流域などでは、下流に流出した土砂、流木によって橋梁部での閉塞や河床上昇が発生し、洪水氾濫を助長した状況が見られました。  そこで、今年度から、下流河川への土砂流出を抑制する土石流流木対策や既存堰堤の除石等を進めており、さらに、令和3年度からは、これらを流域治水の一環として捉え、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算も活用し、新たな27か所を含む県下187か所において整備を積極的に進めることとしております。これらのソフト及びハード対策により、住民の命と暮らしを守る土砂災害対策、洪水対策を加速化してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君)次に、大項目三つ目、しあわせ信州創造プラン2.0の目標達成に向けた取組についてであります。  初めに、SDGsの取組についてです。  このことにつきましては、知事が平成30年に渾身の力を込めて策定されたしあわせ信州創造プラン2.0に、国連が定めたSDGsの達成に向けてプランのあらゆる政策に取り組んでいくことを織り込んであると理解しております。  そこで、お伺いします。県民のSDGsへの理解を高めることがとても重要であると思いますが、周知の取組や浸透度合いを伺います。また、SDGsの理念をどのように新年度予算に反映させたのか。併せて知事にお伺いします。  次に、止まらない東京一極集中から、コロナ禍で県内人口の社会動態は減少幅が小さくなってきています。これをどう受け止め、どのようにしてさらなる信州回帰につなげていくのか。御所見を知事にお伺いします。  大項目の四つ目、学びの県づくりについてであります。  初めに、長野県立大学についてです。  自ら考え、自ら学び、主体的に行動し、成長する機会を世界に求め、世界中のイノベーターと出会い、グローバルな視野で未来を切り開き、地域を創生できるリーダーを育てるという使命の下、立ち上げられた県立大学では、全寮制や2学年次に全学生が2ないし4週間にわたり海外で学ぶ短期研修プログラムが設定されているところですが、学生さんたちは、このコロナ禍において、登校できずに、対面授業がかなわず、長期にわたりオンライン授業を余儀なくされる中、勉学に励まれてきたのではないか、海外研修も所期の目的が果たせなかったのではないかと推察するところです。  そこで、県民文化部長に伺います。コロナ禍における県立大学の授業実態と習熟度はどのようになっているのでしょうか。対象となっている学生全員が海外研修を体験できましたか。また、今後どのように対応していくのか。伺います。  次に、高校再編や新たな入学者選抜制度についてです。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、県教育委員会では、高校再編・整備計画策定と新たな入学者選抜制度導入の高校改革に係るスケジュールを昨年6月に変更されました。高校再編・整備計画の策定につきましては、全県分の策定を1年延期し、令和4年3月とし、旧通学区ごとの地域協議会での議論の進捗状況によって、2次分、全県分と段階的に計画を策定することとされたところです。  また、計画が確定した地区におきましては、新校再編実施計画懇話会を開催し、新たな高校づくりに向け、地域や関係者との意見交換を行っておられます。こうした懇話会におきましても、地域の協議会での議論が空文化することのないようしっかりと受け止めて進めていただきたいと願うところです。  そこで、高校改革について2点教育長に伺います。  一つは、現在の地域協議会の状況と今後の高校再編・整備計画策定の見通しについてお聞かせください。二つに、新たな入学者選抜制度では、全ての子供たちを平等に適切に評価し、これからの時代にふさわしい制度となるよう求めてきましたが、検討状況をお聞かせください。  続いて、大項目の五つ目、産業の生産性の高い県づくりについてであります。  初めに、昨年11月26日に行った知事要望では、産業の生産性の高い県づくりに向け、デジタルトランスフォーメーション、DX戦略の加速化を図り、第4次産業革命の動きを見据えた未来志向の産業政策を推進するよう求めたところです。  その実現のためには、ワンストップでの支援体制を確立し、産業の振興を図るため、工業技術総合センター、中小企業振興センター、テクノ財団の3者が統合、連携を図るべきと考えますが、産業労働部長の所見を伺います。  次に、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上げの回復が期待薄の中、今後の経済社会の変化にしっかり対応していくための中小企業への支援は極めて重要です。事業の再構築、生産性向上、新ビジネス展開など、国が行う中堅・中小企業への経済構造転換支援策とどのように連動させ、支援に取り組んでいくのか。産業労働部長に伺います。  次に、長野県脱炭素社会づくり条例やグリーン社会実現に向けて一体的に進めていくためには、産業分野への取組拡大を意識して進める必要があると思います。水素分野などに挑戦する企業への支援が必要と考えますが、どのように取り組んでいくのでしょうか。産業労働部長に伺います。  次に、Go To トラベルキャンペーンについてです。  新型コロナウイルス感染症により落ち込んでいた観光需要は、国のGo To トラベルキャンペーンなどと相まって、昨年の秋以降全国的に回復傾向となりましたが、新型コロナの第3波の急拡大を受けて、このキャンペーンが全国一斉に一時停止となり、年末年始を中心に宿泊施設等では多くのキャンセルが発生してしまいました。県内旅行の多くは、緊急事態宣言が発出された11都府県によるところが大きいこともあり、スキーシーズンの今もなお極めて厳しい状況が続いています。  そこで、お伺いします。Go To トラベルキャンペーンの成果と課題は何か。また、ウィズコロナ下での観光振興にどのように取り組んでいくのでしょうか。知事にお伺いします。  大項目の六つ目、人を引きつける快適な県づくりについてであります。  初めに、移住支援施策の取組についてです。  この間、国は、地方へのUIJターンによる起業、就業者の創出等を地方創生推進交付金により支援していますが、この国の移住支援事業の拡充と連動させ、県内への移住を支援するため、補助金創設や税制優遇など新たな支援策を創設するべきだと考えますが、企画振興部長に所見を伺います。  次に、コロナ禍にあって、海外との物流制限や、国内でも他県との往来を慎重にすべきとして対応してきたことなどが経済を停滞させてきたものと踏まえる必要があります。  加えて、地球温暖化が一層加速度を増すことが想定される中、これに耐え得る果樹産品の新品種の取組はぜひとも取り組んでいかなければなりません。  そこで、お伺いします。食料自給率の向上や地産地消の拡大、温暖化への対策としても新品種の開発は非常に重要であると考えますが、今後どのように進めていきますか。また、種苗法改正による県内農業者への影響をどのように捉えているでしょうか。併せて知事にお伺いします。  次に、外国人技能実習生等についてであります。  今から20年前、技能実習生の年限が2年に延長されて以降、県内の人口が減少する中で、外国人労働者の増加が堅調になり、4年前に滞在期間が5年に延長、在留資格も、介護職が新設されたことなどを受け、一層増加を続け、昨年には3万7,000人余りが県内に在留しています。しかしながら、安価な労働力として扱われたり、差別的な扱いを受ける事例や失踪の発生もあると承知するところです。  そこで、伺います。外国人技能実習生、外国人労働者の受入れ実態はどのようになっているのでしょうか。また、人権の観点から、賃金や休暇、期間リレー雇用の推進などをどのように捉えて進めようとしておられるのか。併せて産業労働部長に伺います。  次に、森林環境譲与税及び長野県森林づくり県民税についてです。  林務部長の議案説明を読みましたが、森林環境譲与税が県や市町村でどのように管理され、活用されているかなどについて一切触れられていないことに、いささかの懸念を持ったところです。  森林環境譲与税の使途につきましては、市町村においては、森林の整備に関する施策、森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進、その他の森林の整備の促進に関する施策に要する費用に充てることになっています。また、長野県森林づくり県民税に関しましては、本来の目的であるみんなで支える里山整備事業の当初目的に沿って活用されなければならないのではないかと考えるところです。  そこで、創設2年目の森林環境譲与税は、新しい森林管理に向けて市町村でどのように活用されているでしょうか。また、3期目の折り返しを過ぎた長野県森林づくり県民税の必要性の検証が改めて重要になっていると考えますが、併せて知事に御所見をお伺いします。  次に、松枯れ、ナラ枯れについてです。  松くい虫被害は全国的に減少傾向にありますが、国内最大の森林病害虫と言われており、長野県では平成5年頃から被害が拡大、平成25年に7万9,000立方メートルのピークに達して以降微減しているものの、いまだ7万立方メートルを超える状況にあります。この間、守るべき松林を設定し、重点的に対策を講じてこられましたが、私はかねて被害先端地域をしっかり止める防除対策をやっていくべきだと主張してきました。  ナラ枯れにつきましては、平成21、22年度をピークに減少の一途にありましたが、本年度は3,700立方メートルと突然の発生になりました。  そこで、伺います。松枯れやナラ枯れ対策の現状と新年度の取組はいかがか。林務部長に伺います。  続いて、大項目の七つ目、命を守り育む県づくりについてであります。  初めに、消防団の在り方等についてです。  県内の消防団員数は、女性団員が増加しているものの、ここ10年で定数を下回り、7%近くが減少。団員の確保が喫緊の課題であることは周知のとおりです。  人口減少や少子社会の中で、入団適齢者の減少やサラリーマン団員の増加によって、地域における消防団活動、なかんずく消防力の低下が危惧されています。また、消防団では、団を取り巻く様々な社会要因と相まって、ポンプ操法訓練やポンプ操法大会の在り方が課題になっていると承知しております。  そこで、お伺いします。団員確保に一層の支援が必要と考えますが、消防団の在り方、位置づけを県としてどのように受け止め、関わっていかれるのか。知事にお伺いします。  次に、消防防災ヘリの運航再開についてです。  既に新機体は昨年12月2日に県に納入され、その8日から訓練を始められたと伺いました。県民の皆さんが待望されている消防防災ヘリの運航のために、さらに着実に訓練を重ね、緊急時にもしっかりとした安全運航ができ得る体制整備がなされるよう期待するところです。  その後、新機体による消防防災ヘリの実質的運用が始まりますが、4月採用の操縦士1名が欠員の中、メンタルヘルス対策を含め、安全運航にどのように配慮し、活用を図っていくのか。当面の運用策について知事にお伺いします。  次に、県民のメンタルヘルス対策等についてです。  ステイホームの呼びかけで、家庭内に閉じ籠もりの生活を余儀なくされている母子・父子家庭や無業の世帯など、精神的重圧がかなり大きいのではないかと思います。このように、感染症拡大により、生活様式が大きく変化する中で、ストレスを抱え込む人や自殺者の増加が懸念されています。こうした状況を県としてどのように認識し、メンタルヘルス対策や精神科医療体制の整備をどのように進めていきますか。健康福祉部長に伺います。  次に、長野県脱炭素社会づくり条例の具体化についてです。  知事は、さきの議案説明で、二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロとするための取組を強化し、交通、建物、産業、再生可能エネルギー等に関する必要な施策を新年度予算案に計上されたと伺いました。早速できるところから取り組んでいく姿勢を評価するところです。  また、条例の行動計画となる長野県ゼロカーボン戦略については、これから丁寧に対話を重ね、取りまとめていくとされました。とりわけ、県民や事業者に、何をどのように取り組めば2050年に二酸化炭素排出量を実質ゼロにできるのか、今県が進めている2050ゼロカーボンに向けたプラスワンアクションの取組も含め、一層周知の徹底を図っていかなければならないと考えます。  そこで、お伺いします。長野県脱炭素社会づくり条例が目指す2050ゼロカーボンの実現に向け、県民への生活様式の提示や企業活動の方向づけなど脱炭素社会の具体像をどのように描いていこうとしているのでしょうか。また、そこに至る工程を明らかにすべきと考えますが、意気込みと対応方針について、併せて知事にお伺いします。  次に、横断歩道の視認状況についてです。  さきの警察本部長説明によれば、高齢者の交通事故の発生状況は、発生件数、死者数ともに減少したものの、高齢者死者数は31人で、死者数全体に占める割合は67.4%と依然として高い割合を占めており、高齢者の交通事故防止対策が喫緊の課題であると指摘するとともに、交通事故防止対策の推進では、小学生が横断歩道上で犠牲となる死亡事故も発生するなど、依然として厳しい状況にあるとしています。  私の経験談になりますが、車を運転中に、薄暮や夜間、雨ならなおさらのこと、横断歩道や横断歩道の標識が見にくく、確認しづらいことがありました。また、横断歩道があるにもかかわらず、斜め横断や少し離れた場所を渡るケースが後を絶たないように感じています。  事故をなくすには、横断する人も運転者も互いにマナーの向上を図ることが求められますが、横断歩道があることを視認させるハード的な取組の向上策も重要であると思います。道路管理者が関わる部分もあると思いますので、しっかり連携調整を図りながら安全対策の向上を目指してほしいと強く期待するところです。  そこで、警察本部長に伺います。横断歩道設置場所における横断歩道の視認状況を向上させる取組についてどのように行っていますか。また、今後どのような取組を行っていくのでしょうか。  大項目の八つ目、誰にでも居場所と出番がある県づくりについてであります。  初めに、困難を抱える子供たちへの支援についてです。  子供が貧困状態にあることは、その子の将来に影響を与えるだけではなく、そのことをいつまでも引きずってしまい、世代を超えた負の連鎖に陥って、いずれは固定化してしまうと言われてきました。これにどう温かい手を差し伸べることができるのかが大きく問われています。  コロナ禍のここ1年、困難な家庭環境にある子供たちへの支援の状況はいかがでしょうか。さらに困難度合いが高まっているのではないですか。そこで、信州こどもカフェに取り組むNPO法人等の活動支援の現状と強化策について知事にお伺いをします。  また、児童虐待の増加要因と一時保護所の増設を含めた対策、児童養護施設における職員の育成確保など、社会的養育の強化策、里親養育の現状と対応策はいかがでしょうか。あわせて、児童相談所への専門職員の増員をどのように進めていくのか。知事にお伺いします。  次に、長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)の策定についてです。  本件につきましては、1年前の2月定例会におきまして、我が会派小島代表から知事に質問させていただいたところ、次のようにお答えをいただきました。誰にでも居場所と出番のある長野県をつくっていく上で、この共生社会づくり条例は極めて重要であり、制定された暁には、単に条文が並んでいるだけではなく、実効性があるものにするよう、健康福祉部だけでなく各部局に対して、条例制定後、それぞれ必要な取組を検討させているところ。障害者の方々からも評価いただけるような条例となるようにしっかりと取り組んでいくとする内容の強い決意をお聞きしました。  それから1年が過ぎようとする1月31日の新聞折り込みに、広報誌「県からのたより」として、3ページにわたり、「障がいは、本人の努力で乗り越える それが、個人モデルという考え方」、「障がいがあっても参加できる社会をつくる それが、社会モデルという考え方」との掲載に、私はえっと絶句してしまいました。手話言語条例の制定に躍起になり、奔走してきたときの思い、みんなと共に生きる、その人に寄り添うこと、こういう気持ちを誰もが持ち合わせなければならないのではないかとつくづく思った次第であります。  しかしながら、さきの知事議案説明では、この条例づくりについて一言も触れられていませんでした。本当に残念に思いました。そうはいっても、どうなっていくのだろうとの不安がよぎる中、健康福祉部長説明を拝読したところ、「現在、障がいのある人もない人も共に安心して暮らせる社会の実現のため、長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)の制定に向け、検討を進めているところです。」との説明がありました。ぜひ多くの県民が参加の下、活発な議論の上で条例制定がなされますよう願うところです。  そこで、知事にお伺いします。長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)の策定は新年度になる見込みのようですが、何が課題なのでしょうか。御答弁ください。  次に、人権問題について触れさせていただきます。  県の人権を尊重する社会づくりの方向性は、これまで、平成22年に策定した長野県人権政策推進基本方針に沿って進められており、人間の尊厳を原点に、一人一人の個性や多様性を尊重し、異なる考え方や生き方を認め合い、全ての人が互いに支え合いながら共に生きる社会の実現を目指してこられたものと理解しております。  東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長であった森喜朗氏が、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかると日本オリンピック委員会の臨時評議員会で発言し、女性蔑視と国内外から矢継ぎ早に批判を浴び、会長職を辞されたのはつい先頃のことでした。  また、世界経済フォーラムは、昨年12月16日、世界各国のジェンダー不平等状況を分析した世界ジェンダーギャップ報告書を発表し、毎年公表している2019年版ジェンダーギャップ指数を公表。それによると、日本は世界153か国中121位で、前年から11位順位を下げたとしています。この指数は、ジェンダー間の経済的参加度及び機会、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントの4種類の指標を基に格差を算定し、ランキングづけがされており、特に中学校、高等学校、大学、大学院、労働所得、政治家や経営管理職、教授や専門職、国会議員数で男女間に差が大きいとの評価で、世界ランクはいずれも100位以下とのことでした。現状の男女差には大きな開きがあること、世界を見れば極めて低位にあることが一目瞭然ではないでしょうか。私たちはこの現実に目を背けることなく、改めて様々な差別事象に向き合っていかなければなりません。  そこで、コロナ感染者や病院従事者、家族等への偏見や誹謗中傷、根強い同和問題や女性蔑視、LGBT等に対する無理解など、いまだ多くの人権問題が存在していると思います。あらゆる差別をなくすため、県民の人権意識を高める取組をどのように進めていきますか。知事にお伺いします。  大項目の九つ目、自治の力みなぎる県づくりについてであります。  初めに、77市町村の自立と支援について伺います。  昨年12月24日、人口1,500人ほどの下伊那郡泰阜村に会派の有志で調査にお伺いしました。その際、横前村長さんから、かゆいところに手が届き、安心して暮らしていける村政に取り組み、弱者や生活困窮者対策に手を差し伸べている。これからは子育てに力を入れていきたいと明るく笑顔でお話いただきました。  一方、合併した自治体からは、役所から離れた周辺地域にはあまり力が入っていないというような声も漏れ聞こえています。平成の大合併から20年ほどたちますが、合併した自治体、合併しなかった自治体、それぞれの成果や課題にはどのようなものがあるとお考えですか。デジタルトランスフォーメーション、DXの推進に伴う行政事務の効率化や地域のよりよい暮らしを推進するため、77市町村と連携し、今後さらなる支援をどのように図っていきますか。知事にお伺いします。  次に、地域振興局になって4年、広域圏ごとに地域の強みや特性を生かした地域計画に沿って、地域振興局長の下、現地機関が一体となって課題解決に取り組み、地域や関係市町村との距離感は短くなりつつあると感じているところですが、地域振興局の評価と一層の人材、財源の配分も含めた今後への対応を知事にお伺いします。  次に、元気づくり支援金については、事業開始から13年が経過し、各方面からも様々な問題や課題が指摘されているとお聞きするところです。来年度には検討委員会を設けて見直しを図るべきと考えますが、知事の認識と今後の取組をお伺いします。  次に、県政の推進に当たりましては、1年に及ぶ新型コロナウイルス感染症と向き合う中で、県民への直接的な対応とともに、時差出勤やテレワークなどの取組によって県政を遅滞なく進めようと日々尽力されておられるものと承知しています。  そこで、伺います。コロナ禍における県職員のメンタルヘルスへの対応と、感染症対策で対面研修ができないなど様々な制約がある中、職員のスキルアップをどのように取り組んでいきますか。総務部長に伺います。  次に、しあわせ信州創造プラン2.0を成し遂げていくためにどのように取り組んでいくのかについてです。  知事は、さきの議案説明の冒頭、「新型コロナウイルスと度重なる自然災害。私たちは今、二つの大きな危機に直面しています。」と触れられました。まさに私も同じことを考えていたものですから、県民や事業者が後ろ向き、下向きにならず、本当に明日への希望と安心感の中に暮らしやなりわいが成り立つ県政運営になるよう、私もそのような心持ちで議員活動に取り組んでまいりたいと思っている次第です。  そこで、お伺いします。ここ1年半、未曽有の災害、疫病に見舞われてしまいましたが、これに対する受け止めと、このために遅れを余儀なくされた県政課題は何か。お伺いします。また、それらの課題を、残りの任期の中で、誰一人取り残さないために、どのようにしあわせ信州創造プラン2.0を成し遂げていくのでしょうか。併せて知事の御決意をお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)御質問に順次お答え申し上げたいと思います。  まずは、SDGs周知の取組と浸透度合いという御質問であります。  県としては、SDGsをできるだけ広く多くの皆様方に知っていただき、また、取り組みをいただきたいということで、普及に努めております。専用サイトやインスタグラムを立ち上げて県民の皆様方の学びや交流を促進しているところであります。  先月末には、SDGs全国フォーラム長野2020、これは、オンライン開催ではありましたけれども、2日間で延べ2,500名を超える方に御参加いただいたところでございます。また、全国の地方自治体が官民連携でSDGsを推進するSDGs日本モデル宣言、これにも県内全ての市町村に御賛同いただいたところでございます。  しかしながら、これは昨年6月の民間の調査ですのでちょっと時点が古いんですけれども、SDGsの認知度は15.4%ということで、一昨年の7.7%に比べますと倍増とはいえ、まだまだ低い状況にとどまっているのが現実であります。今後、県民の皆様方の関心をさらに高めるべく取組を進めてまいります。  SDGsの理念の来年度予算への反映についてという御質問であります。
     しあわせ信州創造プラン2.0は、SDGs達成に向けた行動計画でもあるというふうに考えております。予算編成に当たりましても、SDGsを意識しながら施策の構築に努めてまいりました。  例えば、誰一人取り残さない社会を目指すSDGsの基本理念を達成するという観点で、今まさにコロナ禍で大変な困難に直面していらっしゃる県民の皆様方の暮らしや事業者の活動を支え抜くための各種支援を盛り込ませていただいております。また、経済、社会、環境の3側面の課題に統合的に取り組むという観点からは、まさにゼロカーボンの実現に向けた様々な取組、ゼロカーボン基金の創設や脱炭素化を目指すと同時に、県民の皆様方の健康維持にも役立てるための健康エコ住宅の助成金、こうしたこともまさにSDGsの観点を取り入れた施策だというふうに考えております。引き続き、我々長野県としては、SDGs未来都市として、このSDGsの理念を大切にしながら県政運営を行ってまいります。  続きまして、県内の社会動態の減少幅の縮小をどう受け止めて、どう信州回帰につなげるかという御質問であります。  社会増減を何とかプラスに持っていきたいというのが私どもの思いであります。新型コロナという異常時の状況ではありますけれども、東京都との間で昨年来ずっと毎月転入超過になっているというのは本県にとって一つの大きなチャンスだというふうに考えております。長野県の価値、すばらしさというものをしっかり発信していかなければいけないというふうに考えておりますし、また、移住あるいはつながり人口の拡大、さらには2地域居住、いろいろなコンセプトで多くの人に県内に目を向けていただき、そして、県内の活動に参加をしてもらえる、そうした社会をつくっていきたいというふうに考えております。  人口移動を促していく上では、単にいいところということだけではなく、今の人の動きというのは、かなり大きく人々の価値観の変化を反映しているのではないかというふうに考えています。仕事、職場と居住している場所の近接性の確保、満員電車の通勤みたいな形ではなく、よりゆとりのある働き方、暮らし方をしたいといったようなことで、多くの皆さんの価値観が変わりつつあることがこうした人口移動につながっているというふうに思います。そういう意味で、単に移住の促進ということではなく、やはり長野県から新しい働き方や暮らし方を創出して、そうしたものに共感していただけるような方をしっかり引きつけられるような取組を進めていきたいというふうに考えています。そういう観点で、引き続き私たち信州の価値をさらに磨き、そしてしっかりと発信していきたいと考えています。  続きまして、Go To トラベルの成果と課題、そしてウィズコロナ下における観光振興についての御質問であります。  Go To トラベル事業につきましては、観光需要を喚起して、深刻な影響を受けている観光宿泊事業者にとって大変大きな効果がある事業だというふうに考えています。観光関係者の皆様方からは、非常に期待する声が強いというのも事実であります。  他方で、課題もあると思っております。例えば、割安感の強い高級な宿にどうしても人気が集中しがちになってしまうといったようなことや、地域によって感染状況が違うわけですが、国が運用するのでなかなかきめ細かな配慮ができない仕組みになっているといったような課題もあります。我々としては、できるだけ地域の事情に応じて弾力的に運用できるようにすることを国に求めてきているところであります。  ウィズコロナの下での観光振興についてでありますけれども、事業者の皆様方には一生懸命感染防止に取り組んでいただいておりますので、我々行政もそうした取組、対策をしっかり応援していくということ、そして、そうした対策が講じられているということを多くの皆さんにアピールしていくということが我々の役割として重要だというふうに思っております。宿泊施設やスキー場等の感染防止対策は、県からも財政支援を行ってかなり進んでおりますので、こうしたことを着実に進めてまいります。  また、我々県としては、引き続き感染状況を見極めながらではありますけれども、観光需要の喚起策にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。感染拡大の防止を図りながらも観光産業を元気にする方法というのはあると思いますので、そうした取組をしっかり進めていきたいと考えております。  続きまして、食料自給率の向上、温暖化への対応としての新品種開発の進め方について、そして、種苗法に関しての影響をどう捉えているかという御質問であります。  まず、新品種の開発についてでありますけれども、大きく二つの観点で取り組んでおります。一つは、生産現場の抱える課題の解決、これは、病害の発生等に対する対応であります。もう一つは、本県農産物のブランド化につながるような魅力あるオリジナル品種を開発していくと、こうした2点を柱に新品種の開発に努めております。  こうした取組を進めていく上では、何より消費者等のニーズを踏まえて行うということが重要であります。このため、例えば、酒米に関しては、農業試験場、工業技術総合センター、酒造組合などで酒米研究会を立ち上げて、育成の途中段階で候補品種を試験醸造して酒蔵の御評価を受けるといったようなことも行っております。実需者のニーズを迅速に反映して品種開発に当たってきた結果、これまで山恵錦の開発も行わせていただき、県内多くの酒蔵で既に御利用いただいている状況であります。  今後とも、本県の主力品種であります果樹や露地野菜、水稲等を中心として、温暖化への対策や生産性の向上につながる品種開発を進めて、農業の競争力強化を図っていきたいと考えております。  また、種苗法改正の影響でございますけれども、今回の改正におきましては、新たに登録される品種について海外への持ち出しが制限できることになりました。したがって、輸出を促進していく上では、本県農業にとってもメリットがあるというふうに考えております。  また、種苗法に基づく登録品種につきましては、農業者が種や苗を自家増殖する場合に新たに育成者の許諾が必要となっておりますけれども、県内で栽培されております農産物の多くは許諾の必要がない一般品種でありますことから、県内農業者への大きな影響はないものというふうに受け止めております。今後も、こうした制度の内容につきまして、分かりやすく正確な情報を農業者の皆様方に提供していきたいと考えております。  続きまして、森林環境譲与税の活用状況、それから森林税の必要性の検証についてでございます。  森林環境譲与税につきましては、森林所有者によって管理が困難な森林を対象とした市町村による森林経営管理制度の運用を主な使途としているものでございます。この制度の推進に向けて、これまで、7割を超える市町村で森林所有者の意向調査等に、そのほか、技術者の雇用や広域的な連携体制の構築にこの譲与税が活用されているところであります。今後、課税が始まる令和6年度までには森林経営管理制度に基づく森林整備が全ての市町村において開始されますよう、県として引き続き市町村の取組への支援を行ってまいります。  次に、森林づくり県民税についてでございますが、防災・減災や住民等による利活用のための里山等の整備などを支援しております。地域の皆様方が自立的に行う里山の整備、利活用の取組などが、県内各地で森林づくり県民税のおかげで進展してきているというふうに考えております。  この県民税の課税期間は残り2年という状況であります。市町村におきます森林経営管理の実施の見通しも踏まえながら、今後、森林税全体の成果や課題等について検証を行っていきたいと考えております。  続きまして、消防団の在り方と県の関わりについての御質問でございます。  消防団は、地域の事情に精通した住民の皆様方が、自らの地域の安心、安全を守るために日夜御尽力いただいているわけであります。一たび災害が発生すれば、迅速に現場に駆けつけて消火活動、人命救助に当たっていただき、まさに地域防災力の中核として欠くことのできない存在だというふうに考えております。  しかしながら、人口減少が進む中で、本県でも、消防団員数は令和2年4月現在で3万3,326人と、10年間で3,000人以上減少してきている状況であり、消防団の活動環境の整備等が課題となっております。  県としては、県の消防協会や市町村とも連携して、消防団活動協力事業所応援減税、信州消防団員応援ショップ登録店舗の拡充等によりまして、消防団が持続的に活動を続けていくことができますように団員確保のための支援や活動環境の整備に取り組んでまいります。  続きまして、消防防災ヘリの運用に関してであります。メンタルヘルス対策を含め、安全運航にどう配慮し、活用していくのか。当面の運用策について伺うという御質問であります。  消防防災ヘリの事故の後、決して痛ましい事故を起こさないという強い決意の下、関係者協力の下で運航体制の再構築に取り組んでまいりました。昨年12月に納入された新機体には、対地接近警報装置や空中衝突防止警報装置など新しい安全装備を備えたところであります。  また、組織面では、安全運航管理幹の配置、ダブルパイロット制の導入、さらにはクルー全員の意見が職位や職種に関係なく尊重されるCRM、クルーリソースマネジメントの浸透など、安全運航体制のための取組を行ってきているところでございます。  また、職員の健康面につきましては、操縦士の欠員による負荷が特定の隊員にかからないよう配慮して訓練計画を策定いたしますとともに、保健師の面談や危機管理部職員との意見交換などによりまして、意見や悩みを気軽に話すことができる風通しがいい職場づくりに努めているところでございます。  現在、職員は高い士気で各種訓練に取り組んでいるところであります。運航再開に向けた準備を引き続き着実に進めてまいります。  続きまして、脱炭素社会の具体像をどう描くか、そこに至る工程についてという御質問であります。  ゼロカーボン社会実現の先に見据えているのは、今まで以上に快適な社会、そして、暮らしの質が高い社会であります。歩いて楽しめる町、緑あふれるコミュニティー、そして高断熱、高性能な住まい、こうしたものを普及させることによって、暮らしの質の向上と地域経済の発展を目指していきたいというふうに考えております。  こうした社会を実現する上では、これからの10年間、最初のスタートダッシュが極めて重要だというふうに考えております。そういう観点で、建物分野におきましては、2030年には全ての新築建築物のZEH、ZEB化。再生可能エネルギー分野では、エネルギー自立地域を創出する。こうした県民の皆様方にも分かりやすく成果が実感できる政策目標を掲げていきたいというふうに考えております。来年度策定するゼロカーボン戦略においては、そうした目標と、そこに至るための具体的な施策も御提示させていただき、実現への道筋も明らかにしていきたいというふうに考えております。  続きまして、信州こどもカフェに取り組むNPO法人等の活動支援の現状と強化策という御質問であります。  信州こどもカフェは、今、新型コロナウイルス対応で平常時よりも経費がかかっているという状況があります。そういう観点で、昨年9月の補正予算でかかり増し経費分の追加助成をさせていただいたところであります。  また、長野県みらい基金が造成しておりますコロナに負けない信州応援基金にも補助を行わせていただき、ここを通じてこどもカフェの様々な取組を応援しております。  さらに、今年度は、県庁及び10の地域振興局におきましてフードドライブを延べ43回開催しています。県内の食品取扱事業者や農業者団体に対しても食料提供の協力を依頼して、食料の供給面でもこどもカフェをサポートいたしております。  来年度、こうした支援に加えまして、こどもカフェが開催できない場合でも食料配布を行うことができるようにしていきたいと思っております。そのための予算を今回の予算案にも計上させていただいております。引き続き、こうした取組を通じて、こどもカフェの活動を応援していきたいと考えております。  続きまして、児童虐待の増加要因と一時保護所の増設を含めた対策等についての御質問であります。  まず、近年の児童虐待通報件数の増加要因でありますけれども、大きく二つあると思っております。一つは、速やかに通告するという意識が県民の皆さん全体に広く高まっているということ。それからもう一点は、地域や家庭の養育力が低下して、保護者の方の子育てに対する負担感が虐待という形で発生しやすくなっているということであると考えております。  一時保護施設につきましては、来年度、新たに児童養護施設が設置する一時保護専用施設を2か所増設することになります。県としても支援いたしますが、里親への一時保護委託も進めて、一時保護の受入れ体制を強化していきたいと考えております。  また、児童養護施設での職員の育成確保ということでございますが、昨年6月に社会的養育推進計画を策定し、その中で、子供の養育を地域で支えるための人材育成を基本目標の一つに掲げております。大学等の養成機関や児童福祉施設等と連携協力して、研修の充実等人材育成のためのシステムの構築に向けた検討を現在行っているところでございます。  また、里親養育の現状と対応策についてという御質問でございますが、本県の里親養育につきましては、令和元年度末現在の里親委託率が18.2%ということで、全国に比べますとまだ低い状況でございます。このため、児童相談所単位で設置いたします里親委託等推進委員会を中心として、各機関が連携して里親委託を進めていきたいと考えております。  さらに、里親の新規開拓から委託後の支援まで一貫した包括支援を県内の乳児院に委託する事業を、来年度は1か所から2か所に増やして、里親委託のさらなる推進と養育環境の充実を図ってまいります。  また、児童相談所の専門職員の増員についてでございますが、平成28年度から昨年度までの間に計32人増員してまいりました。来年度はさらに13人の増員を予定しているところでありまして、今後とも計画的に増員を行い、体制強化を図ってまいります。  続きまして、長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)の策定における課題についてという御質問であります。  共生社会づくり条例(仮称)については、一昨年の6月から県の社会福祉審議会障がい者権利擁護専門分科会において検討を重ねていただき、昨年3月に報告書をいただいております。現在、それを基にして条例を検討するとともに、施策への反映について関係部局の調整を行っている状況でございます。  今回、この条例の基本的な考え方となる社会モデルを広く県民の皆様方に知っていただこうという趣旨で、先月末の県広報誌に個人モデルと社会モデルというものを並べて掲載いたしましたところ、私どもの説明不足の点もあり、障害当事者の方も含めて否定的な御意見をたくさん頂戴いたしました。不快の念等を抱かれた方々には率直におわびを申し上げたいと思っております。  今回の広報は、県民の皆様方に個人モデルと社会モデルということを考えていただきたいという趣旨で行ったものであります。私どもは、今、条例の検討を行っているところでありますけれども、単に条例をつくればいいというものではないということを今回の件を通じて改めて痛感しているところであります。  実効性がある条例としていく上で、やはり多くの県民の皆様方との対話をさらに進めなければいけないと思っております。先ほど荒井議員からは活発な議論というお話がありましたけれども、まさにそうしたことが今強く求められているというふうに考えております。  私も、ヘルプマークの普及を一緒に行っていただいている障害当事者と支援者の方々がオンラインで今回の広報について話し合う場にコメントを寄せさせていただいたのですけれども、障害当事者の方からは、障害者という言葉がなくなるようにしていく必要があるのではないかといったような御意見もあり、この共生社会の在り方ということについてはかなり深く考えていかなければいけない課題がまだまだたくさんあるというふうに考えております。  障害に関する県民の皆様方の理解の促進やバリアフリー化を進めていく、物理的なバリアフリーを進める上では、やはり事業者の皆さんにとっても負担になる場合もあります。あるいは、今、国において改正の動きが出ております障害者差別解消法との関係性をどう整理するか、まだ検討すべき課題もあるというふうに考えております。  まずは、多くの県民の皆様方としっかり対話を行い、その上で、多くの皆様方の期待に応えられるような条例となるよう丁寧に検討を進めて、そして議会に御提案をしていきたいというふうに考えております。  続きまして、県民の人権意識を高める取組という御質問でございます。  県民の皆様方の人権意識の高揚に向けていろいろな取組を行ってきております。県としては、人権政策推進基本方針に基づいて、国や市町村、経済団体とも連携しながら啓発や教育に取り組んできたところであります。  新型コロナで誹謗中傷や差別ということがクローズアップされているわけでありますけれども、今回のコロナで、改めて人権に関する様々な課題が顕在化して、多くの皆様方が人権を守ることの大切さについて改めて思いを致しているのではないかというふうに受け止めております。  そういう中で、県の人権政策推進基本方針策定から既に10年が経過しております。この間、部落差別解消推進法など新たな法律の制定や、誰一人取り残さないというSDGsの採択など、策定当時と比べて人権に関する状況もかなり大きく変化してきているというふうに考えております。こうしたことから、来年度は、この基本方針の見直しに向けた検討に着手していきたいというふうに考えております。あわせて、具体的な取組についても検討を行ってまいります。  続きまして、平成の合併の成果と課題についての御質問でございます。  合併した市町村、合併しなかった市町村、それぞれ課題があるというふうに思います。合併した市町村におきましては、行財政運営の効率化や広域的なまちづくりの推進が図られている一方で、市町村域全体での均衡ある発展をどう図るかということが課題であるというふうに受け止めています。また、平成の合併が推進された後も小規模町村でとどまっている町村においては、複雑多様化する行政課題にどう対応していくか非常に苦慮されている町村も多いというふうに受け止めています。  そうした中、今般の新型コロナウイルス感染症や自然災害の対応、DXの推進等、なかなか単独の自治体では取り組みにくい解決できないような課題も増えてきているというふうに考えております。こうしたことから、まずは市町村同士の広域的な連携を促進していくことが必要だと思いますし、また、広域自治体としての県が役割を発揮して、市町村と連携しながら様々な取組を進めていくということも重要だと考えております。  今回のコロナ対応について、私も度々市町村長の皆様方とオンラインで対談、懇談をさせていただき、課題や方向性を共有させていただいております。また、DXの推進に当たっては、先端技術活用推進協議会に各市町村にも参加をいただいて、市町村と県とで一緒にDXの推進に取り組んでいるところであります。こうしたことを通じて、県と市町村が協力すべきところはしっかり協力しながら、一緒になって住民の皆様方のサービスの向上と地域の発展に向けた取組を進めていきたいと考えております。  それから、地域振興局の評価と今後への対応についてという御質問でございます。  地域振興局設置以来、各振興局長のリーダーシップの下で現地機関が連携して様々な課題の対応に当たってきております。災害対応やコロナ対応において、市町村とまめに連絡を取りながら対応いただいているというふうに受け止めております。そういう意味では、各地域振興局がしっかり頑張っていただいているというふうに思っております。  また、地域課題の解決に向けて、財政的な側面で、地域振興推進費や元気づくり支援金という制度を設けているほか、局長からの提案を踏まえて部局の予算について編成してきております。こうした財政面においてもできるだけ地域振興局の主体性が発揮できるようにということで取り組んでまいりました。  しかしながら、まだ課題もあるというふうに受け止めております。本庁が企画立案、そして現地が執行機関という役割分担意識が残っている側面もまだまだあると受け止めております。また、市町村との情報共有の場面では、現地機関と本庁との間でのコミュニケーション不足、地域振興局が把握していることを本庁が直接市町村に聞くなどということも散見されますので、局と本庁との関係もよりしっかりした形を確立していくということが重要だと思います。引き続き、地域から信頼され、期待に応えられる地域振興局となるようにし、局長をはじめ現場の職員の声も聞きながら取り組んでいきたいと考えております。  また、元気づくり支援金についてでございますけれども、元気づくり支援金については、様々な住民協働の取組を支援する上で成果が上がってきたというふうに思っておりますが、他方で、近年、要望件数あるいは新規活用団体数が減少傾向にあります。また、県全体の重点テーマの採択事業数も全体の中で1割程度にとどまっているといったようなことで、改善すべき点もあるというふうに受け止めております。  これまで、元気づくり支援金については、2度大きな見直しを行ってきております。今後とも、住民主体の地域づくりの推進というこの支援金の本旨を尊重しながらも、市町村等の御意見をお伺いしながら、よりよい制度となるような検討を行っていきたいというふうに思っております。  それから、最後の御質問でございます。未曽有の災害、疫病に見舞われたことに対する受け止めと、この間、遅れを余儀なくされた県政課題は何か。そして、残りの任期で、この課題を含めてしあわせ信州創造プラン2.0をどう成し遂げていくのか決意を伺うという御質問であります。  まず、今回の新型コロナウイルスや度重なる自然災害は、県民の皆様方の確かな暮らしの基盤を揺るがす大変大きな危機だというふうに考えております。今回提案させていただいている予算案も極めて大規模な予算になっておりますが、当面の危機を県民の皆様方とともに何とか乗り越えていくためにはいずれも必要な予算だということで提案させていただいております。  災害からの復旧・復興はまだまだ道半ばでありますし、日常の暮らしを取り戻していらっしゃらない方もおります。また、新型コロナウイルスへの対応はまだまだ継続しております。こうした危機を、一人でも多くの皆様方と思いを共有しながら、県民一丸となって、支え合いの気持ちを持ちながら何とか乗り越えていきたいというふうに思います。そのために全力を尽くしてまいりたいと考えております。  遅れを余儀なくされた県政課題ということでありますけれども、この間、業務に優先順位をしっかりつけて対応してまいりました。そのこともあり、例えば、戦略的な国際交流やインバウンド戦略については足踏み状態になっており、こうした遅れを今後取り戻していかなければいけない部分もございます。  しあわせ信州創造プラン2.0は、県議会の皆様方にも御理解をいただいて取りまとめた県の総合計画でありますので、目標として掲げております確かな暮らしが営まれる美しい信州、まさにこのコロナ禍や災害対応の中で、改めて確かな暮らしの大切さ、重要さということを私自身も痛感しております。全ての県民の皆様方に安心と希望を実感していただくことができるように引き続き全力で実現に向けた取組を進めてまいります。  以上でございます。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)私には、コロナ禍の中での長野県立大学の状況、今後の対応について御質問をいただきました。  まず、授業の実態と習熟度についてでございますが、新型コロナウイルスの感染状況に応じて、今年度上半期は一部の実習を除いてオンラインで、下半期は対面授業とオンライン授業を併用しておりましたが、11月の感染警戒レベルの引上げに伴い、再びオンライン中心に切替え、授業を行ってきたところでございます。  オンライン授業に当たりましては、質の確保、また、学生の間で理解度に差が生じないよう、レポートのみや学生が一方的に聞くだけの講義ということではなく、教員と学生が双方向で対話をしながら授業を行うほか、新たに予習復習等に活用する個別学習支援システムを導入いたしまして、授業の効果を高めるようにしているところでございます。その結果、学生に授業の満足度等を問うアンケートでは、半数を超えた多くの項目で評価が前年度を上回っております。習熟度におきましても、個々の差はあれ、全体的には保たれているというのが大学としての受け止めでございます。  新年度は、前半は対面とオンラインの併用により行い、感染状況を踏まえ、対面授業に戻していく予定でございますが、オンライン授業が主体となりました場合も、本年度の経験を踏まえ、学生の声を聞きながら教育の質の確保を図ってまいりたいと考えております。  海外プログラムについてでございます。  今年度は、予定していた2年生全員が渡航できませんでした。今後、代替といたしまして、本来の研修先である海外の大学等とオンラインで結びまして、渡航して実施する場合とできるだけ同様のプログラムで研修や交流を行う予定としております。また、現在の1年生につきましては、現時点では時期を遅らせて海外で実施すべく対応を進めているところでございます。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)地域協議会の状況と今後の再編・整備計画策定の見通しについてのお尋ねでございます。  旧12通学区ごとに設置した地域の協議会におきまして、地域の高校教育の将来像について丁寧に議論をいただいているところであります。  地域協議会からいただいた意見、提案を踏まえて策定いたします再編・整備計画についてですが、旧第1、第6、第8、第9の四つの通学区については既に1次分として決定したところであります。加えて、昨年12月までに、旧第2、第5、第10の三つの通学区の地域協議会からも意見、提案をいただいておりまして、今年度中の公表に向け、2次分の再編・整備計画案の検討を進めているところでございます。  残る5地区につきましては、令和元年東日本台風災害や新型コロナウイルス感染拡大の影響も受ける中、本年12月までの意見提案に向けまして議論を丁寧に進めていただいておりまして、その意見提案を踏まえて、来年3月を目途に全県分の再編・整備計画案を策定してまいりたいというふうに考えております。  次に、新たな入学者選抜制度の検討状況についてでございます。  これにつきましては、令和6年度選抜からの導入を前提として検討スケジュールを考えていたところでありますけれども、その後、新型コロナウイルス感染症拡大等の状況がありまして、それを踏まえ、検討スケジュールを見直し、令和7年度からの導入に向けて検討を進めているところであります。  感染拡大による学校現場の対応状況を見極めながら、現場の実務担当教員との意見交換会や、校長会、各種団体等からの意見を伺う機会を設け、検討を重ねております。その中では、学力の3要素を適切に評価する方法や調査書の記載内容、そして、今回の新型コロナウイルス感染症の教訓を踏まえて、どのような状況下でも確実に実施できる入試制度の在り方などについて議論しているところであります。  今後も、引き続き検討を行いまして、本年3月には検討の方向性を、そして、9月には検討の内容を公表し、来年3月に選抜制度の決定を予定しているところでございます。  以上でございます。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)4点御質問をいただきました。  まず、工業技術総合センターとテクノ財団等支援機関の統合、連携についてでございます。  企業活動のグローバル化や環境の変化に迅速に対応するためには、技術開発から販路開拓まで一貫したサポート体制が望まれるところでございます。このため、本年度は、昨年2月に県と産業支援機関でまとめました長野県の産業支援体制の在り方に基づき、中小企業振興センターと長野県テクノ財団の令和4年4月の合併を目指して準備を進めております。  また、これに先立ち、来年度中には、両団体が入居する県工業技術総合センター若里庁舎内へジェトロ長野が移転を予定しており、これまで以上に支援機関が連携して企業の海外ビジネスを支援してまいります。  さらに、県内各地域に設置されている産業支援機関や商工会議所、商工会、大学等とも連携を強化いたしまして、幅広い産業分野におけるワンストップ支援体制を構築してまいります。  次に、国が行う経済構造転換支援策と連動した支援でございます。  中小企業は、今、ウィズコロナ、アフターコロナに向けた産業経済の変化への対応や経営構造の転換に直面しているところであります。  例えば、需要減にある航空機部品製造業がロボット関連や医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げたり、エンジン部品からEV車用の部品製造へ技術転換を図る、また、テレワーク需要を取り込むためホテルの客室をリゾートテレワークルームに改造するなど、こうした事業再構築に取り組む事業者に対し、国は、中小企業等事業再構築促進事業補助金による支援を実施することとしております。  県といたしましては、県内の中小企業等が、コロナ禍にありながらも、事業再構築や新事業進出に前向きにスピード感を持って取り組めるよう本制度を拡充し、具体的には、国と合わせて最大8割の補助率となるよう助成率を上乗せし、信州未来リーディング企業育成事業として約200件分の予算を措置し、着実な成長を後押しいたします。
     次に、グリーン社会実現に向けて挑戦する企業への支援でございます。  既に、世界的なIT企業や自動車メーカーにおいては、サプライチェーンを巻き込んで脱炭素化への対応を強めつつあり、今後、ESG投資市場の拡大などグリーン社会の実現に向けた動きが加速していくものと認識しております。  こうした世界の潮流も踏まえ、県といたしましては、策定中のゼロカーボン戦略に、取組の視点として、製造や技術をグリーン分野へ転換するプロダクト・イノベーション、事業活動においてゼロカーボンを推進するプロセス・イノベーション、さらには、グリーン社会の実現に貢献する経営理念・マネジメント改革の三つを掲げ、県内企業の脱炭素化への挑戦を後押ししてまいりたいと考えております。  来年度の具体的な取組といたしましては、県のゼロカーボン基金を活用し、県内外の大学、企業等と連携したゼロカーボン関連技術開発の支援、企業立地の際の優遇策として、建物のZEB化やRE100等にコミットする企業が行う設備投資に対する支援、さらには、SDGs推進企業登録制度の推進によるゼロカーボンの実現に向けた意識の醸成などを実施してまいります。  最後に、外国人技能実習生等に関するお尋ねでございます。  長野労働局の調査では、令和2年10月末現在、外国人労働者を雇用する事業所は3,964か所、外国人労働者数は1万9,858人となっております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、前年と比べて労働者数で157人の減少となっているものの、外国人労働者数が増加に転じた平成27年と比べると、5年間で事業所数が1,217か所、44.3%の増、労働者数は7,149人、56.3%の増となっております。中でも、技能実習生は急増しており、平成27年と比較しますと3,047人、75.6%増の7,080人でございます。  他方、厚生労働省によると、技能実習生の受入れ事業場について指導監督を実施した全国9,455事業場のうち、71.9%で労働基準関係法令違反が認められており、制度の適切な運用が課題となっております。このため、県といたしましては、事業者が外国人材受入れに関する制度を十分認識するとともに法令を遵守した受入れが促進されるよう、外国人材受入企業サポートセンターを先月13日に立ち上げたところです。同センターでは、行政書士、社会保険労務士による労働条件などの制度的な助言はもとより、例えば、農繁期の異なる地域が連携して在留資格「特定技能」の方々を派遣する、いわゆる期間リレー雇用、リレー派遣などの受入れ方法についてもアドバイスを行ってまいります。  今後とも、外国人材をはじめ、様々な方々が生きがいを持って働き、人を引きつけられる県となるよう取り組んでまいります。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)国の移住支援事業と連動し、補助金や税制優遇など新たな支援策を創設すべきというお尋ねです。  国の移住支援事業は、東京23区在住者、または23区への通勤者が地方に移住し、就職した場合を対象としております。本県では、対象範囲を広げまして、東京エリアの1都3県、愛知県、大阪府からの移住者にも市町村と協調しまして国と同水準の1人当たり最大100万円を支給しております。  今般、国の支援対象がテレワーカーやプロフェッショナル人材などにも拡充されることとなりました。これを受けて、移住者の増加により資するものとなりますよう、本県の支援制度の改正の検討を進めているところであります。  移住者のための税制優遇ということですけれども、従前からの住民との公平性、いわゆる租税公平主義の観点から、これによらず、別の形での支援を行っていきたいと考えております。  県におきましては、平成29年度から県営住宅の入居要件を緩和し、県外からの移住者も入居可能としております。また、現在71の事業者が楽園信州移住応援企業に認定されております。移住希望者や2地域居住者等に対しまして、住宅ローン金利の優遇や引っ越し料金の割引、不動産仲介手数料の割引など、経済的負担を軽減するサービスを提供していただいております。  こうした制度を活用しつつ、情報提供や相談支援も併せまして、市町村、民間事業者と連携し、オール信州で一人でも多くの方が長野県に移住していただけるよう支援してまいりたいと考えております。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)松枯れやナラ枯れ対策の現状と新年度の取組についてお尋ねをいただきました。  松枯れ対策の取組としては、議員おっしゃるとおり、これまで、守るべき松林を定め、選択と集中により対策を進めてきました。また、被害先端地域においては、高い補助率の事業により支援を行うとともに、まだ被害がない未被害の市町村では、松林の監視や新たに発生した場合の速やかな伐倒駆除に支援を行っているところです。新年度は、令和2年度から作成している松くい虫被害レベルマップを完成させ、被害の程度の見える化を行い、守るべき松林の見直しを図り、これまでの対策をさらに進めてまいります。  ナラ枯れ対策の取組としては、これまで、道路などに影響を及ぼすおそれがある被害木を優先して伐倒駆除してきたことに加え、令和2年度は被害が激増したことから、監視の強化や新たに発生した地域での初期段階での駆除の徹底を図っています。新年度は、事業費を大幅に拡大して取り組み、被害の蔓延防止を図ってまいります。  以上でございます。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)生活様式の変化に対応する心の健康への支援についてのお尋ねでございます。  この1年、県民生活は様々な面で新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、それまで抱えていた悩みやストレスの顕在化、増大化によって、不安障害、鬱病、依存症などの精神疾患や自殺者の増加が懸念されているところであります。  県では、こうした状況に対応いたしまして、精神保健福祉センターに新型コロナウイルス感染症に関するこころの相談窓口を新たに設置いたしましたほか、県教育委員会による若年層を対象としたLINE相談の拡充など相談体制の充実を図ってまいりました。  こうした相談窓口や相談方法を必要な人にしっかりと知っていただけるよう、市町村と連携した取組に加えまして、メディア等様々な広報媒体の積極的な活用に取り組んでいるところでございます。また、家族や周囲の方の異変に気づき、医療機関等の専門家に適切につなげるゲートキーパーの養成研修を引き続き実施いたしますとともに、多様な精神疾患に対応できる医療体制の構築を進めてまいります。  例えば、ストレスによるアルコール等への依存が懸念されることから、県では、昨年、こころの医療センター駒ヶ根を依存症治療拠点医療機関に選定し、依存症治療のネットワーク化や専門的医療の提供を進めているところでございます。  引き続き、コロナ禍の影響もしっかりと見極めつつ、県民の心の健康づくりの推進に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔警察本部長安田浩己君登壇〕 ◎警察本部長(安田浩己 君)横断歩道の視認状況の向上に向けた取組について御質問をいただきました。  横断歩道は、歩行者が安全に横断できる場所であるべきところ、実際には歩行者事故の約3割が横断歩道上で発生しているほか、横断歩道を横断中の交通死亡事故が昨年2件発生するなど、横断歩道の安全対策は喫緊の課題となっております。そのため、横断歩道におけるルール、マナーのさらなる向上を図るとともに、議員御指摘のとおり、横断歩道の視認性向上などの対策も極めて重要であると認識しております。  そこで、交通量の多い幹線道路の横断歩道では、耐摩耗性を高めた高耐久道路標示の整備を進めているほか、摩耗した横断歩道の補修にもできる限り努めているところであります。また、危険性が高い場所については、横断歩道手前のカラー舗装や減速を促すドットライン表示等について道路管理者に働きかけるなどの対策を講じております。さらに、夜間における横断歩道の視認性を高めるため、横断歩道標識の外周を青色発光ダイオードで点滅させる標識を考案し、平成25年からこれまでに、県内668か所、1,060本の整備を行ったところであります。  このほか、昨年は、県内の信号機のない横断歩道約8,000か所について設置状況や標示の摩耗等の調査を実施し、改善が必要な横断歩道を把握したところであり、こうした横断歩道につきましては、歩行者の横断実態や事故の発生状況等を勘案し、優先順位をつけながら、道路管理者等と連携して効果的な安全対策を講じているところであります。  県警察といたしましては、今後とも、県内の交通事故を1件でも減少させることができるよう、横断歩道の安全対策をはじめ、各種交通安全対策に全力を挙げて取り組んでまいります。  以上です。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)コロナ禍における職員のメンタルヘルス、スキルアップについてのお尋ねであります。  新型コロナウイルス感染症のみならず、令和元年東日本台風や昨年の7月豪雨災害からの復旧・復興など、現在、職員には過重な負担が生じているものと認識をしております。  職員がメンタルヘルスの不調を感じた場合に備えて、常時健康相談を受けられる窓口を整え、その利用を促すとともに、過重労働についても必要に応じて医師との面談などを実施しております。  メンタルヘルスに関する職員研修についても、これまでの管理監督者を対象とした研修に加えまして、今年度は、全職員を対象に、心の強靱性、レジリエンスをテーマとしたオンラインでの研修を実施いたしました。また、今年度の職員研修につきましては、新型コロナウイルス感染症の予防の観点から、可能な限り集合研修をeラーニングやZoomを活用したオンライン研修へ変更し、実施いたしました。  コロナ禍においても、一人一人の職員が心身ともに健康な状態で能力を発揮できるよう今後も取り組んでまいります。  以上です。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君)あと僅かで1,000年に一度と言われた東日本大震災、栄村を中心とした長野県北部地震から丸10年。思い出せば、今でも胸に痛みを覚えます。  そして、一昨年の東日本台風災害の復旧・復興はまだまだこれからの状況です。  治水防災対策に万全を期し、ワクチン接種や新しい生活様式の実践を積み重ねつつ、経済浮揚対策をうまく織り交ぜながら、県民の安全、安心、笑顔と元気いっぱいの長野県政が展開されますよう御期待申し上げまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(小池久長 君)この際、15分間休憩いたします。         午後3時35分休憩          ──────────────────         午後3時52分開議 ○議長(小池清 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  県民クラブ・公明代表清水純子議員。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)それでは、県民クラブ・公明を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  世界最初の症例から1年2か月強が経過した新型コロナウイルス感染症は、世界的流行となり、今なお各地で猛威を振るっております。感染症により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、長きにわたり最前線で闘い続けていただいている医療従事者、エッセンシャルワーカーの皆様、保健所関係をはじめとする県行政の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。  感染症の世界的流行は、国際秩序や世界経済から個人の生活に至るまで大きな影響を与え、世界は第二次世界大戦以降最大の試練のときを迎えており、まさに私どもは時代を画する分岐点にいます。14世紀に欧州で流行したペストや20世紀のスペイン風邪等過去の歴史からも、パンデミック後には大きな社会変革が起きました。今回のコロナ禍を受け、世界の秩序や社会の在り方も大きく変わっていくのではないかと感じます。  令和3年度は、未曽有の国難に立ち向かい、社会経済に甚大な影響を与えている深刻な事態を乗り越えていく希望と勝利の年としていかなくてはいけません。感染拡大へのさらなる備えとともに、長野県の経済をどう動かすかという経済対策を万全にした上で、明確な将来の見通しを示し、県民の不安払拭や安心感に向けて努めていくことが必須であります。  加えて、コロナ禍により、日本における内外の様々な課題もあぶり出されました。平時には見えなかった経済、生活の基盤の脆弱さや、緊急事態宣言を受けて社会生活が幅広く停止、抑制され、収入が途絶えると程なく行き詰まってしまう個人や事業主がいかに多いかが顕在化いたしました。  個人では、非正規労働者やフリーランスを中心にこうした状況が多く見られ、事業者においては、観光業、飲食業、中小・小規模事業者を中心に、僅か1か月でも誘客が途絶えれば経営が成り立たない実態も明らかになりました。加えて、支援が必要な人にタイムリーに手を差し伸べることができない実態も明らかになり、最大の背景となる行政のデジタル化の遅れも顕在化しました。  これらの現下の状況を背景に、来年度の県政課題についてお伺いいたします。  まず、新型コロナウイルス対策について、午前、午後の代表質問で触れられておりますので、重複しない点でお伺いしていきます。  医療対策についてでありますが、長期にわたる新型コロナ感染症の闘いの中、年末年始も返上し、最前線で患者のケアに当たっていただいている関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。今月18日、県内でも信州上田医療センターにて新型コロナワクチンの接種が医療関係者から順次開始されております。今後、高齢者を優先とした全ての人へのワクチンの接種環境が整い、接種率の向上により、医療機関への負担軽減へとつながることを期待いたします。  これほどまでの大規模なワクチン接種は過去にも経験がなく、全県の接種体制の確立に向けては相当な労力が強いられると思います。接種を行う医療従事者、予約受付、相談等を受けるコールセンター、また、接種会場の人員確保など、各市町村でのマンパワー不足も懸念されているところです。全国でも、今、試行錯誤の中で準備が進められております。  自治体職員の人員確保を少しでも抑制していくために、ホテルを接種会場として従業員に誘導業務をしていただいたり、旅行代理者にコールセンターを担っていただくアウトソーシングの動きや、また、接種の予約については、技術の進歩により、SNSを活用した予約システムやAIを活用した予約コールセンター、AIチャットボットでの相談などの動きも見られてきております。接種体制の効率化と必要なマンパワーの増加回避に向けて、県としてどのようにコーディネートされていくのか。所見を伺います。  全国では、コロナ感染拡大に伴う労働環境の変化と感染リスク、偏見などを理由に、看護師や准看護師の離職が課題となっておりますが、県内の状況と今後の感染拡大を想定した看護師の充足についてお聞きいたします。  急激な症状悪化により自宅療養中の方が突然亡くなるという事態に、多くの県民が不安を抱いております。現在、保健所からは、自宅療養者に対し、毎日数回健康観察のフォローアップがされておりますが、特に独り暮らしの自宅療養者の方の不安軽減や急激な病変に早期に対応していくためにも、オンライン診療を活用した丁寧な体制の構築が必要と考えますが、御所見を伺います。  県は、自宅療養、宿泊療養者の病状急変に対応するため、血中酸素濃度を管理するパルスオキシメーターの貸与をいち早く対応していただいていると認識しておりますが、加えて、自宅療養者への支援として、療養中の食料などの生活物資支援体制はどのようになっているのか、対応についてお聞きいたします。  先ほどオンライン診療に触れさせていただきましたが、新型コロナの感染防止上、時限的に、初診を含むオンライン、そして電話による診療等が可能となっております。今後、診療の質が保たれることを前提に、医療分野でのオンライン診療の拡大と定着について厚生労働省でも議論が始まっております。厚労省のデータでは、今回のコロナによって、おおむね従来の5倍から10倍の利用がされているとしており、県内においても利用者が増加したと認識しております。  今後、普及への課題は、診療報酬の点数が低いことや、医療機関への情報不足などが挙げられます。高齢化と医師不足、そして地方交通維持の深刻化を考えると、オンライン診療の定着は必須との認識の中で、まずは、コロナ禍での受診控え防止、感染拡大防止への対応として、オンライン診療の体制整備を県が積極的に応援していくことが必要ではないかと思いますが、御所見を伺います。以上、健康福祉部長に伺います。  コロナ禍においての県政運営について伺います。  人類の危機とも言われた新型コロナウイルス感染症との闘いで、知事は、長野県民の命と暮らしを守るため、先頭に立って県政運営に当たっていただいております。コロナ禍での1年間の県の対応の振り返りと顕在化した課題については、宮本議員への御答弁でお聞きいたしましたので、私からは、令和3年度のコロナ禍での長野県経済の見通しと、そして、令和4年度以降も念頭に、今後の長野県経済の再建についてのお取組をお聞きいたします。  今後のコロナの影響による税収減が予想される中、令和3年度予算は、これまで以上に費用対効果を意識した事業運営を行っていくことが県財政の上では必要ですが、コロナ禍でのスタートとなる令和3年度の当初予算の組立てについて知事の考え方をお聞きいたします。  また、コロナ禍において、知事は、優先順位が低い施策事業の抑制が強く求められるとしておりますが、事業の優先順位づけをしていくためには、新型コロナの深刻な影響を受けている県民の声や、社会変革によって変化する県民ニーズを平時以上に速やかにかつ的確に捉えていく必要があります。必要な事業を見極めるために知事はどのようにして県民の民意を捉えていくのでしょうか。あわせて、県民の代表であり、現場の声を聞いている県議会との連携がより一層必要であると考えますが、いかがでしょうか。  県内の新型コロナウイルス感染者は、医療従事者らの懸命な努力とともに県が感染拡大防止策を講じてきましたが、昨日で2,359名を超えました。また、1月7日には陽性者が79名公表され最高を更新するなど、感染拡大に歯止めがかからない状態も続きました。  これまで県民に公表されている感染者の情報は、性別、年代、住所地、首都圏等との往来があったか否か、濃厚接触者の可否などであり、1年を超えた現在も感染者の公表における項目事項に変化はありません。県民からは、感染者への誹謗中傷を防止する観点からも、性別の公表は必要な情報なのか、「首都圏との往来」との明記は、許せないという感情を生み、差別のきっかけになるのではないか等々様々な声をいただいております。感染された方も国や県が進める基本的な感染防止対策は取っていたと考えますが、なぜ感染したのか、県民は不安になっています。  山梨県では、これまでのコロナ感染事例の疫学的分析を行い、入院調整専門家によるコメントとともに分かりやすく発生状況を公表しています。長野県でも、これまでの教訓と症例を踏まえ、県民が本当に欲しい必要な情報、そして公表の在り方を再度検討するときに来ているのではないかと考えますが、公表の在り方について御所見を伺います。  平成29年4月、地域で生じている課題や県民ニーズを的確に把握し、スピード感を持って主体的、積極的に課題解決に当たる組織として地域振興局を設置して、間もなく4年となります。今回、コロナの影響を受けた県民や事業者に対する支援においても役割を果たしてきました。しかし、次々と局面を迎える事業者支援では、本庁で立案し、執行するという従前の地方事務所時代の組織と同様で、トップダウンが目立ったように思います。これも時には必要であると思いますが、特に、今回のような緊急時には、商店街の支援や観光地の支援において、県下一律のルールでの支援よりも、地域の実情に応じて必要なきめ細かな支援や広域圏レベルの支援が有効な部分もあると思います。コロナ禍での地域の課題解決における地域振興局の在り方と支援施策の提案についてお伺いいたします。  また、5年目となる次年度は、コロナの収束を見据え、次なる社会変革の強固な基盤をつくることによって、コロナ禍に打ちかつ新たな成長と活力を生み出し、県民生活の質の向上や豊かさの実感へとつなげていく施策が求められます。県民に一番近い県組織でもある地域振興局の次年度の予算のさらなる増額を図り、県民と地域のニーズを捉えたスピード感ある組織へ強化すべきと考えますが、御所見を伺います。  これまで、県内地域の活力を創造していく元気づくり支援金については、様々な議論があったところです。今年度実施予定だった事業は、新型コロナウイルスの影響で事業ができず、取下げとなったものや規模が縮小されたものが数多くあります。これらの実施できなくなった事業については、繰越しを認めるなど柔軟な対応が必要ではないかと思いますが、これらの対応を含め、コロナ禍での次年度事業実施への配慮と方向性についてお伺いいたします。  今回、支援が必要な人にタイムリーに手を差し伸べることができない実態も明らかになりました。国においては、1人10万円の特別定額給付金をはじめ、持続化給付金など、また、県でも、新型コロナ拡大防止協力金ほか、実際の給付にはかなりの時間を要する結果となり、その一つの要因として、行政のデジタル化の遅れが挙げられております。  国は、デジタル庁の基本方針を示し、本年9月、500人規模で始動するとしております。基本方針には、人に優しいデジタル化のため、徹底した国民目線でユーザーの体験価値の創出を図る、そして、誰一人取り残さないデジタル化を進めると理念を掲げており、これは、全ての人が最低限度の情報通信技術を活用できる環境を保障するデジタルミニマムを推進すべきであると捉えます。  IT基本法が2000年に制定されて以来、政府は行政のデジタル化を進めてきましたが、国の行政手続のうちオンラインで解決できるものは全体の1割に満たないということも今回明らかとなり、この背景には、行政の情報システムを国民が簡単に利用する視点で構築されていないと2020年度の政府の骨太方針でも指摘されております。  高齢者や障害者をはじめ、誰もがデジタル化の恩恵を受けられるデジタルミニマムの観点から、長野県の行政のデジタル化をどのように進めていくのか戦略を伺うとともに、その戦略の結果、私たち県民が行政のデジタル化の恩恵をどのように実感できるようになるのか。以上、知事にお伺いいたします。  ポストコロナ社会における若者への支援について伺います。  社会の在り方全体を揺るがしているコロナショック、今の時代を若者はどう受け止め、対応しているのでしょうか。今の危機を乗り越え、次の10年を託していくのは、紛れもなく今の青年世代であり、未来に責任を持つ熱意にあふれた青年世代への応援が、これからの長野県をつくり上げていく源泉ではないかと思っております。  就職活動を進める学生等の不安を速やかに軽減するべく、新型コロナの収束の推移を注視しながら県として一定の支援を示すことが必須であり、感染拡大の影響で就職活動を行うことができない学生等が、今後、公平に不安なく就職の機会が確保できるように、学生等の置かれている現状を丁寧に把握しながら、民間企業、経済団体とも連携し、従来の就職慣行にとらわれない柔軟かつ強力な支援を講じていくべきと考えますが、県としての就職活動の対応について知事にお伺いいたします。  コロナ禍では、私たちの社会生活の基盤が、医療や介護、福祉はもとより、保育や幼児を含めた教育、消防、廃棄物処理、物流など、多くの方の提供によるサービスで支えられていることを痛感しました。若者との意見交換の場では、保育士や介護現場で働く皆さんからも、ポストコロナがいかなる時代になったとしても、他者との触れ合い、そして支えるサービスはなくならない。正当に私たちが評価され、そして、それ相応の対価が得られる時代になってほしいとの声も多数頂戴しております。  処遇改善や介護報酬、公定価格など、公的な制度、予算によって決定される分野に関しては今後も国に対して要請をしていくのは当然とした上で、特に、保育や介護現場で働く若者の現状認識を伺うとともに、今後の支援の在り方について知事にお伺いいたします。  障害のある児童生徒や課題を抱える児童生徒への支援は、この数年で一歩ずつ拡充がなされてきておりますが、一方で、学校を卒業した後の就業などの出口戦略にいま一歩県としての姿勢や支援の在り方が見えてこないのが否めません。誰にでも居場所と出番がある県づくりを掲げる長野県として、特に、ここでは、障害のある児童生徒に対し、教育現場における卒業後を見据えた今後の取組について教育長に伺います。  コロナ禍により、多くの若者が学生時代の奨学金の返還負担が大きくなっております。結婚や出産などのライフイベントの大きな障壁にもなっている現状の中、全国で既に32府県が企業や団体等と連携しながら独自の奨学金制度や返済支援制度を創設し、定着促進を図っております。  我が県においても、過去に検討した経緯のある奨学金の返済支援制度について、若者の学びの負担軽減と信州回帰策につながると考えますが、コロナ後の人手不足への対応として、例えば、保育、介護、農業分野等への限定した奨学金支援制度の導入は、長野県の人材確保策として有効であると考えます。ぜひ検討を進めていただきたいと要望いたしますが、いかがでしょうか。以上、知事にお伺いをいたします。  暮らしと経済、雇用、観光対策について伺います。  今後、さらにコロナ禍による雇用情勢の悪化が懸念され、雇用創出や再就職支援の強化とともに、第二の就職氷河期を出さない支援も求められます。そして、何より、雇用の維持、継続が重要です。長期化する先の見えないコロナ禍の影響を受け、経営者の苦悩は計り知れないものがあり、休業や廃業、雇い止めと、本意ではない決断をせざるを得なかったとの声も頂戴しているほか、小規模事業者の経営者からは、国や県の詳細な支援情報がよく分からなかったとの言葉もあり、隅々まで情報が届いていない現状を知ることになりました。  国は、雇用調整助成金特例措置の延長に加え、従業員と雇用契約を結んだまま他社へ出向させた場合に対象となる産業雇用安定助成金を創設いたします。従業員を送り出す側の出向元と受け入れた出向先の双方に対し、賃金や教育訓練に充てる運営経費を助成するものですが、この雇用シェアの新たな取組に、県として雇用シェアプラットフォームを構築し、きめ細かな取組の推進を図るべきと考えますが、御所見を伺います。  就労支援に関連し、昨年12月の臨時国会で、働く人が自ら出資し、経営も担う協同労働を行う団体に法人格を認める労働者協同組合法が、10年間の議論により、全会一致で成立いたしました。2040年には高齢者の数がピークを迎え、一方、それを支える現役世代は激減し、高齢者の介護や障害者のサービス、子育て、困窮者支援の担い手が減ることが懸念されております。今後、これらを行政だけで維持することは難しいと思われる中、新しい地域福祉の担い手として期待ができるのが、今回法制化に至った目的としております。ポストコロナ時代の働き方として県として着目しておくべきと考えますが、県の認識を伺います。以上、産業労働部長にお伺いいたします。  この法律には、関係団体への周知に努める等の2年以内の準備期間が設けられております。この間、組織づくりの支援や起業アドバイス、また、既に活動しておられる事業者への法人移行支援など、積極的に推進していただくことを強くお願いしておきます。  観光立県として政策を加速してきた長野県の観光産業は、2度目の緊急事態宣言、そしてGo To トラベルキャンペーンの停止を受け、壊滅的な状態になっています。地元観光協会の青年部との懇談では、10年後の未来が見えないとの切実なお声もいただいております。今後の感染状況やGo To トラベルキャンペーンの再開時期など、長野県の観光施策を示すには不透明なことが大変多いのですが、国の施策や県内の感染状況を的確に捉え、積極的な県内観光への誘客施策の検討を行っていただきたいと考えます。長野県の観光の再構築に向けた今後の施策とともに、長野県観光産業の未来像をどのように捉えているのか。また、新たな観光立県長野県に向けた長期的な戦略についても観光部長にお聞きいたします。  今回の3密を避ける新たな生活の広がりは、国民生活、社会、経済に様々な影響をもたらしました。ビジネス環境では、ライフスタイルの変化に伴う需要構造の変化や長時間残業、対面主義、判こ文化など、日本企業が近年対応を迫られてきた課題が顕在化したことにより、今後は企業文化や産業構造の変革の強力な推進が重要です。  テレワークを経験した多くの人にとっては、ネットワーク環境さえあれば、もはや働く場所は固定ではないことを認識する絶好のチャンスとなり、暮らしやすさやワーク・ライフ・バランスを求めて、生活の拠点を都市部から地方へ移す動きが出てきております。
     移住、定住だけでなく、2地域居住というスタイルも、感染症対策として有効な、密集リスクを避けながら地方創生を大きく推進する可能性を秘めており、長野県が持つ豊かな自然環境と首都圏へのアクセスの便利さ、ウインタースポーツや四季折々の自然を生かしたアクティビティーを楽しめる自然環境と、まさに選ばれる長野県のチャンス到来であると考えます。移住支援はこれまでも積極的に行ってきていただいたとの認識の中、選ばれる長野県としてどのように取り組んでいくのか。来年度の施策についてお聞きいたします。  住居内のテレワークエリアの確保や環境整備をはじめ、感染しない、させないための設備のある新生活様式対応住宅の普及、定着も求められています。選ばれる長野県を目指し、県としてもこの点について積極的に展開すべきと考えますが、御見解をお聞きいたします。  また、さらなる戦略として、老朽化する各地域の別荘地を活用したネットワーク環境と感染症への新生活様式に対応したモデル地域をつくり、首都圏企業とつながることも有効かと思いますが、長野県の潜在的地域資源の活用をどう生かしていくのか。以上、小岩副知事にお伺いいたします。  本年は、東日本大震災、長野県北部地震から10年という大きな節目を迎えます。私どもは、東日本大震災をはじめ、本県で発生した多くの自然災害から学んだ教訓を決して忘れないとの誓いも新たに、県民の命と財産を守るための様々な課題の克服に一層尽くさなくてはなりません。  今後も、大規模地震の発生や気候変動による影響で風水害が厳しさを増していくことが危惧され、さらなる対策の強化に向けて、政府は、防災・減災、国土強靱化のための緊急3か年計画に続き、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を閣議決定しました。5か年加速化対策では、主に河川や遊水地など防災インフラの強化と、交通網などの生活を支える社会インフラの整備や、老朽化した施設、建物の維持管理を予防保全型に転換した積極的な推進に加え、デジタル化による災害情報発信の高度化について対策を掲げています。  事業規模は15兆円、初年度として公共事業費2.8兆円の予算が盛り込まれております。特に、防災インフラの整備と同時に、避難や復旧工事、復興事業を円滑に進める基盤となる道路網の整備が重視されておりますが、河川、砂防等も含め、これまでの3か年緊急対策の成果についてお伺いするとともに、一昨年の東日本台風による災害、昨年7月の豪雨災害等も踏まえ、5か年加速化対策に基づき、2025年までの5年間で災害に強くなる長野県の国土強靱化はどのような角度で進めていくのか。建設部長にお伺いいたします。  現在実施されている第2期長野県強靱化計画の見直しが必要ではないかと思いますが、危機管理部長に御所見を伺います。  県民の命と財産を守るための国土強靱化づくりになくてはならないのは、地域の建設産業です。大規模自然災害が頻発する中にあって、地域建設産業の役割がますます大きなものとなっています。社会資本整備や維持管理とともに、自然災害に対しての安全、安心の守り手として、そして国土強靱化を進めるための縁の下の力持ちとしての建設業がその役割を担えるための支援が求められます。  今後必要な人材数の確保に向けて、ICTを活用した建設業のDX化の未来像や公共事業発注の効果的な取組など総合的な政策を示し、今後の長野県建設業の具体的な姿を示していくことも重要だと考えます。県として、中長期的な視点も踏まえ、総合的な施策を進めることが必要と考えますが、建設部長にお伺いいたします。  農政課題についてお伺いします。  政府は、農林水産物、食品の輸出拡大に向け、27品目を重点品目に設定し、生産体制の強化への集中支援を盛り込んだ実行戦略を決定いたしました。対象となる国、地域も明記し、2030年に輸出額を5兆円に引き上げる目標達成を目指すとしており、当面の2025年の目標実現へ、海外向けに特化した産品を地域ぐるみで生産する輸出産地という枠組みを導入し、技術導入や資金面でも手厚い支援を行うとしています。  我が県においても、第3期食と農業農村振興計画において、県産農産物等の輸出額を2022年に20億円の目標を掲げており、輸出拡大重点国、そして新規開拓国の設定による展開や、「長寿世界一NAGANOの食」としての海外展開など多岐にわたる施策の展開を行っておりますが、港などの輸送起点から遠い長野県の負の要因をどう克服するのかを含め、国の実行戦略を活用した世界に求められる信州農産物の戦略的な輸出促進についてお伺いいたします。  農業の担い手不足、就農人口の激減化、そして高齢化の課題が提起されて久しい中、昨年11月、農水省は、2020年農林業センサス結果概要の公表において、基幹的農業従事者が5年前の調査から39万6,000人、22.5%減少したと発表いたしました。これは、比較可能な2005年以降で最大とし、高齢化が大きく影響したとされております。  しかし、高齢化だけでは済まされない長野県農業の現状があります。5年という同じ幅で比べてみると、長野県の農業従事者はこの5年間で25%の減少。農家戸数も14%減り、中でも、自給的農家の7%減よりも、販売農家の22%の減少は、対策を打たなくてはいけない数値であると感じております。  さらには、高齢化だけではなく、全世帯にわたり基幹的農業従事者の数は減少しております。次の代につなぐ長野県農業の構築を目指す中で、次代を担う農業従事者が長野県での農業を継続していけるようさらなる施策が必要であると思いますが、現状の受け止めと、長野県食と農業農村振興の県民条例でも掲げている担い手確保・育成の具体的な取組方針と政策についてお伺いいたします。  加えて、国際競争力の強化や、農産物の品質向上、生産性の向上を進めるためのスマート農業が推進されております。長野県でも、スマート農業の導入の加速化に向けて積極的に事業を進めていただいております。農水省では、スマート農業の効果を確かめるためにスマート農業実証プロジェクトを推進し、全国148地区で実証事業を行い、このほど中間報告が出ております。これによると、水田作においては、ロボットの無人トラクターを使った代かきでは労働時間平均26%の削減、ドローンを使った農薬散布では81%削減されたと効果を報告しています。  しかし、課題は経営面です。収穫量の増加により収入は増えますが、機械・施設費の増加により利益が下がることもあり、今後、経営モデルの確立や初期投資の負担を減らす農機シェアリングサービスの普及が必要と思われます。  今後も、さらなる担い手不足、高齢化が進む中で、省力化や生産性の向上を図るための長野県におけるスマート農業のさらなる加速化に向けた取組について、具体的にどのような支援策を用意して進めていくのか。以上、農政部長にお伺いをいたします。  環境政策について伺います。  地球温暖化に伴う気候変動やプラスチック廃棄物といった地球規模の環境問題、及びこれらに対するG20関係閣僚会合における長野宣言や都道府県初の気候非常事態宣言等の取組を踏まえ、都道府県としては初めて、2050年度までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を規定し、県民一丸となって持続可能な脱炭素社会づくりを推進することを期して、県議会の総意により長野県脱炭素社会づくり条例が制定されました。  昨年9月に行われた国連の生物多様性サミットでも、気候変動問題の悪化や自然環境の破壊が進んでいけば、新型コロナに続く形で今後も新たな感染症が発生するおそれがあるとの認識が示されております。  このマイナスの連鎖に対し、マルチハザードの視座に立った取組を進めてプラスの連鎖を生み出す必要があります。つまり、気候変動への取組は新たな感染症を防止するための対策となり、感染症対策を強化した社会は、防災の面でも強靱さを備えた社会となります。  また、生態系の保全を基盤とした防災・減災に努めることは気候変動問題に対処する力となるといったように、多くの課題をプラスの連関に転じることが求められており、長野県脱炭素社会づくり条例に基づく今後の計画や行動は極めて重要であると考えます。  国連のグテーレス事務総長も、生物多様性サミットでこう言われております。コロナ禍の復興計画とより幅広い開発目標によって、自然環境に根差した解決策を組み入れる必要があります。世界の生物多様性を保全することで、今、早急に必要とされている雇用と経済成長を生み出すことができるのです。世界経済フォーラムは、自然関連のビジネスの拡大によって、2030年までに1億9,100万人の雇用創出が見込まれるとの見解を示しました。アフリカでのグレートグリーンウオールの計画だけでも33万5,000人の雇用が創出されていると言われております。  このように、脱炭素社会づくりは、生物多様性、国土強靱化、コロナ禍のグリーンリカバリーなど、様々な分野と密接に関係した新たな環境イノベーションの創出への取組が必要と考えますが、この点から、県内の各分野の持続可能な脱炭素社会づくりに向けた施策をどのように推進していくのか。環境部長にお聞きいたします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)新型コロナウイルスの医療体制について順次お答えいたします。  最初に、ワクチン接種体制の効率化に向けた県のコーディネートについてのお尋ねでございます。  市町村においてワクチン接種を円滑に実施する上で、議員御指摘の接種体制の効率化とマンパワーについては大きな課題の一つであると認識しております。市町村からは、アウトソーシングや先端技術の活用についての最新情報が欲しい。具体的な内容について知りたいといった声もお聞きしているところであり、県といたしましても、様々な先進事例を集め、市町村に提供してまいりたいと考えております。  既に、地域振興局長の下、ワクチンチームを各圏域に設置し、市町村への訪問や連絡会議の開催により相談や要望への対応を始めているところであります。また、今月10日には、新型コロナウイルスワクチン接種体制整備連絡会議を立ち上げ、市町村や医師会、医薬品卸協同組合など関係者との情報共有や連絡調整を図っているところであります。今後、こうした場も活用して、各市町村や広域、または全県での円滑な接種に向けた取組が進むよう支援してまいります。  次に、コロナ禍による看護師の離職状況と今後の充足についてであります。  1年余りにわたる新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線で高い使命感を持ちつつ職務に精励されている看護職員の皆様には、高い敬意と感謝を表すとともに、危険手当の助成や応援金の支給など県としての支援も行ってまいりました。これまでの間、本県においては、都市部で見られたような大量離職といったこともなく、コロナ禍によって例年と異なる離職状況はございません。  その一方で、コロナ対応のため新たに生じた看護職員に対する求人ニーズは、軽症者宿泊療養施設、PCR検査センター、有症者相談業務など幅広い分野に及び、これらの業務を円滑に実施するため、看護職員の確保が重要課題となっております。  これまで、県看護協会に委託して運営している長野県ナースセンターにおいて潜在看護師の掘り起こしやマッチング支援を行い、その結果、昨年4月から11月の再就業状況は、求人223人に対して就業者数は211人、充足率は94.6%と、他県と比べても高い成果を上げていると認識しております。  今後も、引き続き、地域の医療提供体制確保のため、県看護協会と連携しながら看護職員の離職防止と復職支援に全力で取り組んでまいります。  次に、自宅療養者へのフォローアップ体制の構築についてでございます。  首都圏などにおいて自宅療養中の死亡事例があったことは承知をしておりますが、本県では、法令上の基準の下、感染症指定医療機関等の医師による診察を行った上で、療養場所について入院、宿泊療養、自宅療養の振り分けを行うことにより、療養者の安全をしっかりと確保していると考えております。  このうち、自宅療養者に対しましては、体温計や血中酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターを貸し出し、その数値などの健康状態を記録してもらった上で、保健所の担当者が、毎日午前、午後の2回、電話により聞き取りを行っております。また、療養者の症状が悪化した場合には直ちに保健所に連絡をもらい、必要な場合には、オンライン診療ではなく、感染症指定医療機関等につないで直接診療を行う体制を構築しており、これによりまして、解熱剤等の投薬や入院等の適切な処置を速やかに取ることが可能となっているところでございます。  本県といたしましては、引き続きこうした対応を自宅療養中の方々に御案内することによって、安心して療養生活を送っていただけるよう取り組んでまいります。  次に、自宅療養者への生活物資の支援体制についてでございます。  県では、自宅での療養期間中、外出することなく療養生活に専念していただけるよう、独居者など同居家族等による食事等の提供を受けることが困難な方に対して、保健所から1週間分程度の食品や生活必需品等をお届けする取組を本年1月から行っております。新たに自宅療養に入る方には、この取組について記載したリーフレットを配付して御案内しており、これまで12名の方に御利用をいただいております。利用者からは感謝の声も頂戴しているところであり、今後もきめ細やかな対応に努めてまいります。  最後に、コロナ禍におけるオンライン診療の定着についてのお尋ねでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、医療機関の受診が困難になったことを踏まえ、昨年4月、国は、時限的、特例的な取扱いとして、初診から電話や情報通信機器を用いた診療による診断や処方を行っても差し支えないとしたところでございます。  これを踏まえまして、県では、医療従事者と患者の新型コロナウイルスへの感染防止を図るとともに、県民が安心して医療を受けられる体制整備を支援することが必要と考え、4月には全国に先駆けた県独自の事業を、また、6月には国の交付金活用事業を予算措置し、医療機関が行うオンライン診療の導入、運営に必要な経費の支援に取り組んでいるところでございます。これによりまして、現在までにおおむね60の医療機関に補助を行ってきたところであり、着実に体制整備が進んでいるものと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、まずコロナ禍における県政運営について御質問をいただきました。  初めに、令和3年度のコロナ禍での長野県の経済見通しと、令和4年度以降も念頭に、今後の経済の再建の取組についてという御質問であります。  内閣府が関係閣僚会議で示したデータによりますと、国内の実質GDPは、昨年10月から2期連続で改善という状況になっております。また、IMFによりますと、令和3年下半期にはコロナ発生以前の水準に回復するといった見通しも示されている状況であります。  コロナの感染状況によって大分この経済状況が左右されるわけでありますので、県内経済の見通しを明確に立てることはなかなか難しい部分がございます。ただ、現在取りまとめ中の景気動向調査によりますと、県内製造業においては、電機、電子等で需要が増加し、また、建設業においても需要が維持されている状況であります。他方で、飲食、宿泊等のサービス業は依然として厳しい状況でありまして、本県の経済見通しも全国と同様の傾向にあるものの、予断を許すことはできないものというふうに考えております。  経済再生に向けては、長野県としては、国の関係機関、経済団体や金融機関、市町村にも加わっていただいて、産業支援・再生本部会議で再生に向けた取組を検討してきておりますけれども、まずはコロナ危機をしっかり乗り切るための支援を行っていきたいというふうに考えています。  融資制度の充実や新しい生活様式に適合するための設備投資に対する補助、さらには、観光事業、飲食事業を下支えするための支援措置、そして、公共交通事業者の運行継続に要する経費、こうした関連予算を今回の予算に計上させていただいているところでありますが、当面こうした観点で何とかこの危機を乗り越えるための支援を行っていく。  加えて、その後を見据えて、医療機器産業、グリーン化に向けた取組、そしてDXの推進など、長野県産業が時代の要請に応じてしっかりと転換していくことができる。また、新しい分野にしっかりと一歩踏み出していくことができる。そうした支援を充実していきたいというふうに考えています。産業支援・再生本部会議で多くのメンバーの皆さんと知恵を出し合いながら長野県の再生に向けた取組を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、令和3年度当初予算を費用対効果の観点からどう組み立てたかという御質問であります。  まず一つは、コスト縮減を極力図っていく、それから、事業の選択と集中と、こうした大きな二つの観点から取り組んできております。  まず、ペーパーレス化の推進やウェブ会議の活用、コロナ禍でこうした取組を行わざるを得なかったという側面もありますけれども、今後ともポジティブにペーパーレス化やウェブ会議の活用を進めていきたいというふうに考えております。また、各種のイベント等でオンライン方式に転換しているものもあります。今後とも、リアルとオンラインを併用して、必要に応じて使い分けていくといったようなことが必要だと思いますが、こうしたIT化等を進める中でコスト縮減を引き続き図ってまいります。今回の予算でもそうした観点を盛り込んでいます。  加えて、選択と集中という観点で、部局長裁量経費等については、費用対効果の観点も踏まえて事業の厳選を求めたところであります。また、公共事業においても、今回、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用して防災・減災対策にかなり積極的に予算計上させていただいておりますので、それと関連して、県単独公共事業費について抑制を図らせていただいております。また、直面する課題に重点的に取り組んでいくということを意識して全体として予算編成をさせていただいたところであります。引き続き最小の経費で最大の効果が上げられるように取り組んでまいります。  続きまして、コロナ禍における県民ニーズの把握と県議会との連携についてという御質問でございます。  新型コロナウイルスへの対応は、環境が刻々と変わっていく状況の中で、御指摘のように、平常時以上に県民の皆様方の思いや声を把握していくことが重要だというふうに考えています。  私は、この間、医療関係者、経済団体、市町村長の皆さん、あるいは飲食・観光事業者の皆さん、かなり多くの皆さんと直接対話をさせていただきましたし、関係各部においても平常時以上に意見交換させていただいてきております。特に、飲食、サービス、観光関係の皆様方からは大変悲痛な思いを聞かせていただいているところでありまして、今後とも丁寧に御意見、状況をお伺いさせていただきながら支援策を検討していきたいというふうに考えております。  加えて、県議会の皆様方との連携も併せて重要だというふうに考えております。これまでも、本会議、委員会での審議はもちろん、正副議長、各派代表者との懇談会、各会派の皆様方からの提案、要望など、様々な場面で御意見をお伺いしてきております。私も、皆様方と同様、選挙で選ばれる立場ではありますけれども、直接県民の皆様方の声をお伺いしているという観点でいけば、この建物の中で仕事をしている人間以上に、やはり県議会の皆様方のほうが様々な問題意識、苦情を含めた御意見を伺っていらっしゃると思いますので、引き続きいろいろな場面で率直な意見交換をさせていただければありがたいというふうに思います。また、我々各部局もできるだけ県議会の皆様方と意思疎通をしっかりさせていただいて、この危機を共々乗り越えていきたいというふうに考えております。  続きまして、情報の公表の在り方についてでございます。  これまで、新型コロナに関連して、まず、プライバシーの保護を優先しようということで取り組んでまいりました。その一方で、県民の皆様方からもこうした情報は出せないのかといったような様々な御意見をいただく中で、いろいろ工夫をしながら対応してきたところでございます。  先日、一定の症例が蓄積されてきましたので、感染状況を全体として捉えて傾向や注意点を県民の皆様方と共有していこうということで、県内の感染事例をできるだけ分かりやすく取りまとめさせていただきました。職場、施設内、会食、県外、こうした場面で感染が疑われる具体的なケースを御紹介させていただきました。  また、「データで見る長野県の感染状況」ということで、例えば、陽性になった方の初期症状がどんな症状であったか、症状が出てから陽性が確定するまでの期間がどれぐらいであったか、また、発症前から人に感染させてしまう可能性があるということを申し上げてきておりますけれども、長野県の実例を踏まえて、感染させてしまう時期についても公表させていただきました。  引き続きこうしたデータに基づく分かりやすい説明を心がけていきたいというふうに考えております。目的に即して分かりやすく情報を共有していくということについては、今後とも様々な工夫をしていきたいというふうに考えております。  続きまして、コロナ禍での地域振興局の在り方と支援施策の提案という御質問でございます。  地域振興局長においては、災害時、新型コロナもある意味災害対応と同様でありますので、できるだけ市町村長や関係団体等と意思疎通を図るように私から指示をして、保健福祉事務所をはじめとする現地機関を取りまとめてこれまで対応に当たってきてもらっています。  そうした中で、例えば、飲食店向けの感染拡大予防ガイドラインに基づく外国語表記のチェックシートの作成や地域の消費喚起に向けた広報等、地域の実情を踏まえた対応を行ってきてもらっているところであります。  しかしながら、地域振興局は、人的、財政的にも制約がある中で、必ずしも地域からの御期待に十分お応えできていない側面もあるのではないかというふうに考えております。  新型コロナのような非常事態にあっては、通常の発想や枠組みを超えて取り組んでいくということが大変重要だと思っております。今後とも、地域から具体的な政策提案を行ってもらう、あるいは地域振興局自体で企画から実施までを行ってもらうことができるように、体制、対応の在り方について検討していきたいと考えております。  続きまして、地域振興局の予算の増額による対応の強化という御質問でございます。  地域振興推進費や元気づくり支援金を有効に活用して地域課題の解決に当たってもらいたいというふうに考えております。来年度、コロナへの対応はもとより、その後を見据えた事業にも機動的に取り組んでいくことが必要でございますので、地域振興推進費については、年度途中の事業の追加、変更について今年度に引き続いて柔軟な運用を行って、その時々のニーズにしっかり対応できるようにしていきたいというふうに考えております。  また、新型コロナウイルスの対応については引き続き県全体でしっかり取り組んでいかなければいけませんし、地域振興局においても役割を果たしてもらいたいというふうに考えております。そのため、迅速かつ弾力的に地域の実情に合った対応を行うための局長裁量予算の在り方についても考えていきたいというふうに思っております。できるだけ地域のニーズに合った対応を振興局が行えるように引き続き検討を重ねていきたいと思っております。  続きまして、コロナ禍での元気づくり支援金事業実施への配慮と事業の方向性についてという御質問でございます。  今年度の元気づくり支援金事業につきましては、新型コロナの影響でイベント等の実施が困難となった場合にあっても、採択事業の趣旨が生かされるようなケースであれば代替方策への変更を認めるといったようなことで、それぞれの実施主体の皆様方のお考えを確認しながらできるだけ柔軟に対応してきたところであります。  また、事業の繰越しについても意向確認を継続的に行ってきたところでありますが、現時点において来年度に繰り越したいという案件がなかったことから、本日追加提案した補正予算案においては繰越明許費としては計上しておりません。  来年度事業の採択に当たっても、本年度計画どおり実施できなかったものについては、元気づくり支援金は原則3年間という期間設定をしておりますけれども、この原則3年という補助対象期間を1年延長するといったようなことによって引き続き柔軟に対応していきたいと考えております。  来年度、新たに、県全域の重点テーマとして「2050ゼロカーボン推進に向けた取組」を追加し、ゼロカーボン実現に向けたプラスワンアクションの取組を求めるといったようなことも行っております。今後とも住民協働による主体的な取組が進むようにこの元気づくり支援金を生かしていきたいと考えております。  続きまして、デジタルミニマムの観点での戦略とデジタル化の恩恵についてという御質問でございます。  デジタル化のメリット、恩恵を誰もが享受できるような形でデジタル化を進めていくということが極めて重要だというふうに考えております。現在においても、県のホームページや電子申請システムについては、音声読み上げ機能や、文字のサイズ、色合いなどを選択できる画面デザイン機能を付加するなど、誰もが利用しやすいものとなるよう配慮してきているところでございます。  今後、行政事務のDXの推進に当たりましては、高齢者や障害者も日常生活でICTを使いこなせるよう、長寿社会開発センターにおけるオンライン講座や、障がい者ITサポートセンターにおける就労支援、講習会等の充実を図っていきたいと考えております。また、音声による文字入力など、デジタル機器に不慣れな方に配慮した技術を積極的に活用することについて研究していきたいというふうに考えております。  行政手続のオンライン化の拡大、相談に対してAIが自動で回答するチャットボット、さらには、県立病院への遠隔診療機器の整備等によりまして、場所や時間の制約にとらわれずに各種のサービスを御利用できるようにしていきたいというふうに考えています。こうしたことを通じて、できるだけ多くの県民の皆様方に行政事務のデジタル化の恩恵を実感いただけるよう取り組んでまいります。  続きまして、学生等の就職活動への支援についての御質問でございます。  就職活動という人生の中で非常に大きな節目の時期をコロナ禍で迎えている若者たちは、相当な負担もあり、また、いつも以上に困難に直面しているものというふうに考えております。そういう意味では、我々行政もそうした学生の思いをしっかり共有して支援していかなければいけないというふうに考えております。  こうしたことから、県として、県内企業との出会いの場を確保しようということで、昨年3月から6月までの間、オンラインでの起業セミナーを催させていただきました。また、夏のインターンシップフェアもウェブ開催として、年末年始については、オンラインと対面を組み合わせて企業と学生の出会いの場を度々設けてきたところでございます。  また一方で、オンラインの就活になかなかなじめない学生もいらっしゃいます。そういう学生に対しては、シューカツNAGANOキャリア相談室においてオンライン就活のノウハウ等を学べるセミナーを開催して支援を行いました。また、オンラインが苦手だという企業もありますので、そういう企業には専用のスタジオで説明会に参加をしていただいたりしてきております。  今後、対面での就活を望む声も、学生、企業双方にありますので、感染予防対策を徹底した上での対面でのインターンシップフェア等も開催していきたいというふうに考えております。非常に活動が制約されている状況でありますが、学生にとっても企業にとってもいい出会いがしっかり行われるように県としても応援していきたいというふうに考えています。  続きまして、保育や介護現場で働く若者の現状認識、そして今後の支援の在り方についてという御質問であります。  保育や介護の仕事は、これからも変わることなく、やはり人と人との温かな触れ合いを中心に成り立っていく重要な仕事だというふうに考えております。特に、今回のコロナ禍においては、感染防止に努めながらそれぞれの現場で子供たちや御高齢の方等に寄り添ってサービスを提供し続けていただいている皆様方には、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  そうした保育や介護現場で働く若者たちには、いろいろな思いがあろうかと思います。賃金水準や労働環境の問題もあり、保育現場で働く若者は、結婚や出産を機に退職される人たちが多い状況であります。また、介護現場においては、若者の就職者が他産業に比べると少ないという状況もあるわけでありまして、こうした職場を若者たちにとってより魅力ある職場にしていくということが、介護や保育を充実させる上でも、そうした職場で働く若者たちを応援する意味でも、非常に重要だというふうに思っております。  これまでも、例えば修学資金の貸付けやキャリアアップを図るための研修の実施ということで県としての支援を行ってきておりますけれども、今後とも、当事者、若い職員、あるいはこうした保育や介護の仕事を目指そうとしている学生たちの意見や要望を引き続きしっかり伺っていくということがまず大事だと思います。そして、そうした若者の声を聞きながら、保育や介護を目指す若者に対する支援と実際に働いている若者への支援、この両面から保育、介護職場で働いている若者たちを支えていきたいというふうに考えております。  そして、私に対する最後の御質問でありますが、奨学金の返済支援制度についてでございます。  御指摘がありました保育や介護の分野においては、専門の養成機関の学生に対して修学資金を貸し付け、また、当該分野に就業した場合には返還を免除する制度を設けています。また、農業分野においても、就農により返還を免除する給付制度を実施するというようなことで、従来から比較的手厚い就業促進施策に取り組んでおります。  しかしながら、この保育、介護、農業といったような分野は、依然として人手不足の状況が続いておりますので、御提案いただきました奨学金の返済支援制度も含めて、人材不足の解消に向けて講ずべき施策について幅広く検討を行っていきたいというふうに考えております。  こうした分野の恒常的に人手が足りないという状況を何とか変えていかなければいけないと考えておりますので、御質問にもありました国に対する支援のみならず、我々としても主体的に様々な対策を考えていきたいというふうに思っております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)障害のある児童生徒の卒業後の就業などを見据えた取組についてのお尋ねでございます。  特別支援学校では、生徒が自分の進路について自己選択、自己決定できるよう、高等部の教育課程において企業や福祉事業所等での現場実習を行い、働く意欲とスキルを体験的に学習できるようにしているところであります。
     また、平成27年度から就労コーディネーターを配置して生徒の実習先や就労先の開拓を強化するとともに、平成29年度からは、プロの方から学習成果の評価を受け、自信と意欲を高める特別支援学校技能検定事業を実施するなど就労支援の拡充に努めてきたところであります。こうした取組によりまして、特別支援学校高等部卒業生の一般就労率は、平成27年度の19.8%から、令和元年度は30.1%に上昇しまして、全国5位の水準となっております。  今後につきましては、企業等の協力を得ながら、生徒の多様な興味、関心、適性等に応じた作業学習を導入するとともに、できるだけ多くの企業に個々の生徒の希望や可能性を知ってもらえるよう動画等を活用し、理解を促進する取組についても進めてまいりたいというふうに考えております。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)暮らしと経済、雇用に関連して二つの御質問をいただきました。  まず、雇用シェアプラットフォームの構築と取組の推進についてでございます。  失業なき労働移動を実現する上でも、在籍出向、いわゆる雇用シェアは有効であり、その際に必要となる労使合意の形成、企業間協定などの制度や支援策についての周知、サポートの充実が求められるところであります。  県内では、これまで、公益財団法人産業雇用安定センターにおいて雇用シェアに係るマッチング支援を実施してきておりますが、県といたしましても、このたびのコロナ禍で生じた雇用の流動化に迅速に対応すべく、昨年12月に労働局及び産業雇用安定センターなど関係機関とともに雇用対策連絡会議を設置し、マッチング事業や出向支援について各機関が一体的に取り組む体制を構築したところであります。  さらに、同センターの取組をサポートするため、6月補正で設置したJobサポにおいて求人開拓を行う際に、出向の送り出し、受入れ情報の収集や、産業雇用安定助成金制度の周知なども行っております。今後、国においては、労働局ごとにプラットフォームとなる地域協議会を設置することとしておりますので、現在の雇用対策連絡会議の機能を移行、拡充し、県内企業に寄り添った支援に努めてまいります。  次に、労働者協同組合についてでございます。  12月に公布された法律では、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織とされており、多様な就労の機会の創出及び地域における多様な需要に応じた事業の実施を促進し、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的として設置できることとなっております。  具体的には、訪問介護、学童保育、農産物加工直売所、若者や困窮者の自立支援などの事業が想定されており、若者、高齢者、障害者、女性など様々な方々の働き方の選択肢となり得るものと期待されているところであります。  法律は、公布後2年以内の施行とされており、県の役割として組合設立後の届出や決算関係書類の受理などが定められておりますので、今後制定される政省令なども踏まえつつ、相談や周知に努めてまいります。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)観光の再構築に向けた今後の施策と長期的な戦略について御質問をいただきました。  観光の再構築に向けて、まずは打撃を受けている観光関連産業を緊急的に支えることが重要であり、これまで、感染状況を見極めながら、県民向けの宿泊割や冬のアクティビティーの半額販売を実施してきているところでございます。  今後は、近隣県や全国への展開も視野に入れて誘客の範囲を広げるとともに、善光寺御開帳等が開かれる来春を契機に全県で展開を予定している大キャンペーンの準備を進め、再構築の弾みとしていきたいと考えております。  一方、将来的には、例えば、旅マエのオンライン配信による事前学習から始まり、旅ナカは大自然の下で五感や好奇心を刺激する滞在型観光スタイルへの転換、旅アトでは旅行データを分析して次なるマーケティング戦略に生かしていくといったことなどが本県観光産業の目指す未来像ではないかと考えております。  この実現に向けて、昨年9月にAfterコロナ時代を見据えた観光振興方針を策定したところでございまして、安全・安心な観光地域づくり、長期滞在型観光の推進、信州リピーターの獲得の3本の柱を基に、各地域が主体的に稼ぐ観光地づくりを進められるようにしていくことで観光立県長野を実現していきたいと考えております。  さらに、本県の観光ブランドには、SDGsやゼロカーボンなど持続可能な視点を取り入れることが極めて重要でございまして、観光地におけるクリーンモビリティーの導入など、長期的な戦略として観光と環境が融合した新たな観光スタイルの実現にも取り組んでまいります。  以上でございます。       〔副知事小岩正貴君登壇〕 ◎副知事(小岩正貴 君)私には、2点御質問をいただきました。  まず一つ目、来年度の移住支援施策についてでございます。来年度につきましては、大きく2本の柱で取り組んでまいります。  一つ目の柱は、仕事と暮らしがある信州の発信強化でございます。これにつきましては、信州の魅力的な暮らしを発信するために来月開設いたします移住関連包括サイトに加えまして、総合情報発信アプリの作成、銀座NAGANOの機能強化を行ってまいります。  加えまして、地方移住に関心が高まっている若者を主なターゲットといたしまして、県内企業への就職支援をするとともに、農ある暮らしの提案を行うためにオンラインセミナーや農地つき住宅物件の情報発信も実施してまいります。  二つ目の柱は、つながり人口の拡大でございます。これにつきましては、新たな働き方に着目してその拡大を図ってまいります。具体的には、県外のIT人材や企業の誘致を進めるため、信州リゾートテレワークのPRを強化いたします。また、県内企業の副業人材活用を促進するため、移動費助成や企業での活用を個別に支援いたしまして、そこで得た事例や成果を広く共有してまいります。  こうした取組を部局連携の下で展開いたしまして、長野県の魅力を高めながら、選ばれる県となるよう引き続き努めてまいります。  2点目、新しい生活様式に対応した住宅や別荘地の普及、活用についてでございます。  地方回帰の流れの中で、別荘地も含めました暮らしや住まいの観点で信州の良さをどう発信していくのかは、重要な視点の一つと考えております。  県では、本年1月に、しあわせ信州住まい方ビジョン2030を策定いたしました。働き方の多様化への対応を含め、これからの時代にふさわしい信州の多様な住まい方の方向性を打ち出したところでございます。この中では、住まいが、住むだけではなく、働く、学ぶなどの多様な機能を発揮する姿や、都市の利便性と自然の豊かさを享受する2地域居住、情報でつながる地域社会などを提案しております。  また、本県では、他県に先駆けて、いわゆるワーケーションを含むテレワークの推進にもいち早く取り組んできております。これまでに、県内各地でテレワーク拠点の形成を支援してきております。その中には、例えば、茅野市や原村において、別荘地も含める形でテレワーク向け物件の情報発信に先駆的に取り組んでいただいている動きもございます。こうした取組に対しましては、県といたしましてもしっかりと支援をしていきたいと考えております。  引き続き、ネットワーク形成や優良事例の横展開など、長野県への企業や人の流れを創出、拡大する取組を加速化させてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、3か年緊急対策の成果と、今後5年間の国土強靱化の進め方についてのお尋ねでございます。  まず、3か年緊急対策の成果についてでございますが、今年度で終了する3か年緊急対策は、重要インフラが災害時に機能を維持できるよう、特に緊急に実施すべき対策について3か年で集中的に実施するもので、760億円余の事業費を確保し、約900か所において対策を行っております。その結果、道路ののり面対策により、のり面崩壊の危険性が高い幹線道路の通行止め等のリスクが軽減されたり、高瀬川や犀川などのしゅんせつ、樹木伐採等により河川断面が確保され、越水被害の軽減につながったと考えております。  また、須坂市の福沢砂防堰堤などの土砂災害対策も前倒しで整備され、土石流を捕捉し、被害を未然に防いだ事例もございます。  さらに、ソフト対策として、河川情報の提供につながる簡易型河川監視カメラを132河川、196基、危機管理型水位計を165河川、300基設置し、画像や水位の情報提供などにより県が進める逃げ遅れゼロ施策を推進しているところであります。  今後5年間の長野県における国土強靱化の進め方についてでございますが、国は、3か年緊急対策後に引き続き5か年加速化対策の実施を決定し、インフラの老朽化対策やダブルネットワーク化等による道路ネットワークの機能強化対策などの新たな対象事業を追加し、より広い視点から国土強靱化を一層加速するとしました。  この国の方針に基づき、本県においても、当該予算を積極的に活用し、県民の命と暮らしを守るため、長寿命化修繕計画に基づく道路、河川、砂防等の老朽化対策、流域治水の考え方に基づいた河川整備や土砂災害対策の推進、災害に強い道路ネットワークの整備、多様な災害に対応した防災公園の整備など、県土強靱化の取組を一層加速、深化してまいります。  次に、建設産業の今後についてのお尋ねでございます。  近年の激甚化する自然災害への対応として、建設産業の皆様には、災害時の応急復旧や災害調査等、発災直後から昼夜を問わず最前線で御尽力いただいており、地域の守り手として極めて重要な役割を担っていることから、今後も持続的に発展していくべき産業と認識しております。  しかし、建設業従事者の29歳以下が約1割程度、55歳以上が約3割以上を占め、産業全体と比較して、次世代を担う人材の減少、従事者の高齢化は顕著であり、今後もさらにこの傾向が進むことが予想されます。また、様々な産業分野のDXも進捗していくことから、建設産業においても就労促進や経営の安定と労働環境の整備に向けた取組が重要であると考えております。  そのため、一定の事業量を確保することはもとより、予定価格の適正な設定や施工時期等の平準化、週休2日工事の推進、生産性向上が図られるICT技術の活用や、事業の計画から維持管理までを3次元データで行うBIM/CIMに向けたDXの取組を推進し、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる新3Kの建設業を目指しているところでございます。  さらに、企業などとともに建設産業の次世代を担う人づくり推進事業を実施し、高校生等が測量、設計、工事のプロセスを自ら実践する取組も進めております。さらに、次世代を担う若者に、夢と希望、そしてやりがいのある産業であることを伝えていくため、中学校や建設系学科が設置されていない高校においても建設産業の理解促進を図る取組を新たに進めてまいりたいと考えております。今後も、産学官の連携を強化し、建設産業が魅力ある産業として発展していくよう努めてまいります。       〔危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理部長(竹内善彦 君)第2期長野県国土強靱化計画の見直しの必要性についての御質問でございます。  現在実施しております第2期長野県国土強靱化計画は、平成28年に策定した第1期計画における実施に伴う検証や新たに得られた教訓を反映するとともに、長野県総合5か年計画・しあわせ信州創造プラン2.0との整合を図り、平成30年3月に改定したものでございます。  近年、気候変動の影響により気象災害が激甚化、頻発化し、大規模地震の発生が切迫している中、計画の取組をさらに加速化、深化し、より効率的かつ効果的に進めることは、災害に強い県土づくりに向けて大変重要なことと認識しております。  このため、令和元年東日本台風災害など実際に発生した災害の検証を踏まえ、毎年、本計画の一部をなす個別事業計画の見直しを行っております。昨年12月には、国が防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を公表しておりますので、その内容も反映し、計画の見直しを行ってまいります。       〔農政部長伊藤洋人君登壇〕 ◎農政部長(伊藤洋人 君)私には、3点御質問をいただきました。  まず、信州農産物の戦略的な輸出の促進についてですが、県では、香港、台湾、シンガポールを重点輸出先と位置づけ、輸出事業者、生産者団体等と連携し、主に高級百貨店などで富裕層を対象に付加価値の高い高品質な果物を販売するなど、戦略的に輸出拡大に取り組んでいるところでございます。  今回の国の実行戦略では、県が輸出を進めているブドウ、桃、リンゴなどの園芸作物が重点品目とされ、これらの品目の輸出産地形成を国が重点的に支援する地域に本県全域が選定されたことから、さらなる輸出拡大を図るチャンスと考えております。  県といたしましては、国の既存の事業に加え、この夏までに示される具体的な支援策を活用し、店舗での長期販売が可能となるよう、複数品種による切れ目のない出荷や、冷凍冷蔵施設の導入を後押しするとともに、県独自の取組として、新たな輸出先国の拡大のため、営業局と連携し、GIを活用した市田柿の欧州への出荷などを支援してまいります。また、港などへの輸出コストの削減のため、JA卸売市場と連携し、共同輸送の取組を進め、さらなる輸出拡大につなげてまいります。  次に、担い手に係る現状認識と取組の方針、政策についてですが、センサス調査からは、農業従事者の減少や高齢化がさらに進んでいることが読み取れ、世代交代を見越した担い手の確保と育成によりスピード感を持って取り組む必要があると受け止めております。  このため、県の計画に掲げます毎年250人の新規就農者の確保目標の達成に向けまして、全国の就農希望者に対する本県農業の魅力とサポート体制の発信、実践力に重きを置いた技術習得、就農後の経営力強化の支援を三つの柱といたしまして、取組の強化を図ってまいりたいと考えております。具体的には、県の就農情報サイトの拡充やオンライン就農相談の充実等、情報発信、相談機能を強化し、コロナ禍で増加が見込まれる若い就農希望者を本県により多く呼び込んでまいります。  また、就農に向けて、スマート農業のための先端機器の知識や操作、より高度な技術や知識を身につけていただけるよう、県農業大学校や里親制度による研修を充実するとともに、就農後は、県、JAグループ、市町村など関係者が連携し、経営確立やスキルアップを支援してまいります。さらに、経営規模の拡大に伴い必要となる労務管理等についても、農家個々の課題解決を図るため、農業農村支援センターが社会保険労務士等の外部の専門家と連携した支援を行ってまいります。  最後に、スマート農業の加速化に向けた取組の進め方についてですが、県では、平成30年度から、ICT技術を活用した先端機器のお試し導入や、GPSトラクター、直進走行田植え機などを体系的に活用した稲作の大規模実証農場の設置、大学やメーカーと連携したリモコン畦畔除草機などの開発に取り組んできたところでございます。  来年度は、これらの取組を基に、さらなる導入の加速化に向け、全ての農業農村支援センターに相談窓口を設置し、スマート農業推進担当の職員が相談活動を行うとともに、より多くの農家の皆様に関心を高めていただくため、ミニ講習会を年間300回を目標に開催してまいります。また、市町村、JA、メーカーなどの関係者と連携し、スマート農業の導入により経営の効率化が見込まれる中核的な経営体に対して、個々の営農状況に適したスマート農業機器の経営モデルを提示してまいります。  さらに、課題となる経営面での負担軽減に向けましては、補助事業、融資制度の活用を支援するとともに、農業法人等がドローンによる薬剤散布を受託する取組の拡大や、作業時期が異なる産地間で機器を共同で利用するシェアリングの可能性についても民間事業者と連携して検討を行ってまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)環境政策につきまして御質問をいただきました。  地球規模の気候変動は、豪雨や干ばつなど自然災害の増加を招くとともに、動植物の生息・生育域の縮小など生態系の改変、さらには農作物の収量や品質の低下の要因となっております。  また、ヨーロッパを中心に、コロナ禍からの回復をより持続可能な社会、経済への移行につなげるグリーンリカバリーの考え方が広がっております。ゼロカーボンに向けた取組には、温暖化の影響を最小限に抑えることによる生物多様性の保全、防災・減災対策やグリーンインフラによる国土の強靱化、さらにはイノベーション等がもたらすグリーンリカバリーなどが含まれます。  すなわち、脱炭素社会づくりは、我々が直面する多くの課題を同時に解決し得る一つの答え、鍵になる取組だと捉えております。現在ある技術、仕組みを最大限に生かして、交通、再エネなど様々な分野で施策を展開しつつ、イノベーションを喚起することにより、産業構造や経済社会の変革をもたらして大きな成長につなげてまいりたいと考えております。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)学校の新しい生活様式を踏まえ、緊急時においても全ての子供たちに学びの機会を確保することが重要であることが明らかになりました。今年度中にはGIGAスクール構想による全小中学校に1人1台のタブレット端末が整備されるほか、ICT支援人材の活用により学校現場でのデジタル化が鋭意進められております。  一方で、学校現場だけではなく、家庭においてもオンライン教育が受けられるようにすることも、学びの機会の確保として重要です。障害者や貧困、外国人生徒など対応が難しい家庭も含めた県内全ての児童生徒への平等な学びの環境を整えていただきたいと思います。  そのために、まず、県教育委員会として、県立学校の生徒から家庭でもオンライン教育が受けられる環境を整備していくべきと考えますが、どのように進めていくのか、伺います。  オンライン教育を実施するに当たっては、児童生徒が意欲的に学習に取り組めるコンテンツの充実や、オンラインならではの授業方法の研究、作成、そして情報提供体制を整えることが必要です。さらには、リアルによる対面授業時に動画等のオンラインも活用したハイブリッド型の授業やベストミックスを推進するなど立体的な学びを通して教育効果と理解度の向上を目指す一対一で向き合える環境の構築も求められます。これらの課題に対して、県が設置するICT教育推進センター(仮称)ではどのような役割を担うのか。お伺いをいたします。  文科省は、不登校生徒がインターネットなどを活用して自宅学習を行った場合、一定の要件を満たせば出席扱いと認めることができるとしています。今回のGIGAスクール構想によって、この環境は大きく整う絶好のチャンスと考えます。  県内の小中学校の不登校児童生徒数は、令和元年度で3,551名、その半数は90日以上の長期欠席者となっています。全ての児童生徒への学びの確保と多様性を重視する教育環境の在り方を検討していくことが今後の大事な課題であると思います。  現在、不登校児童生徒へのオンライン学習を活用した出席扱いの判断は校長判断とされておりますが、不登校児童生徒のオンラインを活用した学習の出席扱いについて、県の考えと市町村教育委員会との連携についてお伺いをいたします。以上、教育長に伺います。  男女共同参画社会推進と女性の活躍についてお伺いします。  平成11年6月に男女共同参画基本法が制定されてから21年が経過し、男女共同参画社会の理解は深まりつつあります。県民に身近な家庭や地域社会、職場では、あらゆる場面においていまだ固定的性別役割分担意識が根強く残っていると感じております。  平成27年8月には女性活躍推進法が成立し、男女共同参画社会はさらに新たな段階に入りました。社会の多様性、そして活力を高める女性の視点の活用、地方創生における男女共同参画社会の実現の重要性と、社会全体でまさに取り組むべき重要な課題の一つとなりました。  来年度から第5次長野県男女共同参画計画がスタートしますが、まずは、本年最終年となる第4次長野県男女共同参画計画の総括と、男女共同参画社会構築に向けた長野県の現状と課題をお示しください。  コロナ禍を経験した私たちの価値観、幸福感、生活様式と、日本全体が変化のときを迎えており、これらの経験を酌み取り、次期5年間の計画へ施策を展開していくことも重要です。昨年、コロナ禍での制限がかかる中、オンラインを活用して子育て中の方々と懇談を重ねてきました。時代は大きく変化しています。若者のワーク・ライフ・バランスへの考え方も驚くほど変化していると実感いたしました。  次期計画は、これまでの計画を踏襲するのではなく、次世代の若者意識の変化を把握する中で未来の長野県の魅力ある姿を示すべきと考えますが、若者のワーク・ライフ・バランスの意識や価値観の変化をどう捉えているのか、また、次期計画への反映について御所見を伺います。  女性の第1子出産時の男性の育児参加が第2子以降の出産希望に大きく影響すると言われております。男性にとって、男女共同参画という観点からも、子供の育児、成長過程に関わりたいと思っている男性が増加し、大きく意識が変わっております。男性の育休取得率も、この5年間で、2.3%から、目標の13%を大きく上回り17.9%と増加しています。  しかしながら、実際、男女共に自分が描くワーク・ライフ・バランスを実現するための環境が整っているかとの観点から見てみると、企業の子育て応援宣言企業数や職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業は目標の5割から6割程度でとどまり、女性活躍推進行動計画策定企業数も、目標300社に対して61社にとどまっております。男性が育児休暇を取得するときに上司がそれを阻むパタニティーハラスメントという言葉もあるのが現実で、長野県で働きたい、暮らしたいと若者に選ばれる県をつくり上げていくためには、職場における相当な意識改革が必要だと考えます。  次期計画は、真の長野県男女共同参画社会の構築の観点から、企業の男女共同参画意識の拡大と男性のワーク・ライフ・バランスの構築へ積極的に対策を講じることが求められているのではないかと考えますが、御所見を伺います。  コロナによる離職は、男性よりも女性に与える影響が深刻です。離職した女性の再就職でのデジタル、福祉などへの成長分野への転職に向けた人材育成や、新たな技能を身につけるための職業訓練、リカレント教育の機会を増やすことも重要です。  しかし、経験したことのないコロナ禍を機に、リモートワークを活用した新しい働き方の定着によって、仕事と子育ての両立による女性の活躍の場は大きく進むことも期待ができると思いますが、次期計画の中ではどのように示されているのか。以上を女性活躍推進監にお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、県立学校の児童生徒の家庭におけるオンライン環境整備についてのお尋ねであります。  家庭の経済事情等にかかわらず、全ての児童生徒が家庭においてオンライン教育を受けられるようにすることが重要だというふうに考えております。このため、低所得者世帯の県立学校の児童生徒の家庭には、Wi-Fiルーターの貸出しや通信費の一部支給によりまして、インターネットに接続するための通信環境の整備を支援しているところでございます。  また、特別支援学校では、教員が家庭訪問等で機器の操作の仕方などのアドバイスを行っております。ただし、その場合でも、自宅での学習が困難なケースも想定されますので、今後、放課後等デイサービス事業所と連携しまして、子供たちが当該事業所でオンライン学習が行えるような取組を進めてまいりたいというふうに思っております。  また、外国籍生徒等の日本語が不自由な高校生へは、生活支援相談員が個々のニーズに応じて必要な支援を行っているところでありますが、こうした生徒へのサポートについては、NPO等の民間支援団体との連携を図ってまいりたいというふうに思っております。  こうした取組によりまして、議員御指摘のように、対応が難しい家庭も含めた県内全ての児童生徒への学びの環境を整えてまいりたいというふうに考えております。  次に、ICT教育推進センター(仮称)の役割についてであります。  このセンターでは、信州大学の協力を得て、専門家の知見を得ながら、先進的な取組の研究や実践の蓄積と情報発信及びICT活用のための教員研修等を行う予定としております。議員御指摘のとおり、民間にある様々なコンテンツをどのように取捨選択してどのように授業に生かすか、また、リアルな対面授業にオンライン学習をどのように導入して対面とオンラインのハイブリッド化を図るかという点が重要だというふうに考えています。  このため、センターでは、県外の最先端の学校へセンターの職員を派遣することなどを含めまして、県内外の様々な実践事例の情報収集を行い、取組内容を検証いたします。そして、検証結果については、県内の全ての学校で共有するとともに、先進校でモデル的に実践するなどして有効な方策を明らかにしてまいりたいと思っています。  これらの成果を随時教員の研修に反映させるとともに、直接学校を訪問して授業支援を行うことなど、学校現場においてICTが有効活用されるよう積極的に先導する役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。  最後に、不登校児童生徒へのオンライン学習を活用した出席扱いについてのお尋ねであります。  国では、不登校児童生徒が自宅等においてICT等を活用した学習活動を実施した場合は、一定の要件を満たせば、校長の判断で指導要録上の出席扱いとすることができるとしております。この一定の要件ですが、保護者と学校との間に十分な連携協力体制が保たれていること、訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われていることなどとされておりますけれども、具体性に欠けるために、県内のほとんどの市町村において、運用のための具体的な基準が定められず、校長としても出席扱いと判断することが困難な状況にあるわけです。その結果、出席扱いとならないことで、学校以外の場所での子供たちの努力が評価されない状況が生じているところです。  今年度末には1人1台端末が整備されて、不登校児童生徒も活用することができる環境が整いますので、来年度、不登校児童生徒に対する学びの継続支援事業におきまして、市町村教育委員会等と連携し、自宅やフリースクール等でオンラインを活用した学びを実施し、出席扱いや学習評価に係る課題等を検討する予定としております。
     この取組について、市町村教育委員会や学校関係者、フリースクール等の民間団体や学識経験者等から成る会議において検証しまして、学校長が出席扱いとする際の具体的な基準や学習評価についてのガイドラインを作成してまいりたいというふうに考えております。       〔女性活躍推進監兼男女共同参画センター所長高田真由美君登壇〕 ◎女性活躍推進監兼男女共同参画センター所長(高田真由美 君)私には男女共同参画に関しまして4点御質問をいただきました。  初めに、第4次長野県男女共同参画計画の総括と、現状と課題についてでございます。  第4次長野県男女共同参画計画につきましては、平成28年度から今年度までの5年間を計画期間として、多様なライフスタイルが実現できる信州を基本目標に様々な取組を進めてきました。  その結果、管理職や審議会委員への女性の登用やワーク・ライフ・バランスに対する理解は一定程度進んだものの、地域のリーダー等への女性の登用やワーク・ライフ・バランスの実現にはなお一層の取組が必要であること、DVや性暴力等の被害者や困難な状況に置かれている者への対応など個人の尊厳に関わる取組がまだまだ不十分であること、固定的性別役割分担意識や性差に基づく偏見や思い込みが根強く残り、男女とも生きづらさが解消されていないことなどの状況であり、引き続き男女共同参画社会の実現に向けて取組を進める必要があると認識しているところでございます。  次に、若者の意識や価値観の捉え方と次期計画への反映についてでございます。  次期計画を策定するに当たりましては、昨年度、全世代の県民を対象とした意識調査と高校3年生約2,000人を対象にした男女共同参画に関する意識調査を実施しました。また、長野大学の授業に職員が参加して次期計画に対する意見や要望等を聞く機会を設けるなど、若者の実態や意識の把握に努めたところです。  若者のワーク・ライフ・バランスを重視する傾向や、意に沿わないしきたりや慣習を否定する傾向は強くなっています。本県では、若者、特に20歳代の女性の大都市圏への流出が顕著となっており、本格的な人口減少と少子高齢化に直面する中で、若者が真に働きたい、暮らしたいと思える環境をどうつくっていけるのかが今後の長野県の持続可能性の鍵を握っていると認識しております。  そうしたことから、次期計画、これは現在素案をお示ししている段階でございますが、この素案では、若い女性に選ばれる長野県を目指すということを計画策定の新たな視点の一つとして取り入れることとしたところでございます。そして、男女共同参画の視点で魅力ある地域を創出することを重点目標の一つに掲げ、若者、特に女性や移住者等も快適に暮らせる地域社会づくりに取り組んでいくこととしているところでございます。  次に、企業の男女共同参画意識の拡大と男性のワーク・ライフ・バランスについてでございます。  企業における男女共同参画の推進と男性にとってのワーク・ライフ・バランスの推進につきましてはとても重要な課題と認識しております。そのため、次期計画の素案では、雇用等における男女共同参画の推進とワーク・ライフ・バランスの実現を六つある重点目標の一つに位置づけて、対策を進めることとしているところでございます。  具体的には、企業等における長時間労働などの見直しと、多様な働き方の推進や、育児・介護等の支援充実による仕事と生活の調和に向けて取り組んでいくこととしております。さらに、男性の家事、育児、介護等への主体的な取組が進むよう、意識啓発や企業等への環境整備の働きかけなども進めてまいりたいと考えております。  最後に、コロナ禍を機に定着した新たな働き方による女性活躍の次期計画への反映についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、これまでの働き方、暮らし方の常識が大きく変わろうとしております。会社に出勤して仕事や会議をすることが当たり前だったものが、テレワークの普及により、自宅をはじめとした会社以外の場所でも仕事の成果を上げることができるようになりました。住む場所についても、働く場所による制約がなくなったことで自由に選べるようになってきております。また、通勤や移動に要していた時間は、家事や育児をはじめとする他の活動に充てられるようになるほか、結婚やパートナーの転勤に伴う転居のために女性が仕事を辞めるといったケースも少なくなるものと思われます。  次期計画の素案では、こうした時代の変化を先取りして、働き方、暮らし方を変革するということを新たな視点の一つとして取り入れて、DXの推進によるテレワークやフレックスタイムなど企業等における多様で柔軟な働き方制度の導入促進を図っていくこととしているところでございます。また、結婚、出産、育児等の理由で離職した女性に対しましては、引き続き再就業を支援していくこととしております。  以上でございます。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)御答弁いただきました。  昨年より続く新型コロナ感染症との闘いは、私たちの想像以上の時間と影響をもたらしております。ワクチン接種という明るい兆しも整う中、収束は現在予想がつきません。これまで、えたいの知れない感染症によって現れる課題解決に翻弄される日々が続き、今後も続いていくと思われます。  忘れてはいけない大事な点は、今後も続く危機の日常化において、孤立したまま困難を深めていく方を置き去りにしないという点です。ソーシャルディスタンスという表現に、人と人とのつながりを制限しなければならないとの誤解を広げて社会的な孤立や分断を固定しかねないことを、私たちは重く見るべきであると思います。  全国での昨年のDV相談は過去最多に上り、虐待の疑いのある子供は初めて10万人を超えたとしております。自殺者は11年ぶりに増加に転じ、中でも女性は過去5年間で最多となっております。独りで暮らす独居高齢者の方で、人とのつながりを抑えて一日誰とも話さない、そのようなお話をされた方もいらっしゃいます。1か月間怖くて外にも出ていない、こんな高齢の方々もいらっしゃるのが現実です。  人につながりたくてもつながれず、追い込まれていく社会的孤立状態にある方たちを私たちはどうやって見つけて支援につなげていくのか。令和3年度はさらに大事な支援の年となると思っております。社会の表面から埋没しがちな様々な困難を抱える方たちの存在に目を向けて、その生きづらさを取り除くことをこの長野県の社会を立て直すための急所として位置づけながら、さらなる県民のための施策づくりに御尽力をいただくことを切にお願いをして、質問を終わります。 ○議長(小池清 君)以上で各党派代表質問並びに早期議決を要します第16号及び第17号の予算案に対する質疑は終局いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案委員会付託 ○議長(小池清 君)次に、第16号及び第17号の予算案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、明26日までに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ────────────────── ○議長(小池清 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明26日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後5時46分延会...